魔都CDMXの南。先日、轟音と供に、橋が崩落し、列車が空から降ってきた。 助かった人もいたし、助からなかった人もいた。 でも、誰も驚かなかった。 もっと信じられない光景を、誰もが見たことがあるからだった。街は暗い。 当国に戻ってから、頭のフラフラが止まらない。 しばらく祖国に帰ってる間に、亡くなった人もいたし、今月家族がまた新たに旅立った。 でも、本当は、東京で見たあのギグの光景が、頭に巣くっているからじゃないかと疑っている。 こちらに来てから、長い間、戦場にいた。北米の雪降るビルの谷間で、中米の寂れた住宅街の中で、カリブ海の朽ち果てた要塞の前で、南米の近未来的な拷問施設の前で。そこは、ベネズエラであり、ホンジュラスであり、キューバであり、チリであり、合衆国であり、メキシコであった。 やっと解放された気分だった。 でも、すぐに次の戦場を探してしまう。そこで負った傷は、そうそう癒えない。 そして、フラフラの頭で、テレビを見ながらやっと気付いた。 ああ、ここにいる、悪くて、馬鹿で、面白い奴らって、ものすごくいい。 最高に面白い。悲しいほどに悪くて、馬鹿みたいに明るい。こんなにも街は暗いのに。 そういえば、周りを見渡せば、WBOばかり。 散歩をしていると聞こえてくる叫び声、一方通行の道を逆方向にぶっ飛ばす車両、僕の車の窓ガラスも何回もたたき割られた。パワーウインドウのボタンを押しても景色が変わらないので、自分の目が狂ったかと思ったが、ガラスがなくなってただけだった。砕け散ったガラスは、キチンとたたんで座席に置いてあった。誰かが間違えて、たたき割っただけかもしれない。僕が出来ることは、窓枠に新聞紙を貼るだけだ。 その新聞を見る。 そこには物語が溢れている。悪い奴らの、面白くて、馬鹿な話。 ここには二種類の悪い奴らがいる。悪い奴らと、もっと悪い奴ら。 街を歩くと、そこには人と物語が溢れている。
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ビュロー菊地チャンネル
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魔都CDMXの南。先日、轟音と供に、橋が崩落し、列車が空から降ってきた。
助かった人もいたし、助からなかった人もいた。
でも、誰も驚かなかった。
もっと信じられない光景を、誰もが見たことがあるからだった。街は暗い。
当国に戻ってから、頭のフラフラが止まらない。
しばらく祖国に帰ってる間に、亡くなった人もいたし、今月家族がまた新たに旅立った。
でも、本当は、東京で見たあのギグの光景が、頭に巣くっているからじゃないかと疑っている。
こちらに来てから、長い間、戦場にいた。北米の雪降るビルの谷間で、中米の寂れた住宅街の中で、カリブ海の朽ち果てた要塞の前で、南米の近未来的な拷問施設の前で。そこは、ベネズエラであり、ホンジュラスであり、キューバであり、チリであり、合衆国であり、メキシコであった。
やっと解放された気分だった。
でも、すぐに次の戦場を探してしまう。そこで負った傷は、そうそう癒えない。
そして、フラフラの頭で、テレビを見ながらやっと気付いた。
ああ、ここにいる、悪くて、馬鹿で、面白い奴らって、ものすごくいい。
最高に面白い。悲しいほどに悪くて、馬鹿みたいに明るい。こんなにも街は暗いのに。
そういえば、周りを見渡せば、WBOばかり。
散歩をしていると聞こえてくる叫び声、一方通行の道を逆方向にぶっ飛ばす車両、僕の車の窓ガラスも何回もたたき割られた。パワーウインドウのボタンを押しても景色が変わらないので、自分の目が狂ったかと思ったが、ガラスがなくなってただけだった。砕け散ったガラスは、キチンとたたんで座席に置いてあった。誰かが間違えて、たたき割っただけかもしれない。僕が出来ることは、窓枠に新聞紙を貼るだけだ。
その新聞を見る。
そこには物語が溢れている。悪い奴らの、面白くて、馬鹿な話。
ここには二種類の悪い奴らがいる。悪い奴らと、もっと悪い奴ら。
街を歩くと、そこには人と物語が溢れている。