◆◇◆◇◆◇ (不妊治療の続きです。) 出産の準備のため地元の病院への転院を控え、不妊治療の先生にお礼とお別れを言いに行きました。その時先生は、44歳で妊娠した私の例が他の不妊治療している女性達の励みになっていると言われました。それを聞き、私の治療例が知らない誰かの不妊治療を奨励していると初めて知りました。それは科学や医学の進歩なのかも知れないし、子を持ちたい夫婦の福音なのかも知れないのですが、一方で本当にその方向性が良いのかと疑問を持ちました。 2021年には日本で生まれた子のうち、8.6%が体外受精児といいます。また海外を含めて50歳や60歳を過ぎた女性が子どもを出産したと驚きをもって報道されます。しかし、それは果たして歓迎すべき事なのか。 年齢に関係なく子どもを持つ事ができると若い人達に誤ったメッセージを送る事にならないのか。35歳を過ぎると高齢出産でリスクを伴うとか、卵子が老化するとか、実はこんな苦労が待っているとは若い人は知らないのではないか。 病気のために不妊になっているのであれば治療の必要性は納得できます。 しかし社会的な要因で妊娠を恣意的に遅らせて不妊治療をしている場合は、社会で改善すべきだと私は考えます。 2022年の統計では、女性の平均初婚年齢が29.7歳、ほぼ30歳。夫婦生活を2年過ごして子供ができなければ不妊と判断されます。結婚して2年たち、32歳で婦人科の門をたたくと既に高齢出産まですぐそこ、誰もが人ごとではないという厳しい日本の状況です。 そして日本は2021年に中国についで世界で2番目に多い50万件の体外受精を実施しているといいます。人口が3倍近いアメリカですら41万件です。日本の多さが際立ちます。社会の男尊女卑、キャリアか子どもかどっちにするのかと迫られ、両方手に入れたいという希望の狭間で、苦しみ悩んで選択した結果の不妊治療。そしてそれが年々増えているという。 もしも20代の若さでキャリアも結婚も子どもも両立できるのであれば、つらい不妊治療をしなくてもよい人が沢山増えるはずなのです。仕事と家庭の両立という願いは贅沢なのでしょうか? 最近では結婚年齢の上昇やキャリア重視に対応するため、未婚の女性が卵子を若いうちに貯蔵しておき、ライフプランに応じて妊娠できるよう準備される方もいる。 昔、農家の子育ては女性も貴重な働き手で、家族総出で田畑で働き、田んぼの隅で赤ん坊をカゴに入れ、赤ちゃんが腹を空かせて泣けば母親は働く手を止めてお乳を飲ませていたはず。大家族で仕事や育児や家事を助け合う共同作業をしていたはず。仕事と子育ては同時にしていたのです。 昔を懐かしむのではなく、昔の良いところ、優れていたところを今と比べて評価し、どうしたら良いところを取り入れる事ができるのか、それを考える事が必要なのではないか。 自分で高齢出産をして自己矛盾に聞こえるかも知れませんが、もっと女性がキャリアを諦める事なく、体に負担の少ない若いうちに自然に子どもを産み育てられる社会に変えていくことを考えたいです。 子どもが欲しいと考えている女性の皆様が、愚かな私の経験を読んでいただけたなら、なるべく若いうちの妊活をお勧めいたします。「いのち短し恋せよ乙女」とは昔の人はうまく表現されました。卵子の数は生まれた時には既に決まっていると言います。現代人がいくら長寿になっても、繁殖に関する臓器の年齢までは伴って来ないのです。しかし日本は妊活の高年齢化という女性の体にとって歓迎されない方向へ進んでいるように見えます。 人と同じ事をして流されているだけでは、自分の人生を生きた事になりません。自分を縛る様々な思い込み、因習をぶち破り、声をあげ、行動に移されることを願ってやみません。それは不妊治療でも同じことが言えるのではないかと思い、筆をとりました。愛子天皇論の千葉麗子さんの不妊治療の回での感想でもあります。小林先生におかれましては不妊治療に取り組む女性の声を代弁していただき、ありがとうございました。
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!
昭和28年福岡生まれ。昭和51年ギャグ漫画家としてデビュー。代表作に『東大一直線』『おぼっちゃまくん』など多数。『ゴーマニズム宣言』では『戦争論』『天皇論』『コロナ論』等で話題を巻き起こし、日本人の常識を問い続ける。言論イベント「ゴー宣道場」主宰。現在は「週刊SPA!」で『ゴーマニズム宣言』連載、「FLASH」で『よしりん辻説法』を月1連載。他に「週刊エコノミスト」で巻頭言【闘論席】を月1担当。
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(不妊治療の続きです。)
出産の準備のため地元の病院への転院を控え、不妊治療の先生にお礼とお別れを言いに行きました。その時先生は、44歳で妊娠した私の例が他の不妊治療している女性達の励みになっていると言われました。それを聞き、私の治療例が知らない誰かの不妊治療を奨励していると初めて知りました。それは科学や医学の進歩なのかも知れないし、子を持ちたい夫婦の福音なのかも知れないのですが、一方で本当にその方向性が良いのかと疑問を持ちました。
2021年には日本で生まれた子のうち、8.6%が体外受精児といいます。また海外を含めて50歳や60歳を過ぎた女性が子どもを出産したと驚きをもって報道されます。しかし、それは果たして歓迎すべき事なのか。
年齢に関係なく子どもを持つ事ができると若い人達に誤ったメッセージを送る事にならないのか。35歳を過ぎると高齢出産でリスクを伴うとか、卵子が老化するとか、実はこんな苦労が待っているとは若い人は知らないのではないか。
病気のために不妊になっているのであれば治療の必要性は納得できます。
しかし社会的な要因で妊娠を恣意的に遅らせて不妊治療をしている場合は、社会で改善すべきだと私は考えます。
2022年の統計では、女性の平均初婚年齢が29.7歳、ほぼ30歳。夫婦生活を2年過ごして子供ができなければ不妊と判断されます。結婚して2年たち、32歳で婦人科の門をたたくと既に高齢出産まですぐそこ、誰もが人ごとではないという厳しい日本の状況です。
そして日本は2021年に中国についで世界で2番目に多い50万件の体外受精を実施しているといいます。人口が3倍近いアメリカですら41万件です。日本の多さが際立ちます。社会の男尊女卑、キャリアか子どもかどっちにするのかと迫られ、両方手に入れたいという希望の狭間で、苦しみ悩んで選択した結果の不妊治療。そしてそれが年々増えているという。
もしも20代の若さでキャリアも結婚も子どもも両立できるのであれば、つらい不妊治療をしなくてもよい人が沢山増えるはずなのです。仕事と家庭の両立という願いは贅沢なのでしょうか?
最近では結婚年齢の上昇やキャリア重視に対応するため、未婚の女性が卵子を若いうちに貯蔵しておき、ライフプランに応じて妊娠できるよう準備される方もいる。
昔、農家の子育ては女性も貴重な働き手で、家族総出で田畑で働き、田んぼの隅で赤ん坊をカゴに入れ、赤ちゃんが腹を空かせて泣けば母親は働く手を止めてお乳を飲ませていたはず。大家族で仕事や育児や家事を助け合う共同作業をしていたはず。仕事と子育ては同時にしていたのです。
昔を懐かしむのではなく、昔の良いところ、優れていたところを今と比べて評価し、どうしたら良いところを取り入れる事ができるのか、それを考える事が必要なのではないか。
自分で高齢出産をして自己矛盾に聞こえるかも知れませんが、もっと女性がキャリアを諦める事なく、体に負担の少ない若いうちに自然に子どもを産み育てられる社会に変えていくことを考えたいです。
子どもが欲しいと考えている女性の皆様が、愚かな私の経験を読んでいただけたなら、なるべく若いうちの妊活をお勧めいたします。「いのち短し恋せよ乙女」とは昔の人はうまく表現されました。卵子の数は生まれた時には既に決まっていると言います。現代人がいくら長寿になっても、繁殖に関する臓器の年齢までは伴って来ないのです。しかし日本は妊活の高年齢化という女性の体にとって歓迎されない方向へ進んでいるように見えます。
人と同じ事をして流されているだけでは、自分の人生を生きた事になりません。自分を縛る様々な思い込み、因習をぶち破り、声をあげ、行動に移されることを願ってやみません。それは不妊治療でも同じことが言えるのではないかと思い、筆をとりました。愛子天皇論の千葉麗子さんの不妊治療の回での感想でもあります。小林先生におかれましては不妊治療に取り組む女性の声を代弁していただき、ありがとうございました。