>ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長は、「これによる実体経済へのダメージはかなり限定的であると、希望だけでなく、今でも信じている」と述べた。 SVBに端を発した今回の金融機関連鎖破綻。様々な見方があると考えるが、やはり西側主流権威筋メディアだけでなく、非米側の視点を見ておくことも大事だろう。 そこで、まずはGlobalTimes(環球時報)「SVBの崩壊は、米国内の深い内部矛盾を明らかにする」(2023 年 3 月 17) 日 という記事から。 https://www.globaltimes.cn/page/202303/1287478.shtml 「実際、フィナンシャル タイムズは、5 つの主要大学のエコノミストによる研究を強調する記事を掲載したところ、「米国の銀行システムの資産の市場価値は、資産の簿価で示唆されているよりも 2 兆ドル低い」ことがわかりました。さらに、「銀行の 10% は、SVB よりも大きな未認識損失を抱えています。また、SVB は自己資本が最悪の銀行ではありませんでした。10% の銀行は SVB よりも資本金が低くなっています。」 私が興味深いのは、SVBは自己資本が少なすぎたわけではない、という話。今、欧州金融危機の中心であるクレディ・スイスも自己資本は潤沢だから、大丈夫!という見方があるようだが、どんなものだろうか? もう一つ、GlobalTimes(環球時報)の「SVBの崩壊は、低リスクの収益を厳密に維持する必要性を浮き彫りにしています:元中国財務大臣」(2023 年 3 月 18 日 )からクレディ・スイスについて。 https://www.globaltimes.cn/page/202303/1287515.shtml 「ヨーロッパでは、167 年の歴史を持つスイスの銀行であり、ヨーロッパ全体で 17 番目に大きな貸し手でもあるクレディ スイスに警鐘が鳴らされました。株価は 3 月 8 日以降 30% 下落しています。銀行は流動性を強化するためにスイス中央銀行から 540 億ドルの融資を確保しましたが、投資家心理は依然として不安定です。 銀行の破綻と緊急事態は、欧州と米国で長期にわたってくすぶり続ける深刻な金融リスクが、定期的な発生の臨界点に達したことを示している、と中国人民大学の重陽金融研究所の上級研究員、Dong Shaopeng 氏は語った。」 この【欧州と米国で長期にわたってくすぶり続ける深刻な金融リスク】が【臨界点に達した】という表現は金融崩壊を示唆しているのだろうか? クレディ・スイスのCDS(債券破綻保険の保険料)は急騰して過去最高、「スイスの競合銀行であるUBSグループの18倍、ドイツバンクの9倍水準だ。」(韓国・中央日報https://news.yahoo.co.jp/articles/cdbbe75d28708389c10179491398cafec08f3f93)株価も史上最安値を更新。 因みに、クレディスイスの最大株主は約10%を保有するサウジアラビアのナショナル銀行だという。この銀行が、クレディスイスから金融支援依頼を拒否したから、クレディスイスが流動性危機に瀕したと言われている(田中宇氏・「リーマン以上の危機の瀬戸際」より)。 最近、サウジは石油取引の決済に人民元を利用し始めると聞くが、その流れを合わせて考えると通じる事があるかもしれない。 では、米欧の金融危機に比べて、中露の状況はどうだろうか?再び、上記、GlobalTimes(環球時報)(2023 年 3 月 18 日 )の記事に戻る。 「SVB のメルトダウンを受けて世界の銀行株の価値が急落する中、中国の銀行株はまとめて反発しました。中国銀行の株価は 3 月 8 日の 3.33 元 (0.48 ドル) から 3 月 17 日の 3.48 元に急騰し、5 年ぶりの高値に達しました。」 そして、ロシア。 3月14日、タス通信「ペスコフ:ロシア連邦の銀行システムは、米国で発生している危機に対して保証されています」 https://tass.ru/ekonomika/17258905 「ZeroHedge」という投資家向けの英語経済webサイトはもっと辛辣だ。「ロシアは西側の銀行危機を嘲笑し、積極的な制裁が絶縁を提供したと言う」 https://www.zerohedge.com/political/russia-mocks-banking-crisis-says-western-sanctions-have-insulated-country 「ドミトリー・ペスコフ氏は、「わが国の銀行システムは、国際金融システムの一部と一定のつながりを持っているが、大部分は西側集団からの違法な規制下にある」と述べた。「私たちは、現在海外で展開している危機の悪影響に対して、ある程度保証されています」と彼は付け加えた.」 皮肉なことに、ここでも、アメリカ帝国等の経済制裁はロシア経済を掘り崩すどころか、補強する効果を作り出している。 最後に今後の見通しに関する見解。 「バイデン大統領が、誰もこれらの救済策にお金を払う必要はないと言ったとき、彼は間違っています。私たちは皆、インフレを通じて支払うつもりです。連邦準備制度がお金を印刷することで資金を調達しているからです。そして、すべての価格が上昇します。実際、インフレがすべての人の貯蓄の価値を破壊するため、銀行預金はこれまで以上に危険にさらされています。」 https://schiffgold.com/interviews/peter-schiff-the-latest-bank-bailout-is-another-nail-in-capitalisms-coffin/ さて、インフレ退治と金融緩和は両立するか?見ものである。
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>ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長は、「これによる実体経済へのダメージはかなり限定的であると、希望だけでなく、今でも信じている」と述べた。
SVBに端を発した今回の金融機関連鎖破綻。様々な見方があると考えるが、やはり西側主流権威筋メディアだけでなく、非米側の視点を見ておくことも大事だろう。
そこで、まずはGlobalTimes(環球時報)「SVBの崩壊は、米国内の深い内部矛盾を明らかにする」(2023 年 3 月 17) 日 という記事から。
https://www.globaltimes.cn/page/202303/1287478.shtml
「実際、フィナンシャル タイムズは、5 つの主要大学のエコノミストによる研究を強調する記事を掲載したところ、「米国の銀行システムの資産の市場価値は、資産の簿価で示唆されているよりも 2 兆ドル低い」ことがわかりました。さらに、「銀行の 10% は、SVB よりも大きな未認識損失を抱えています。また、SVB は自己資本が最悪の銀行ではありませんでした。10% の銀行は SVB よりも資本金が低くなっています。」
私が興味深いのは、SVBは自己資本が少なすぎたわけではない、という話。今、欧州金融危機の中心であるクレディ・スイスも自己資本は潤沢だから、大丈夫!という見方があるようだが、どんなものだろうか?
もう一つ、GlobalTimes(環球時報)の「SVBの崩壊は、低リスクの収益を厳密に維持する必要性を浮き彫りにしています:元中国財務大臣」(2023 年 3 月 18 日 )からクレディ・スイスについて。
https://www.globaltimes.cn/page/202303/1287515.shtml
「ヨーロッパでは、167 年の歴史を持つスイスの銀行であり、ヨーロッパ全体で 17 番目に大きな貸し手でもあるクレディ スイスに警鐘が鳴らされました。株価は 3 月 8 日以降 30% 下落しています。銀行は流動性を強化するためにスイス中央銀行から 540 億ドルの融資を確保しましたが、投資家心理は依然として不安定です。 銀行の破綻と緊急事態は、欧州と米国で長期にわたってくすぶり続ける深刻な金融リスクが、定期的な発生の臨界点に達したことを示している、と中国人民大学の重陽金融研究所の上級研究員、Dong Shaopeng 氏は語った。」
この【欧州と米国で長期にわたってくすぶり続ける深刻な金融リスク】が【臨界点に達した】という表現は金融崩壊を示唆しているのだろうか?
クレディ・スイスのCDS(債券破綻保険の保険料)は急騰して過去最高、「スイスの競合銀行であるUBSグループの18倍、ドイツバンクの9倍水準だ。」(韓国・中央日報https://news.yahoo.co.jp/articles/cdbbe75d28708389c10179491398cafec08f3f93)株価も史上最安値を更新。
因みに、クレディスイスの最大株主は約10%を保有するサウジアラビアのナショナル銀行だという。この銀行が、クレディスイスから金融支援依頼を拒否したから、クレディスイスが流動性危機に瀕したと言われている(田中宇氏・「リーマン以上の危機の瀬戸際」より)。
最近、サウジは石油取引の決済に人民元を利用し始めると聞くが、その流れを合わせて考えると通じる事があるかもしれない。
では、米欧の金融危機に比べて、中露の状況はどうだろうか?再び、上記、GlobalTimes(環球時報)(2023 年 3 月 18 日 )の記事に戻る。
「SVB のメルトダウンを受けて世界の銀行株の価値が急落する中、中国の銀行株はまとめて反発しました。中国銀行の株価は 3 月 8 日の 3.33 元 (0.48 ドル) から 3 月 17 日の 3.48 元に急騰し、5 年ぶりの高値に達しました。」
そして、ロシア。
3月14日、タス通信「ペスコフ:ロシア連邦の銀行システムは、米国で発生している危機に対して保証されています」
https://tass.ru/ekonomika/17258905
「ZeroHedge」という投資家向けの英語経済webサイトはもっと辛辣だ。「ロシアは西側の銀行危機を嘲笑し、積極的な制裁が絶縁を提供したと言う」
https://www.zerohedge.com/political/russia-mocks-banking-crisis-says-western-sanctions-have-insulated-country
「ドミトリー・ペスコフ氏は、「わが国の銀行システムは、国際金融システムの一部と一定のつながりを持っているが、大部分は西側集団からの違法な規制下にある」と述べた。「私たちは、現在海外で展開している危機の悪影響に対して、ある程度保証されています」と彼は付け加えた.」
皮肉なことに、ここでも、アメリカ帝国等の経済制裁はロシア経済を掘り崩すどころか、補強する効果を作り出している。
最後に今後の見通しに関する見解。
「バイデン大統領が、誰もこれらの救済策にお金を払う必要はないと言ったとき、彼は間違っています。私たちは皆、インフレを通じて支払うつもりです。連邦準備制度がお金を印刷することで資金を調達しているからです。そして、すべての価格が上昇します。実際、インフレがすべての人の貯蓄の価値を破壊するため、銀行預金はこれまで以上に危険にさらされています。」
https://schiffgold.com/interviews/peter-schiff-the-latest-bank-bailout-is-another-nail-in-capitalisms-coffin/
さて、インフレ退治と金融緩和は両立するか?見ものである。