トランプは、当選すれば24時間以内に露宇戦争を終わらせるという趣旨を発言しており、なんとなくトランプが当選すればロシア有利に立ち振る舞うのだろうと推測したロシアンフレンズなヒトビトがトランプを応援している。 わたしは以前から書いているように、トランプもバイデン(ハリス)も応援していないが、トランプの外交政策がどうなるかにはかなり興味がある。が、大統領選まであとわずかだというのに、トランプは米国の損になるような振る舞いはしないだろう、米国が有利になるようなディールをもちかけるだろうということ以外、具体的に何をするのかはさっぱりわからない。 ポンペオはトランプと距離が近く、政権入りもあるのではといわれているそうだが、そのポンペオはこの7月に、A Trump Peace Plan for Ukraineと題する論文をWSJに公表している。 https://www.wsj.com/articles/a-trump-peace-plan-for-ukraine-russia-foreign-policy-926348cf 日本の大メディアも内容の要約的なことはちゃんと伝えているが、ミニコミばかり漁って、知らないヒトビトもいるのかもしれない。 ↓ 【参考】 “トランプ氏のウクライナ平和計画”ポンぺオ元国務長官ら寄稿 「ロシアは勝てない」 https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000362450.html ウクライナに70兆円もの融資枠を与えて好きなアメリカの武器を購入させ、その使用には何の制限もつけない。ウクライナのNATO加盟も進め、プーチン大統領にこの戦争に勝てないと認識させ和平に持ち込むとしています。まさに“力による平和”という考え方です。 https://www.nhk.jp/p/ts/4V23PRP3YR/episode/te/Q8Z8G8VKJW/ そして、ポンペオの論文は、トランプの4月の ウクライナ支援は「供与でなく融資の形にするよう考えている」 という発言の延長線上にあるとも見える。 https://www.yomiuri.co.jp/world/20240413-OYT1T50090/ もっとも、トランプ大統領に本当になったらやはりどうなるのかわたしにはわからない。ポンペオが政権入りするのかもわからないし、トランプが勝って、ポンペオが政権入りしても、「トランプだから」何をするかわからない。ただ、日鉄がUSスチールとの交渉にポンペオをアドバイザーに起用したとの報道が7月にされており、なんとなく想像がめぐる。 ひとつ、わりと言えるとおもうのは、今回実るかどうかはわからないが、停戦交渉がいま活発に行われているだろうことだ。ウクライナのいまの行動はじめ、いろんなことが、いま停戦交渉が活発に行われているだろうと考えると、平仄があうからだ。 先週プーチンは、22年4月の和平交渉(いわゆるイスタンブール合意)にふれた発言をした。この交渉は、当時戦況がロシア有利だったため、ロシア有利に和平することが前提の交渉だったが、当時の戦況の逆転とともに頓挫している(ロシアにゆるぎない停戦第一の意図があれば、少なくともウクライナ軍がクルスク攻撃をはじめる前までは、いつでも停戦できたのに)。 プーチンはこのとき、「ウクライナ政府との会談はまだ可能だが、一時的な要求にもとづいてではなくイスタンブールで合意され実際に署名された文書にもとづいてのみ、おこなわれる可能性が残っている」とも述べているが、ロシアはイスタンブール合意の条件で停戦したいという願望をあらわしていると考えれば、これもいままさに停戦交渉がおこなわれていることと、そして難航していることとを推測させる。 しかしトランプがハリスよりも手ごわくないかどうか、実際にはわからない。プーチンはバイデン政権のうちに大筋で目途をつけたいのかもしれない。「ハリスを支持する」と発言したらしいが、案外ホンネなのかも。 ネットをみると、さっそくロシアンフレンズなヒトビトが、プーチン発言を受けて、7日前のヌーランド発言(イスタンブール合意に米英が介入したことは別に新しいはなしではないのだが) https://www.youtube.com/watch?v=HiS2dg_atfc を持ち出して、ロシア側にたった印象操作に余念がないようだ。
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トランプは、当選すれば24時間以内に露宇戦争を終わらせるという趣旨を発言しており、なんとなくトランプが当選すればロシア有利に立ち振る舞うのだろうと推測したロシアンフレンズなヒトビトがトランプを応援している。
わたしは以前から書いているように、トランプもバイデン(ハリス)も応援していないが、トランプの外交政策がどうなるかにはかなり興味がある。が、大統領選まであとわずかだというのに、トランプは米国の損になるような振る舞いはしないだろう、米国が有利になるようなディールをもちかけるだろうということ以外、具体的に何をするのかはさっぱりわからない。
ポンペオはトランプと距離が近く、政権入りもあるのではといわれているそうだが、そのポンペオはこの7月に、A Trump Peace Plan for Ukraineと題する論文をWSJに公表している。
https://www.wsj.com/articles/a-trump-peace-plan-for-ukraine-russia-foreign-policy-926348cf
日本の大メディアも内容の要約的なことはちゃんと伝えているが、ミニコミばかり漁って、知らないヒトビトもいるのかもしれない。
↓
【参考】
“トランプ氏のウクライナ平和計画”ポンぺオ元国務長官ら寄稿 「ロシアは勝てない」
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000362450.html
ウクライナに70兆円もの融資枠を与えて好きなアメリカの武器を購入させ、その使用には何の制限もつけない。ウクライナのNATO加盟も進め、プーチン大統領にこの戦争に勝てないと認識させ和平に持ち込むとしています。まさに“力による平和”という考え方です。
https://www.nhk.jp/p/ts/4V23PRP3YR/episode/te/Q8Z8G8VKJW/
そして、ポンペオの論文は、トランプの4月の
ウクライナ支援は「供与でなく融資の形にするよう考えている」
という発言の延長線上にあるとも見える。
https://www.yomiuri.co.jp/world/20240413-OYT1T50090/
もっとも、トランプ大統領に本当になったらやはりどうなるのかわたしにはわからない。ポンペオが政権入りするのかもわからないし、トランプが勝って、ポンペオが政権入りしても、「トランプだから」何をするかわからない。ただ、日鉄がUSスチールとの交渉にポンペオをアドバイザーに起用したとの報道が7月にされており、なんとなく想像がめぐる。
ひとつ、わりと言えるとおもうのは、今回実るかどうかはわからないが、停戦交渉がいま活発に行われているだろうことだ。ウクライナのいまの行動はじめ、いろんなことが、いま停戦交渉が活発に行われているだろうと考えると、平仄があうからだ。
先週プーチンは、22年4月の和平交渉(いわゆるイスタンブール合意)にふれた発言をした。この交渉は、当時戦況がロシア有利だったため、ロシア有利に和平することが前提の交渉だったが、当時の戦況の逆転とともに頓挫している(ロシアにゆるぎない停戦第一の意図があれば、少なくともウクライナ軍がクルスク攻撃をはじめる前までは、いつでも停戦できたのに)。
プーチンはこのとき、「ウクライナ政府との会談はまだ可能だが、一時的な要求にもとづいてではなくイスタンブールで合意され実際に署名された文書にもとづいてのみ、おこなわれる可能性が残っている」とも述べているが、ロシアはイスタンブール合意の条件で停戦したいという願望をあらわしていると考えれば、これもいままさに停戦交渉がおこなわれていることと、そして難航していることとを推測させる。
しかしトランプがハリスよりも手ごわくないかどうか、実際にはわからない。プーチンはバイデン政権のうちに大筋で目途をつけたいのかもしれない。「ハリスを支持する」と発言したらしいが、案外ホンネなのかも。
ネットをみると、さっそくロシアンフレンズなヒトビトが、プーチン発言を受けて、7日前のヌーランド発言(イスタンブール合意に米英が介入したことは別に新しいはなしではないのだが)
https://www.youtube.com/watch?v=HiS2dg_atfc
を持ち出して、ロシア側にたった印象操作に余念がないようだ。