santafede33 のコメント

 アナウンサーという聞き慣れない職業は、もちろん、日本以外では存在していない。アナウンスをする人というのは、真っ先にこのご時世AIに取って代わられるべく職業の筆頭だが、なくなるはずはない。その多様性からアナウンサーと読んでいるものの、アナウンス以外の職務を全うすることが殆どだからだ。
 マルケスは、元々、記者だったというのは誰もが知っている。だが、彼の記事はアナウンスされたことがない。彼は、主に新聞を主戦場としていたので、読者にはアナウンスする人達が必要なかった。勝手にその声は鳴らされていた。
 数年前にRelato de un naufragoが音声ドラマとして甦った。原文を忠実に読むパート、そして関係者へのインタビューという、事実→フィクションの流れを逆行するような作りになっていた。もちろん、マルケスへのオマージュが満載である。スペインのプロダクションの制作だが、ナレーターは、わざわざコロンビア人を使っていた。
 最初にガルシアマルケスが、田中みな実に朗読された時に感じた違和感。それは、アナウンスされるというものが足りなかったマルケスの記者としての本分の浄化だった。
 ガルシアマルケスを田中みな実に朗読させたと言うよりは、田中みな実にガルシアマルケスが朗読してもらったと言う方が正しいと理解している。マルケスに唯一足りなかったもの、それは、彼の作品のアナウンスメントであることに、この番組のクリエイターは気付いていたのかも知れない。
 恐ろしいのは、現在、中核を担っている50代の訃報が相次ぎ、それによって生き残った80代がくっきりと存在感を増している状況。子が先に亡くなっていくのを、どんな気持ちで眺めているのだろう。ちなみに、彼らもその昔は、親より先に逝ってしまう子の世代だった。
 お体ご自愛ください。ワークショップの菊地カメラ、楽しみにしております。

No.1 28ヶ月前

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