中庸左派 のコメント

>サマーズ元米財務長官、米国は国際的影響力を失いつつある

 Moon of Alabama、4月15日の記事は、題して「中国が欧米融資の植民地支配を打破する方法」であった。

 経済学者のラディカ・デサイとマイケル・ハドソンが、最新の地政学レポートとして、ロシアの「西側」からの脱却について論じる動画がベースだが、この中で、中国が貧困国の債務問題に関して、アメリカ帝国等が主導するスキームに楯突いているというか、欧米の金融「植民地主義」に従わない論理を展開しているという。

 この点について、GlobalTimesとして4月10日「世界の最貧国に対する債務再編の行き詰まりの解消」という課題において、「中国が世界の債務再編のプロセスをいかに妨げているかという誤った命題を、一部の西側メディアが大々的に報道したため、いわゆる中国の債務の罠という物語が再び浮上した」ことに対して怒りを込めた記事を出している。

https://www.globaltimes.cn/page/202304/1288824.shtml

 そもそも「途上国の最大の債権者である中国は、機関の仮定について疑問を呈し、プロセスを遅らせる」という西側の非難に関しては、「欧米の投資家は、商業債権者や多国間金融機関という形で、途上国の最大の債権者であることは、事実として繰り返し示されている。欧米諸国は、世界的な債務危機を悪化させ、競争的な通貨切り下げを引き起こし、発展途上国がその責任を負うという重要な役割を担ってきた。しかし、米国主導の欧米諸国は、常に政治的・経済的条件を伴う有毒融資によって生じた損害に対する責任を取ろうとしない。」と真っ向から反論している。

「欧米の地政学論理はこのようだ:欧米が世界に問題を起こしても、中国がその責任を負うべきだ。」このように、アメリカ帝国らを皮肉っている。

「米国の拡張的な金融政策、金融イノベーションが生み出すリスクの蓄積、ウォール街の悪質な空売り攻撃は、世界的な債務危機の際に常に要因となることを歴史は教えている。そして今、ドル高が世界経済にとって危険な存在となり、状況はさらに悪化している。現在、オフショア市場におけるクロスボーダー・ローンや国際債務証券の約半分は米ドル建てである。米国の無責任な金融政策とそれに伴うドル高は、途上国がドル建ての債務を履行するための費用を増大させ、世界的な債務危機をさらに深刻化させる恐れがある。」このような、まっとうなアメリカ帝国批判は、対米従属が染み付いた我が日本には望むべくもないが、中国の歯切れ良い対米批判は痛快である。

 「新興国の債務危機を解決するために、欧米、特に米国は無責任な金融政策を改め、世界の債務救済にもっと責任を持つべきである。」

 ここで、冒頭紹介したMoon of Alabamaにもどると、ラディカ・デサイ氏はこのように述べている。「債務問題が解決しない主な理由は、欧米が中国と取引しなければならないという事実、そして中国と公平に取引しなければならないという事実を受け入れることができなかったからです。

なぜなら、欧米がやりたいことは、まさに中国に対して負っている債務を借り換えさせることで、第三世界の債務返済が民間の金融業者に回るようにすることだからです。」

「そして、中国は基本的にこのすべての条件に疑問を抱いており、例えば中国は「なぜIMFと世界銀行が優先されなければならないのか?なぜ、その債務が取り消されないといけないのか。

そして欧米は、"But this has always been so "と言っています。

そして中国は、「IMFや世界銀行の改革を望まないのであれば、彼らの優先順位を受け入れるつもりはない」と言っています。」

 要するに世界銀行やIMFが、単に中国の債権を横取りするスキームは受け入れないということだろう。更には欧米の民間金融機関に債権が売り飛ばされて、ハゲタカ金融みたいな連中がボロ儲けするスキームは許さない、ということではないか。

 確かに中国は、融資プログラムを通じて開発途上国に5000億ドル以上を貸し付け、世界最大の債権者の1つとなっている。
. だから、米国は、他の西側諸国とともに、中国に対し、これらの国のいくつかが債務を再編し、その額を減らすことを認めるよう圧力をかけてきた。
 例えば、「ガーナは今年、IMFから30億ドルの融資の予備承認を得た後、共通枠組みとして知られている初期のプログラムを通じて債務救済を20カ国グループに訴えた。この資金は、ガーナが外国の金融機関に負っている約300億ドルを再編できる保証を得ることが条件である。ガーナの政府関係者は、中国に負っている20億ドルのリストラについて、中国側と会談している。」
 
 こうしたことについて、中国当局の基本的立場は「債務問題を効果的に解決するためには、共同行動と公平な負担の原則の下、多国間、二国間、商業債権者が共同で参加することが重要である。ガーナのケースは、米国が拒否権を持つIMFが、中国のような二国間融資先ではなく、「多国間」のIMFや世界銀行、「欧米」の民間融資先がヘアカットをした場合にのみ、新たな資金を貸すことを示している。」

 要するに、IMFや世界銀行、欧米の民間金融機関も債権放棄するなどの「公平な負担」をせよ、ということだろう。

 何故なら、「世界銀行の国際債務統計によると、2023年から2029年にかけて予定されているガーナの外貨建て対外債務返済(元本と利息を含む)の64%は、民間金融機関に対するものである。ガーナの債務シナリオに関する主要な報道では、中国がガーナの「最大の二国間債権者」であると強調される傾向があるが、アクラの対外債務残高のうち北京への債務はわずか10%に過ぎない。ガーナの対外債務のうち約130億ドルは、ブラックロック、アバードン、アムンディ(英国)リミテッドなどの大手資産運用会社によるユーロ債の形で保有されています。「ガーナの貸し手、特に民間の貸し手は、ガーナに融資するリスクを想定して高金利で融資していた」と公開書簡は述べています。」

 ブラックロック、アバードン、アムンディ(英国)リミテッドなどの大手資産運用会社。どこかで聞いた名前ではないか?深奥政府とか、なんとか?

「ガーナのユーロ債の金利は7%から11%です。そのリスクは現実のものとなりました。高いリターンを求めて貸し出したのですから、この経済ショック後、民間金融機関が進んで損失を受け入れ、ガーナの大幅な債務解消に迅速に合意するのは当然です。」

「彼らは、国がIMFの規定する緊縮策に対して政治的に譲歩し、その新しい資金を民間の「西洋」金融機関に支払うために使う場合にのみ、より多くの資金を提供することを望むのです。」

 最後は欧米の投資ファンドやらメガバンクがボロ儲けして最貧国から利息をムシりとるわけだろう。中国はこうした不公正に異議申し立てしている。

 「中国は、IMF、世界銀行、そして民間の金融機関に対し、債務損失について、自国の負担と同程度の負担をするよう要求しています。中国人民銀行が金曜日に発表した声明によると、中国中央銀行の李剛総裁は、世界銀行と国際通貨基金(IMF)の春季総会で、中国は他国との債務処理に関する共通の枠組みを実施する意思があると発言したとのことです。中国外交部の王文彬報道官は、李氏の発言を受け、金曜日の記者会見で、中国は発展途上国のソブリン債務問題を非常に重視しており、多国間債権者、二国間債権者、商業債権者が共同行動と公正な方法に従って債務処理に参加するよう呼びかけたと述べた。」

 これに対して、「欧米の債権者は、信用格付けを維持する必要があると主張し、債務救済とサービス停止の取り組みに参加することを拒否している」とのことだ。この期に及んで、まだ格付け等を心配するアメリカ帝国型の貪欲悪辣な資本主義。前例のない大規模な金利引き上げによって、世界的に金融環境が引き締まり、特定の国の深刻な債務問題がさらに深刻になっていることになんの反省も無いのだろう。

「中国は、すべての貸し手に平等な条件で国際的な債務救済を行うという新しいスキームを押し進め続けている。」

 まっとうな姿勢である。

 上に引用したラディカ・デサイは、中国の債務救済の立場についてこう言っている

「これは、第一次世界大戦以来の大きな変化の一つです。」

 そして、マイケル・ハドソン氏はこう述べた。

「明らかに、新しいグローバルな世界支配の秩序を特徴づけるものは、中国が行ったようなことを他の国々が行う混合経済です。欧米のようにお金や土地、つまり住宅や雇用を商品化、民営化、金融化するのではなく、公的権利や公共事業とするのです。つまり、ドル・NATO圏から脱却するためには、1つの国の通貨だけでなく、他の国の通貨も必要だということです。

中国元やロシアルーブルなどの通貨がドルに取って代わるという問題ではないだろう。まったく別の経済システムなのです。

これこそ、主要メディアで議論することが許されていないことなのです。」

No.17 20ヶ月前

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