りゃん のコメント

記事を読み返してみると

>>まさに香港の民主化弾圧と同様の効果を

とか、ちゃんと書いておられる。昨日の孫崎さんの放送はまだ見ていないのだが、嶽本あゆ美氏は、目配りの効いた方なのだろうなと感じた。台湾についてはどのような発言をなさるだろうか。

>>16
change さん、おはようございます。移民についてどう考えるかということですが、今回の記事に関連してもう少し書きたいので、さきにそちらをかたづけます。

14で「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」について書きましたが、これはまさに「社会主義」とか「無政府主義」などと同じく、当時最先端の「イデオロギー」「主義」だということを申し上げたかったのです。

透谷は引用した文章の冒頭近くで、
「悲しくも我が文学の祖先は、処女の純潔を尊とむことを知らず。徳川氏時代の戯作家は言へば更なり、古への歌人も、また彼の霊妙なる厭世思想家等も、遂に処女の純潔を尊むに至らず、云々」「夫れ高尚なる恋愛は、其源を無染無汚の純潔に置くなり。純潔より恋愛に進む時に至道に叶へる順序あり云々」とあります。日本には(特殊な状況・文脈で処女を重視したというようなことはあったに違いないとおもいますが)、「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」、つまり、性体験のない男女が出会って恋愛し、それが結婚に通じ、愛情にもとづきながら結婚生活を維持して、子孫を残していく、というような考え方はなかったことを透谷は嘆いているわけです。

しかし当時日本人の庶民の9割以上は農民で、とくに豊かでもない普通の農民であれば、いまでいう中学2年、3年生くらいになれば、労働も一人前、性愛も一人前、というわけで、男も女も「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」などなんのこっちゃという感じだったでしょう。changeさんが9で一端を議論しておられるような結婚観のほうが、よほど当時の庶民にしっくりきたはずです。もちろん乱倫だったというようなことはなく、それなりの秩序があったに違いないのですが、そういう状況を、当時日本にやってきた、無知だが善良な欧米白人中流婦人がどうみたか、というようなことを考えてみたくなります。

くわしく展開しませんが、「処女の純潔」が意識されるのは、女子の高等教育普及と無縁ではないというようなことは直感的に理解していただけるのではないでしょうか。

さて、そこから百数十年、今では、ただの庶民が、「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」を主張したり、反米革命を希ったりするほど偉くなったわけですが、その(十分条件とはいえませんが)必要条件はなんだったのか。

ひとつは、明治維新からはじまる西欧近代を模範とした日本の近代化であり、戦後についていえば、1950年代頃の米国に強く影響された米国支配ということになるだろうと考えています。

まあ、それだけなんですが、こういうことにどうも無自覚なヒトビトが多い感じをいつも受けているので。

なかなか移民にいきつきませんが、今晩以降、もう少しここで続けます。よければおつきあいください。

No.22 24ヶ月前

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