中庸左派 のコメント

 以下は田中宇氏の『多極型覇権と中国』(2023.3.8)における「田中史観」を踏まえた、昨今、日韓関係の分析。

「最近は韓国が日本に和解を提案している。これは、日韓から米軍・米覇権が撤退する時が近づいているからだ。従来の米覇権下では、日韓が仲違いし続けて米軍が日本と韓国に別々に駐留し続けている方が米国の軍事費が浪費できて、軍産と隠れ多極主義者の両方に好都合だった。日本と韓国の主流派である米傀儡勢力も、米国とのつながりを強くしておくため日韓が別々に米国に従属するハブ&スポーク型の恒久化を望んできた。しかし今後は米国が退潮し、日韓は対米自立を余儀なくされ、相互に対立し続けることが愚策に転じる。米国の退却後、極東は、日本と韓国が仲良く中国の朝貢国になる感じになっていく。台湾は話し合いで中国の傘下に入っていく。」

>米国が現時点で「日韓関係の改善」が必要不可欠とする政策課題は大きくみて、2つある。一つはサプライチェーン(供給網)の再編、もう一つが安全保障分野での「統合抑止」(integrated deterrence)、だ。

 アメリカは自国で半導体を生産するのが難しいから日韓台の供給網を作り、半導体調達力を強化したい。また、「台湾有事」を演出し、アメリカ帝国の命令一下、日韓をアメリカ帝国の前方戦力として、戦わせたい、武器も在庫一掃セールで買わせたい。そんな意図は当然あるのだろう。

 しかし、一方、東アジアの地政学的状況から考えれば、田中氏が言うような「米国の退却後、極東は、日本と韓国が仲良く中国の朝貢国になる感じになっていく。台湾は話し合いで中国の傘下に入っていく。」というシナリオが平和的で望ましいと考えている。そのためにめ日韓の和解は必須要件ではないかと考えている。

>日本の中国専門家の間では「台湾が独立を宣言しない限り、中国が近く、台湾に侵攻する可能性はほとんどないだろう」という声が強い。

 東アジアの軍事的緊張を高めて得をするのは、アメリカ帝国軍産複合体以外にはあり得ないだろう。

>台湾有事に備え、防衛力を強化し、反撃能力を保有することには賛成だが、何でもかんでも米国の戦略に乗っかれば良いというものでもあるまい。

 「台湾有事に備え、防衛力を強化し、反撃能力を保有することには賛成」という主張には、私は全く理解も、賛同も出来ない。台湾有事は、中国の内政問題であり、日本は静観し、口出しも手も出すべきではない。

 この論者の「何でもかんでも米国の戦略に乗っかれば良いというものでもあるまい」という考え方は、日中韓の関係強化の文脈においてこそ、意義があるだろう。

No.2 20ヶ月前

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