>主体は、もちろん日本の国民自身だ。何よりも、日本国民自身が米覇権崩壊の歴史的現実を直視し、日本の政治が非米「保守」か親米「改革」かの闘いに止まることなく、非米脱覇権自主の新しい日本への道に進むようにしていくことではないかと思う。 私はこの論者の問題意識に完全に賛同する。「非米脱覇権自主」とは、別の言い方をするなら、世界の多極化を踏まえた国際社会での身の処し方であろう。 アメリカ帝国ら西側によるご都合主義的ルールに基づく秩序を打ち破るあらたな世界の関係性が構築されつつある。 そのためには、パックスアメリカーナの総括が大前提となるはずだ。日本は、アメリカ帝国の属国政治の総決算をするべきなのだ。 そのような澎湃と湧き上がる広範な言論活動により、アメリカ帝国覇権の何がどうダメか?日本はアメリカ帝国に追従して、どれほどの国益を毀損し、愚行を強いられたのか? それを自問し、反省し、総括するべきなのだ。同じ過ちを延々と繰り返すことは許されない。 思い起こせば、ベトナム戦争からイラク戦争、9・11、テロとの戦い、アフガニスタン侵攻、ウクライナでの代理戦争、中東での政権転覆に向けた暗殺や謀略、ハマス・イスラエル戦争等など、一貫してアメリカ帝国は世界中に戦争の火種を付け続け、当事者として破壊と殺戮を繰り返してきた。 アメリカ帝国の悪辣さを総括するための素材、事実は数限りなくある。それでも、まだアメリカ帝国バンザイ!アメリカ帝国守って下さい、では、それは道徳的頽廃にして知的怠慢だと考えるのである。 と、ここまで辛辣に書いた理由は、このような総括が一切、日本の主流権威筋メディアが支配する言論空間にはないことに対する怒りがあるからである。 主流権威筋メディアを鵜呑みにするB層は、ディズニーランドで遊び戯れ、アメコミヒーローの中にアメリカ帝国の強さと正義を見て、ひれ伏し賛美するのである。そして、日々洗脳が強化されていく。 そのような日本のあり様に心底ウンザリしている。 アメリカ帝国に追従する愚行を総括するという課題おいて、有益な素材はつい最近も発生している。 ウクライナでの対ロシア代理戦争である。 ウクライナ敗北は確定した。Moon of Alabamaの11月14日付記事を引用する。 「それは終わった。ウクライナとその背後にいる大国は戦争に負けた。 ロシア軍は現在、前線全体に沿って精査攻撃を行っている。ウクライナの地元防衛線が破綻するのは時間の問題だが、彼らは突破して新たな陣地を張るだろう。そこから漏れ出た水滴は小川となり、川になり、洪水となってウクライナ軍を完全撤退に追い込むだろう。 ウクライナ政府とその支援者はまだそれを阻止できる。 しかし、それには現場の事実を認める必要がある。 もっと若いウクライナ人に徴兵されて死ぬよう求めるのは、その反対だ。」 ウクライナ応援団は、ウクライナ敗北を認め、ウクライナ人の若者達の命を救うべきだ、ということだと、私は解釈した。 ウクライナ国内や西側において、ゼレンスキーの「クビ」に関する論議は始まっている。 https://simplicius76.substack.com/p/wild-day-as-the-ukrainian-game-of https://www.dailymail.co.uk/debate/article-12738547/PETER-HITCHENS-fiercest-critics-agree-time-make-peace-Ukraine.html https://www.pravda.com.ua/news/2023/11/13/7428589/ この場でも、ウクライナ応援団は散見された。 日本中にウクライナ応援団は未だに溢れかえっている。だが、彼らのしたことは、ウクライナ人の無益な死の増大を煽っただけであった。 ピーター・ヒッチンズという人は 、デーリーメール紙に次のように書いた。「私の最も厳しい批評家たちも今では同意しています - ウクライナで和平を結ぶ時が来たのです」 「ウクライナ紛争は常に不必要なものだった。それはウクライナとウクライナ人に害を与えただけだ。」 「私は、もし彼や他の人々が8か月前、あるいはそれ以前にもっと賢明な見方をしていれば、現在亡くなっているか重傷を負っている多くの若者たちは無傷で生きていただろうと私は言いたい。」 私も全く同じ思いだ。 そして、この結末は最初からわかっていた。 にも関わらず、蒙昧なウクライナ応援団は、大義なきウクライナの戦争をレジスタンスとカンチガイして、ウクライナ人の死と離反を煽りつづけたのである。 愚かこの上ない。 そして、これもアメリカ帝国への追従、西側のルールによる秩序の典型的末路である。 アメリカ帝国への追従という罪を総括し、同じ過ちを繰り返さないことが、道義的にウクライナ応援団には問われている、と言いたい。 だからこそ、アメリカ帝国追従を総括することが、日本にとって、道義的頽廃と知的怠慢から抜け出し、新たな世界の潮流に相応しい主体となるために必要な課題だと考えるのである。
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孫崎享チャンネル
(ID:119568177)
>主体は、もちろん日本の国民自身だ。何よりも、日本国民自身が米覇権崩壊の歴史的現実を直視し、日本の政治が非米「保守」か親米「改革」かの闘いに止まることなく、非米脱覇権自主の新しい日本への道に進むようにしていくことではないかと思う。
私はこの論者の問題意識に完全に賛同する。「非米脱覇権自主」とは、別の言い方をするなら、世界の多極化を踏まえた国際社会での身の処し方であろう。
アメリカ帝国ら西側によるご都合主義的ルールに基づく秩序を打ち破るあらたな世界の関係性が構築されつつある。
そのためには、パックスアメリカーナの総括が大前提となるはずだ。日本は、アメリカ帝国の属国政治の総決算をするべきなのだ。
そのような澎湃と湧き上がる広範な言論活動により、アメリカ帝国覇権の何がどうダメか?日本はアメリカ帝国に追従して、どれほどの国益を毀損し、愚行を強いられたのか?
それを自問し、反省し、総括するべきなのだ。同じ過ちを延々と繰り返すことは許されない。
思い起こせば、ベトナム戦争からイラク戦争、9・11、テロとの戦い、アフガニスタン侵攻、ウクライナでの代理戦争、中東での政権転覆に向けた暗殺や謀略、ハマス・イスラエル戦争等など、一貫してアメリカ帝国は世界中に戦争の火種を付け続け、当事者として破壊と殺戮を繰り返してきた。
アメリカ帝国の悪辣さを総括するための素材、事実は数限りなくある。それでも、まだアメリカ帝国バンザイ!アメリカ帝国守って下さい、では、それは道徳的頽廃にして知的怠慢だと考えるのである。
と、ここまで辛辣に書いた理由は、このような総括が一切、日本の主流権威筋メディアが支配する言論空間にはないことに対する怒りがあるからである。
主流権威筋メディアを鵜呑みにするB層は、ディズニーランドで遊び戯れ、アメコミヒーローの中にアメリカ帝国の強さと正義を見て、ひれ伏し賛美するのである。そして、日々洗脳が強化されていく。
そのような日本のあり様に心底ウンザリしている。
アメリカ帝国に追従する愚行を総括するという課題おいて、有益な素材はつい最近も発生している。
ウクライナでの対ロシア代理戦争である。
ウクライナ敗北は確定した。Moon of Alabamaの11月14日付記事を引用する。
「それは終わった。ウクライナとその背後にいる大国は戦争に負けた。
ロシア軍は現在、前線全体に沿って精査攻撃を行っている。ウクライナの地元防衛線が破綻するのは時間の問題だが、彼らは突破して新たな陣地を張るだろう。そこから漏れ出た水滴は小川となり、川になり、洪水となってウクライナ軍を完全撤退に追い込むだろう。
ウクライナ政府とその支援者はまだそれを阻止できる。
しかし、それには現場の事実を認める必要がある。
もっと若いウクライナ人に徴兵されて死ぬよう求めるのは、その反対だ。」
ウクライナ応援団は、ウクライナ敗北を認め、ウクライナ人の若者達の命を救うべきだ、ということだと、私は解釈した。
ウクライナ国内や西側において、ゼレンスキーの「クビ」に関する論議は始まっている。
https://simplicius76.substack.com/p/wild-day-as-the-ukrainian-game-of
https://www.dailymail.co.uk/debate/article-12738547/PETER-HITCHENS-fiercest-critics-agree-time-make-peace-Ukraine.html
https://www.pravda.com.ua/news/2023/11/13/7428589/
この場でも、ウクライナ応援団は散見された。
日本中にウクライナ応援団は未だに溢れかえっている。だが、彼らのしたことは、ウクライナ人の無益な死の増大を煽っただけであった。
ピーター・ヒッチンズという人は 、デーリーメール紙に次のように書いた。「私の最も厳しい批評家たちも今では同意しています - ウクライナで和平を結ぶ時が来たのです」
「ウクライナ紛争は常に不必要なものだった。それはウクライナとウクライナ人に害を与えただけだ。」
「私は、もし彼や他の人々が8か月前、あるいはそれ以前にもっと賢明な見方をしていれば、現在亡くなっているか重傷を負っている多くの若者たちは無傷で生きていただろうと私は言いたい。」
私も全く同じ思いだ。
そして、この結末は最初からわかっていた。
にも関わらず、蒙昧なウクライナ応援団は、大義なきウクライナの戦争をレジスタンスとカンチガイして、ウクライナ人の死と離反を煽りつづけたのである。
愚かこの上ない。
そして、これもアメリカ帝国への追従、西側のルールによる秩序の典型的末路である。
アメリカ帝国への追従という罪を総括し、同じ過ちを繰り返さないことが、道義的にウクライナ応援団には問われている、と言いたい。
だからこそ、アメリカ帝国追従を総括することが、日本にとって、道義的頽廃と知的怠慢から抜け出し、新たな世界の潮流に相応しい主体となるために必要な課題だと考えるのである。