菊地成孔(著者) のコメント

菊地成孔 菊地成孔
(著者)

>>19

 フロイドの存命中にまだジャズは生まれてなかったので、フロイドが不感症に悩んだのは、シェーンベルグ等々の、当時の現代音楽です。また、モーツァルトの素朴でポップなメロディーに、なんで自分が移入(楽しむ)のか、の理由を、フロイドは結局わからずにいました。僕はこの一点にかなりの工学を賭けています。

 ご指摘の「跨ぐ」ことは、僕が紹介する音楽に、ポップスとジャズの中間地点みたいな曲も多々ある、ということではないでしょうか。ジャズはもともと純然たるポップスでしたし、日記にある通り、僕は「スタジオミュージシャンのサックスが間奏に入るのが青春」という世代で、そこには烙印されています。然るにジャズドミュニスターズですら、サックスの間奏や後奏が入るわけです笑。ダークエレクトロに近かった2期スパンクスでも、結構な割合でサックスを吹いています。ファイナル図ではほとんど吹いてないです。こちらは跨ぐ感じではないですよね。

 僕が「跨いで」聞こえるのは、「間隙を突く」のが好きだからじゃないかなと思います。ロング、ミドル、ショートを問わず、スパンには必ず降着や硬化が生じ、いわゆる間隙が群発するので、そこに打ち込もう。と体質がなっているんだと思います。経絡理論で言うところの、ツボに針を刺す。と言うやつですね。これを「ニッチ」と呼ぶ人もいますが、あんまり好きな言葉ではないですね笑。間隙をついて、解法を共有するのは、会話の中でも使えます。その時に「お、お前、ニッチだな」とは言わないと思いますので笑。


 

 

 

 

No.22 44ヶ月前

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