中国に対する日本の主流権威筋メディアの論調は兎角対抗意識むき出しであったり、否定的な傾向が強い。 例えば、一帯一路政策については、やたらと「債務の罠」問題をあげつらうみたいな論調が常套手段になっている。 https://mainichi.jp/graphs/20231016/mpj/00m/030/001000f/20231015k0000m030137000p しかし、日本もかつてODA大国とよばれた時代、タイド援助とか紐付援助みたいな批判が付きまとっていた。 https://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/lecture/2000/nakai/Roda.html https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo/10_hakusho/honbun/b0/yogo.html 政府開発援助(ODA)は、慈善事業ではないだろうし、国益と結びついている部分を否定できないだろう。 要は、程度の問題だろう。日本も、中国もODA大国らしいから、双方似たような課題があると見るのが妥当な理解ではないか?にも関わらず、中国の一帯一路がらみで、やたらと「債務の罠」を言い立てるのは、自らの問題を棚に上げたバランスを欠いた不毛な姿勢に見えてしまう。 https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2019/0131_09.html しかも、中国はいまや非米側のリーダーである。そのことは、BRICS、SCO、一帯一路における中国の役割を見れば明白だ。 日本は国力のあらゆる点で中国に太刀打ち出来ない。その現実を踏まえて、日本の生き残り策を考えるべきだ。にも関わらず、アメリカ帝国の尻馬にのり、中国敵視外交を続けることは不合理の極みだ。 あまり話題になっていないが、最近、中国は次のような論文を発表している。 「中国国務院情報弁公室は9月26日、「未来を共有する国際社会」と題する白書を発表した:中国の提案と行動 "と題する白書を発表した。習近平国家主席が「未来を共有する世界共同体の構築」を提唱して10周年を迎えたことを背景に、中国は「未来を共有する世界共同体」の理論的基礎、実践、発展を紹介し、世界のより良い未来への道を指し示した。中国から学ぼうとする発展途上国であれ、中国をより深く理解しようとする欧米諸国の個人であれ、偏った見方をせずにアプローチする限り、誰もがこの記事からインスピレーションを得ることができるだろう。」 https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2019/0131_09.html https://english.www.gov.cn/news/202309/26/content_WS6512703dc6d0868f4e8dfc37.html このように、世界に向けて、中国政府としてビジョンを発表出来ること、それ自体が、中国の器の大きさであり、日本との格の違いを見せつけられた観がある。国家としての哲学があるということだ。 日本はこのような大方針や提言を国家としてまとめ上げて公表することなど出来ないだろう。そんな識見がある政治家や官僚が日本にいるようには見えない。 「また、米国を含む西側諸国に対し、偏見や利己主義を捨て、ビジョンを開くことを強く求める。私たちは、未来を共有するグローバル共同体の枠組みの中で協力し、すべての国々と共通の繁栄と調和を目指すべきである。彼らが望むと望まざるとにかかわらず、世界は新しい解決策を、あるいは複数の解決策を必要としている。 実際、中国が10年前に「未来を共有する世界共同体」の概念を提唱して以来、6年連続で国連総会決議に盛り込まれ、上海協力機構やBRICSなどの多国間メカニズムの決議や宣言にも盛り込まれている。国際社会、とりわけ発展途上国の理解と支持を得ている。しかし、そのことが米国などの先進国の警戒心や抵抗、さらには妨害を呼び起こし、未来を共有する国際共同体の構築にとって最大の障害となっている。」 アメリカ帝国ら西側が世界のガンだと言われている。同感だ。アメリカ帝国の一極覇権主義が世界を戦争と混乱に陥れていることは、歴史が証明している。上記の論文は次のように述べている。 「台頭する大国が必然的に覇権を求めるという鉄則はない。この仮定は典型的な覇権主義的思考であり、過去の覇権国同士の破滅的な戦争の記憶に根ざしている。中国は、ある国が十分に強くなれば、必ず覇権を求めるようになるということを受け入れたことはない。中国は、覇権は衰退を招くという歴史の教訓を理解している。侵略や拡大ではなく、自らの努力によって発展と活性化を追求する。そして、われわれが行うことはすべて、国民により良い生活を提供するためであり、同時に全世界により多くの発展の機会を創出するためであって、他国に取って代わるためでも、他国を服従させるためでもない。」 「中国は、覇権は衰退を招くという歴史の教訓を理解している。」中国は覇権主義はとらないと言っている。 とは言え、ホントかー?みたいな疑念をもつのムキもあるだろう。しかし、私はこういうことを、スバっと言ってのける中国という国に感嘆してしまうのである。 それに比べ、「小日本」の情けなさよ。
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中国に対する日本の主流権威筋メディアの論調は兎角対抗意識むき出しであったり、否定的な傾向が強い。
例えば、一帯一路政策については、やたらと「債務の罠」問題をあげつらうみたいな論調が常套手段になっている。
https://mainichi.jp/graphs/20231016/mpj/00m/030/001000f/20231015k0000m030137000p
しかし、日本もかつてODA大国とよばれた時代、タイド援助とか紐付援助みたいな批判が付きまとっていた。
https://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/lecture/2000/nakai/Roda.html
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo/10_hakusho/honbun/b0/yogo.html
政府開発援助(ODA)は、慈善事業ではないだろうし、国益と結びついている部分を否定できないだろう。
要は、程度の問題だろう。日本も、中国もODA大国らしいから、双方似たような課題があると見るのが妥当な理解ではないか?にも関わらず、中国の一帯一路がらみで、やたらと「債務の罠」を言い立てるのは、自らの問題を棚に上げたバランスを欠いた不毛な姿勢に見えてしまう。
https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2019/0131_09.html
しかも、中国はいまや非米側のリーダーである。そのことは、BRICS、SCO、一帯一路における中国の役割を見れば明白だ。
日本は国力のあらゆる点で中国に太刀打ち出来ない。その現実を踏まえて、日本の生き残り策を考えるべきだ。にも関わらず、アメリカ帝国の尻馬にのり、中国敵視外交を続けることは不合理の極みだ。
あまり話題になっていないが、最近、中国は次のような論文を発表している。
「中国国務院情報弁公室は9月26日、「未来を共有する国際社会」と題する白書を発表した:中国の提案と行動 "と題する白書を発表した。習近平国家主席が「未来を共有する世界共同体の構築」を提唱して10周年を迎えたことを背景に、中国は「未来を共有する世界共同体」の理論的基礎、実践、発展を紹介し、世界のより良い未来への道を指し示した。中国から学ぼうとする発展途上国であれ、中国をより深く理解しようとする欧米諸国の個人であれ、偏った見方をせずにアプローチする限り、誰もがこの記事からインスピレーションを得ることができるだろう。」
https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2019/0131_09.html
https://english.www.gov.cn/news/202309/26/content_WS6512703dc6d0868f4e8dfc37.html
このように、世界に向けて、中国政府としてビジョンを発表出来ること、それ自体が、中国の器の大きさであり、日本との格の違いを見せつけられた観がある。国家としての哲学があるということだ。
日本はこのような大方針や提言を国家としてまとめ上げて公表することなど出来ないだろう。そんな識見がある政治家や官僚が日本にいるようには見えない。
「また、米国を含む西側諸国に対し、偏見や利己主義を捨て、ビジョンを開くことを強く求める。私たちは、未来を共有するグローバル共同体の枠組みの中で協力し、すべての国々と共通の繁栄と調和を目指すべきである。彼らが望むと望まざるとにかかわらず、世界は新しい解決策を、あるいは複数の解決策を必要としている。
実際、中国が10年前に「未来を共有する世界共同体」の概念を提唱して以来、6年連続で国連総会決議に盛り込まれ、上海協力機構やBRICSなどの多国間メカニズムの決議や宣言にも盛り込まれている。国際社会、とりわけ発展途上国の理解と支持を得ている。しかし、そのことが米国などの先進国の警戒心や抵抗、さらには妨害を呼び起こし、未来を共有する国際共同体の構築にとって最大の障害となっている。」
アメリカ帝国ら西側が世界のガンだと言われている。同感だ。アメリカ帝国の一極覇権主義が世界を戦争と混乱に陥れていることは、歴史が証明している。上記の論文は次のように述べている。
「台頭する大国が必然的に覇権を求めるという鉄則はない。この仮定は典型的な覇権主義的思考であり、過去の覇権国同士の破滅的な戦争の記憶に根ざしている。中国は、ある国が十分に強くなれば、必ず覇権を求めるようになるということを受け入れたことはない。中国は、覇権は衰退を招くという歴史の教訓を理解している。侵略や拡大ではなく、自らの努力によって発展と活性化を追求する。そして、われわれが行うことはすべて、国民により良い生活を提供するためであり、同時に全世界により多くの発展の機会を創出するためであって、他国に取って代わるためでも、他国を服従させるためでもない。」
「中国は、覇権は衰退を招くという歴史の教訓を理解している。」中国は覇権主義はとらないと言っている。
とは言え、ホントかー?みたいな疑念をもつのムキもあるだろう。しかし、私はこういうことを、スバっと言ってのける中国という国に感嘆してしまうのである。
それに比べ、「小日本」の情けなさよ。