ゲスト のコメント


 中道左派さんへ、文科系です。
 御応答、有り難うございます。そこで、さらなる問題整理のための拙考を少々。以下は、17年間の右相手などのブログやり取りから、自分に戒めて来たこと。

 文中実証派と「プラス演繹も」と書きました。「事実」とか「実証」とかは誰でも重要と言えます。そういう人でも実は、世界や政治全体から「何を実証的に語るか」の大枠の諸理論、命題を持っているもの。人の実証も実はこの大枠の産物なのだという性格があります。この大枠でまず、ほとんど日本のことしか学ばない人はダメですよね。ポピュリズム右翼が先ず駄目なゆえんです。
 次に今、アメリカ、中国(と日本の間柄)も考えるとします。ここのいろんな大枠でも、グレイドがあって、より長く、大きく実証世界を規定するものかどうか。しっかりした大枠を押さえる力が無かったら保守実証論議の力さえ無いわけでしょ?
 とこんな訳で、自他のこの大枠を常に意識して実証討論をやっていくことを、僕は自分に戒めてきました。相手の大枠が短小ならば、相手の実証論議も「枯れ尾花」と分かって来て、カッカしなくなります。

 一例に過ぎませんが、英米流金融・株主資本主義はここ40年ほどとっても大きな枠ですが、これが限界に来ていると観ています。「米GDPの4倍の国家累積赤字」(2015年元会計検査委員長調査・発表)、「米中西部白人労働者の『反乱』がねじ曲がった形で・・トランプ・ポピュリズムの頽廃頽廃現象」とか、対中国米米ポーズでもなんでも「パーパス文書」(2019年)とかが起こったわけでしょ。この問題がさらには固有バブル経済からリーマンショックとか、通貨戦争への世界の恐怖や「嫌悪」、クレディスイス倒産からその最大株主サウジの軟化など、世界を大揺れにしているわけだ。そして、このすべてが日本には特に、もろに被されてくる。だから、これらを避けているような日本実証論議などは、先ず10年単位の正しい議論にもならない。

 明治になってから哲学という翻訳語が生まれた日本では、普通の政治論議には特に、この実証と演繹の自覚などほとんどありません。つまり誰もが実証だけを喋っている気になっている。だからこそ、大枠が違う人同士はすぐに、訳も分からず、喧嘩になってしまう。ある人は30年単位(大枠)で話をしているのに、この相手は10年単位で応えているとか。なのに、お互いただ実証の話をしているつもりだから全く難しいことになります。

 最後ですが米が〝新しい(世界)コンセンサス〟などと去年5月に言い出したのをご存知ですか。大きくも新ワシントンコンセンサスなどと聞けば、これは超大枠でしょ。拙ブログ「グーブログ 9条バトル 2023年05月15日 』に解説しています。これも「パーパス文書」と同じで、弁解まみれの大げさなマヌーバーという面もあるでしょうが、一定現実も反映したもののはず。こんな今、無制限むやみやたらな「パワーポリテックス」理論でもって「中共」批判などという牽強付会論議をやれば、議論としても大変な非現実的な大混乱。「力こそすべて」議論でもって、まだ弱い方の行動ではなく、思想を裁いているのだ。人間裁判でさえ実定法なのに、国を思想で裁いて説得力ある積もりって、大枠外れも良いところ。その思想の顕れとしての行動でしか何も裁けないのだから、凄まじく当然の大不公平をやっているわけだが、その自覚も無いんじゃ議論の相手としてはどうしようもない。他方では自分らの行動には

No.29 14ヶ月前

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