「中国、半導体輸出管理措置を巡って日本を相手にWTOに提訴」GlobalTimes(2023 年 4 月 5 日) https://www.globaltimes.cn/page/202304/1288555.shtml 記事によると「中国商務部(MOFCOM)のスポークスマンは、火曜日遅くにプレスリリースで、中国は日本の半導体輸出規制を強く懸念し、その行為を是正するよう促していると述べた。中国はこの問題で日本をWTOに提訴しており、日本側が二国間の半導体協力の中断を主張するならば、その正当な権利を守るために断固とした措置を取ると報道官は述べている。報道官は、「日本が国内の合理的な声に耳を傾け、誤った慣行を適時に是正し、両国の経済・貿易関係の健全な発展を促進し、世界の半導体産業サプライチェーンの安定性を維持するためにすべての関係者と協力することを望む」と指摘した、とのこと。経済界には中国市場への販路維持を求める「合理的な声」も当然あるだろう。 「中国は世界最大の半導体市場であり、日本の半導体製造装置の最大の輸出先です。」、アメリカ帝国の横暴により商機を失う日本半導体産業界の怨嗟の声が聞こえてくるようだ。 同じくGlobalTimesの「サムスンの利益急落は、米国の「チップ戦争」が世界の半導体セクターに与えるダメージを強調するものである」(2023 年 4 月 8 日) https://www.globaltimes.cn/page/202304/1288723.shtml 「米国は、いわゆる「チップ4アライアンス」を構築することで、韓国や日本など半導体サプライチェーンの主要プレーヤーを取り込み、ワシントンのリードで中国への半導体関連製品や技術の輸出を規制する意図を明らかにしている。しかし、技術的な冷戦によって、チップはもはやグローバルな協力関係の産物ではなくなる可能性が高く、誰も勝者になることはできないだろう。」 「中国は、世界の半導体産業にとって最大の市場であり、チップメーカー大手の産業チェーンに欠かせない存在である。米国が仕掛けた中国との「チップ戦争」によって、中国が米国とその同盟国から切り捨てられるリスクを減らすために、技術革新を追求し、独自の半導体サプライチェーンを開発する必要に迫られているからです。」 中国が自らの半導体生産を拡充するなら、日本に対する生産需要はそもそも無くなるだろう。そうすると、日本の半導体産業衰退がますます加速するのではないか。 このような負の連鎖は、経済的合理性とは程遠い。資本主義の「総本山」アメリカ帝国は、かつて合理的経済人を想定して市場原理主義の正当性を世界に押し付けた。だが、アマルティア・センは『合理的な愚か者』を著して、市場原理主義を批判した。 今、アメリカ帝国が押し付ける経済は、非合理にして愚かな行為でしかなくなった。
チャンネルに入会
フォロー
孫崎享チャンネル
(ID:119568177)
「中国、半導体輸出管理措置を巡って日本を相手にWTOに提訴」GlobalTimes(2023 年 4 月 5 日)
https://www.globaltimes.cn/page/202304/1288555.shtml
記事によると「中国商務部(MOFCOM)のスポークスマンは、火曜日遅くにプレスリリースで、中国は日本の半導体輸出規制を強く懸念し、その行為を是正するよう促していると述べた。中国はこの問題で日本をWTOに提訴しており、日本側が二国間の半導体協力の中断を主張するならば、その正当な権利を守るために断固とした措置を取ると報道官は述べている。報道官は、「日本が国内の合理的な声に耳を傾け、誤った慣行を適時に是正し、両国の経済・貿易関係の健全な発展を促進し、世界の半導体産業サプライチェーンの安定性を維持するためにすべての関係者と協力することを望む」と指摘した、とのこと。経済界には中国市場への販路維持を求める「合理的な声」も当然あるだろう。
「中国は世界最大の半導体市場であり、日本の半導体製造装置の最大の輸出先です。」、アメリカ帝国の横暴により商機を失う日本半導体産業界の怨嗟の声が聞こえてくるようだ。
同じくGlobalTimesの「サムスンの利益急落は、米国の「チップ戦争」が世界の半導体セクターに与えるダメージを強調するものである」(2023 年 4 月 8 日)
https://www.globaltimes.cn/page/202304/1288723.shtml
「米国は、いわゆる「チップ4アライアンス」を構築することで、韓国や日本など半導体サプライチェーンの主要プレーヤーを取り込み、ワシントンのリードで中国への半導体関連製品や技術の輸出を規制する意図を明らかにしている。しかし、技術的な冷戦によって、チップはもはやグローバルな協力関係の産物ではなくなる可能性が高く、誰も勝者になることはできないだろう。」
「中国は、世界の半導体産業にとって最大の市場であり、チップメーカー大手の産業チェーンに欠かせない存在である。米国が仕掛けた中国との「チップ戦争」によって、中国が米国とその同盟国から切り捨てられるリスクを減らすために、技術革新を追求し、独自の半導体サプライチェーンを開発する必要に迫られているからです。」
中国が自らの半導体生産を拡充するなら、日本に対する生産需要はそもそも無くなるだろう。そうすると、日本の半導体産業衰退がますます加速するのではないか。
このような負の連鎖は、経済的合理性とは程遠い。資本主義の「総本山」アメリカ帝国は、かつて合理的経済人を想定して市場原理主義の正当性を世界に押し付けた。だが、アマルティア・センは『合理的な愚か者』を著して、市場原理主義を批判した。
今、アメリカ帝国が押し付ける経済は、非合理にして愚かな行為でしかなくなった。