うに のコメント

聴くのにある種の集中力を必要とする音楽と、何の気負いもなくただ楽しめる音楽は私の中でなんとなく分かれていて(生と死を同時に肯定するというフロイト的なモチーフとジャズとの間に共通するのはある種の理性や集中力かと思いますが、それが仮にジャズの敷居になっているとして、そのことと、フロイトが音楽を楽しめなかった?ことと何かしら関係があるのかな?と漠然と考えています)、菊地さんが様々な媒体で音楽を紹介される時、ジャズ的なものとポップス、両方に跨る音楽を紹介されるので、その跨りっぷりがカッコいいなぁと思っていました。

私はMy Little LoverのYESという曲がめちゃくちゃ好きなのですが、植木等さんの訃報に際して菊地さんがあの曲が何故か頭の中に流れるとラジオで語っておられたのがずっと記憶に残っています(ゼロ文を見てからYESのバンドスコアを買って見てみたら、メジャーキーなのになんとなく青い、暗いイメージなのは、メロディがブルーノートスケールになっているからなのかな?と思いました。)。同じ時期の第一期DCPRGのライブのアンコールではDCPRGのSを植木等さんに捧げておられて、その2曲とも私は特別に好きだったので、植木さんを通して結びついています(植木さんのことは小さい頃にテレビで見た漠然とした記憶しかないのですが、その2曲の印象とは全く関連性を見いだせません)。

「キスのやめかた」を聴いた時も、跨ぎ越えた感があったのと同時に、盲点に気付いた感じというか、これが欲しかったとは夢にも思わなかったけど、聴いた今となってはこれが欲しかったとしか思えない、という感じが強くありました。浮気、というイメージでポップスに対するスタンスを語られていますが、私にとって菊地さんがポップスを出してこられる時には、盲点を突くような跨ぎ越え感が伴うことが多いように思います。

No.19 44ヶ月前

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