ところで、「 天皇が特定の公務員の認証を拒んだ場合はどうなる」という問題提起があったので、わたしも考えてみました。現実にはおこりえないことですが、机上の問題としてはありえます。 この場合、天皇の国事行為には、「憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること」とか「国会を召集すること」「衆議院を解散すること」等々ありますので、こうしたことを天皇が拒否したらどうなるか、という点についても考えてみたらいいとおもいます。 わたしの考えは、憲法前文第一段落、つまり「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」「ここに主権が国民に存することを宣言し」「国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて」「その権力は国民の代表者 がこれを行使し」「われらは、これに反する一切の・・・詔勅を排除する」の精神からして、天皇が国事行為を拒否しても、効力はかわらないとおもいます。 そのうえで、天皇の国事行為は内閣が責任を負う(憲法第三条)ので、内閣がなにか方策を考えなければなりませんが、「国事行為の臨時代行に関する法律」あるいは「皇室典範」の解釈、あるいは改正により、国事行為を委任される者、または摂政をたてることになるでしょう。 これらはすべて、憲法に明文の根拠のある話です。この点をよく考えてみれば、今回の学術会議の問題で「任命拒否はまかりならん」という議論が、いかに根拠の薄いはなしかということがわかるとおもいます。
チャンネルに入会
フォロー
孫崎享チャンネル
(ID:13458971)
ところで、「 天皇が特定の公務員の認証を拒んだ場合はどうなる」という問題提起があったので、わたしも考えてみました。現実にはおこりえないことですが、机上の問題としてはありえます。
この場合、天皇の国事行為には、「憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること」とか「国会を召集すること」「衆議院を解散すること」等々ありますので、こうしたことを天皇が拒否したらどうなるか、という点についても考えてみたらいいとおもいます。
わたしの考えは、憲法前文第一段落、つまり「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」「ここに主権が国民に存することを宣言し」「国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて」「その権力は国民の代表者 がこれを行使し」「われらは、これに反する一切の・・・詔勅を排除する」の精神からして、天皇が国事行為を拒否しても、効力はかわらないとおもいます。
そのうえで、天皇の国事行為は内閣が責任を負う(憲法第三条)ので、内閣がなにか方策を考えなければなりませんが、「国事行為の臨時代行に関する法律」あるいは「皇室典範」の解釈、あるいは改正により、国事行為を委任される者、または摂政をたてることになるでしょう。
これらはすべて、憲法に明文の根拠のある話です。この点をよく考えてみれば、今回の学術会議の問題で「任命拒否はまかりならん」という議論が、いかに根拠の薄いはなしかということがわかるとおもいます。