先日舞台『攻殻機動隊ARISE GHOST is ALIVE』を見てきました。パンフレットをお手伝いしたので、その関係でお誘いいただいたのです。
ストーリーは『ARISE』全4話をREMIXしたような内容になっていて、ここをこう持ってきたのか、と思うところは多々ありました。
もっと驚かされたのは3D映像と組み合わせての演劇という趣向。これなら電脳空間も表現できるなーと思わされた内容でした。このスタイルまだまだ可能性はあるのでは? と思いました。
シーン数も多くて、場面転換も多いので、舞台というより映画っぽい印象で、そのあたりも従来の舞台とは違う「別ジャンル」という感じが強くありました。同じスタッフで今度制作するのは『残響のテロル』。3D演出を使うかどうかは不明ですが、興味はそそります。
というわけで、今回もいってみましょう。
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1.最近のお仕事紹介
2.Q&A
3.前回のアニメの門チャンネル
4.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
5.お蔵出し原稿「『ture tears』の語り口」
最近のお仕事
1.朝カル講座「アニメを読む」(東京)
11月以降は次のラインナップです。
11/21 『ゴルゴ13』
12/19 現代アニメのターニング・ポイント ポスト『涼宮ハルヒの憂鬱』の10年間
2.NHK文化センター青山教室で原恵一監督トーク
11月29日に原恵一監督のトークが行われ、聞き役を務めます。最新作『百日紅』を中心にいろいろお話をうかがおうと思います
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1051651.html
3.イベント「アニメの門場外乱闘編 総括2015」
毎年恒例1年ぶりの開催! ライターの小川びいさんと一緒になって、縦横無尽、融通無碍、唯我独尊、針小棒大にアニメとその周辺の世界を語り尽くします。「乱世! 乱世!」の2015年のアニメ。果たして今年のアニメ十大ニュースとは!
【出演】藤津亮太(アニメ評論家)、小川びい(ライター)
OPEN 12:30 / START 13:00~終了予定15:30
予約800円/当日1000円(共に飲食別)
予約はネイキッドロフトWEB予約まで。
4.オタクの学校
予約はまだですが11月28日15時より浅草の模型塾で開催予定です。題材は「3DCGアニメの歴史」になります。近々予定がオープンになりますので、是非チェックしてみてください。
http://modelkingdom.net/jj_index.htm
5.コラム欄「オリジナリズム」に参加
12月10日発売の「ビックコミック オリジナル」に掲載されているコラム欄「オリジナリズム」に寄稿しています。珍しくアニメとは関係ない話題で書いております。ご興味あれば是非。
6.A応Pのトークイベントに登壇します。
11/18(水)19:30開演【A応Pの】アニメのすごい人にアニメのこと学びます2【アニメ話】/ゲスト:藤津亮太、大森啓幸氏
大森氏はワーナーでジョジョを担当しているPDさんです。僕は仕事のことをいろいろ聞かれる模様。
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Q&A
「なぜなにアニ門」で質問を募集しています。「件名」を「なぜなにアニ門」でpersonap@gmail.comまで送って下さい。文面にハンドル(名前)も入れてください。
あるいは、アニメの門チャンネルの有料会員は、アニメの門チャンネルページの掲示板サービスが使えますので、そこに質問をしていただいてもよいです。メルマガの下にあるコメント欄でも結構ですよー。
よろしくお願いします。
Q:知人に、耳に障がいをもつ人がいます。彼はマンガやアニメをとても愛しておりますが、地デジ化前にはさかんに「可能になる」と謳われていた、字幕放送への取り組みが遅々として進まないことに不満を感じています。
とはいえ、「アルスラーン戦記」など字幕放送の番組があったり、Blu-ray商品では日本語字幕が収録されているものがある以上、アニメ制作者が字幕の必要性に無頓着だとは思えません。必要性を感じており技術的には可能なのに、それでもやらないとしたら、それはお金や時間といったコストの問題以外に、理由はないでしょう。
そこで気になりました。アニメに日本語字幕をつけるのは、どのくらいの費用と時間がかかるのでしょう。なにか具体例をご存じか、もしくは想像可能な範囲で結構ですので、見解をお聞かせ頂けたらと思います。(匿名希望さん)
A:字幕をつける業者を検索すると、それほど大きな額ではない価格がついてたりするので、パッケージ商品にはもっと字幕がついてもよいと思います。ついてないのは「そういう習慣がなかったから」だけなのではないかと。ただし、これからは、配信でマルチリンガルな字幕が求められる場合も増えるようですから、字幕は増えるのではないかとも考えられます。原稿のTV放送で字幕がなかなかつかないのは、アニメの納品がギリギリで字幕制作のための十分な時間がとれないのが主な原因と思われます。ここについてはなかなか改善が難しいと思われるので、深夜アニメではなかなか増えないのではないかと予想します。
Q:キャプテン翼がサッカー少年を増やし、ヒカルの碁が囲碁のプレイヤーを増やしたように、今年に放送されたアニメでなにかブームを巻き起こしたもの、もしくは流行の兆しを見せているものはありますか。弱虫ペダルでロードバイク乗りが若干増えたような感じはします(私が愛するMTBは、売り場がどんどん縮小して寂しい)。(Ask.fmより)
A:あるかないかで言われれば特にないのではないでしょうか。競技人口が増えるようなタイプの作品は、小中学生(特に小学生)が見る作品でないといけないので、深夜アニメはさほど影響を与えられないと思います。強いて言うならダンスアニメ第2弾「ブレイブビーツ」は、ダンス必修の流れや子供の習い事の定番「ヒップホップダンス」を踏まえた作品なので、そういう立ち位置の作品ではあるといえます。
前回のアニメの門チャンネル
前回のアニメの門チャンネルは『アイカツ オフィシャルコンプリートブック』を作ったアニメディア馬渕悠編集長と水野二千翔編集員を招いて『アイカツ!』を振り返りました。
いろんな要素が多いので、今回は議論するスタイルではなく、大喜利形式でどんどんと進行するスタイルを採用。以下の質問で進行しました。
質問の答えを全部覚えていればよかったのですが、配信も終わってしまい、さすがに忘れてしまっているので、質問だけですが再録しておきます。
【無料配信】
・『アイカツ! オフィシャルコンプリートムック』の見どころ
・苦労した点
・4年目の見どころは?
・推しキャラ
・おすすめエピソード
・これからの「アイカツ!」に望むこと
・「アイカツ!」の魅力を一言で→アイカツ格言風に
【有料配信】
・『アイカツ!』の一番の特徴
・『アイカツ!』のキーマンは誰? その理由は?
・『アイカツ!』のブレイクポイントはどこだったか。シリーズを振り返って。
・僕の考えた「アイカツ!」格言
打合せゼロでしたが、ほとんど回答にかぶりがなかったのが印象的でした。それだけいろんな魅力が作品にあるんだなと。
なおアニメディア編集部では、『アイカツ!』のライブシーン(3DCG)にフォーカスしたムック『アイカツ! ステージビジュアルブック』を絶賛制作中で、11/28に発売予定だそうです。
連載「理想のアニメ原画集を求めて」
文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)
第6回『フリクリ原画集 GROUNDWORK OF FLCL』
『フリクリ』の原画集は、まだまだ原画集の少なかった、原画集飢餓の時代に出た本でした。当時から考えると、年間何冊も原画集が発表されているという、今の原画集に関する出版状況は、まるで夢の様な時代に感じます。
自分個人の体験からすると、生まれて初めて見た原画集がこの本だったので、そこには少なからず特別な思い入れがあります。『フリクリ』の映像本編を見れば分かることだと思いますが、『フリクリ』はアニメ的な動きの魅力に満ちた作品でした。そんな作品の原画集ですから、ワクワクして本を開いたことを覚えています。
『フリクリ』の制作はProduction I.Gとガイナックス。今では監督やキャラクターデザインなどで活躍している人たちや、劇場作品でしかなかなか名前を見かけない人たちが勢揃い。豪華なだけでなく、様々な方向性の作画スタイルを持ったアニメーターが参加していて、個性的な画面を形作っていました。シリーズを通して参加していた吉成曜さん、今石洋之さん、西尾鉄也さん、大塚伸治さんなどの原画はどれも印象的なものでした。
吉成曜さんはその個性を爆発させた、アクションやエフェクトの原画をたっぷりと原画集の中で見ることができます。当時の集大成であり、今でも代表作だと思います。
今石洋之さんの活躍は、当時珍しかった金田系と呼ばれる、アニメーター金田伊功さんから連なる作画スタイルの復活を感じさせてくれました。本編で挿入される、マンガ原稿風の特殊なカットの原画も掲載されており、アニメの原画集としては珍しい素材が掲載されています。
西尾鉄也さんは劇場大作を中心に作画監督として活躍されることが多くなりましたが、この作品では丁寧なキャラクターの芝居から、コミカルな作画、アクションまでいろいろなタイプのシーンを手がけられています。原画集に掲載されている割合も多いです。
大塚伸治さんはジブリ作品や今敏さんの作品など劇場作品で活躍されるアニメーターですが、この作品では他でも類を見ないほどのコミカルな作画を連発されていて、本編を観ても原画集で見ても楽しめます。
各話数に参加した個性的な原画の方々も魅力的でした。原画集にそのすべてが掲載されているわけではないのですが、中でも最終話の磯光雄さんの原画などはページを割いて掲載されており、ファンにはおすすめの1冊です。作画で参加した人たちは当時としてもそうそうたる人たちが揃っていましたが、原画集が出版されてから十数年経って見直してみると実に奇跡的な布陣です。マニアとしてはスタッフクレジットを眺めているだけで楽しめそうな気さえしてきます。
この作品に参加した人たちの、その後の活躍を説明するのは一口では困難なほど華々しいものですが、その過去の活躍を資料として残しておいてくれるのが原画集です。その後は様々な作品で、メインスタッフとして参加するようになった人たちの、原画マンとしての活躍を見ることができる『フリクリ』の原画集には、アニメーターの旬な瞬間が閉じ込められていると思います。
掲載されている原画は、技術的に巧いということ以上に、どれもいきいきとした、動きの魅力に満ちています。アニメの制作資料を様々な形で目にすることも多くなった現在、原画集の出版も『フリクリ』の時代からは想像もできない豊富なものとなっています。そんな中でも、なかなか満足できるかたちで原画集を楽しむことは難しいのですが、『フリクリ原画集』は十数年後の時代になって改めて、原画集という存在の価値を再認識させてくれます。原画集が少なかった時代から楽しませてくれた本ですが、原画集が豊富な時代となっても、今もなお唯一無二の魅力的な1冊です。
(『フリクリ原画集 GROUNDWORK OF FLCL』/ガイナックス/¥3,240)
お蔵出し原稿
学研のムックに掲載した『true tears』の魅力について語った文章の後編です。『心が叫びたがってるんだ。』で岡田麿里さんに取材をし、先日の『宇宙戦士バルディオス』のイベントで西村純二監督にお会いしたので、この原稿を再掲します。
『true tears』の語り口(後編)
セリフとキャラクターの内面
第5話の比呂美の部屋のシーンで興味深いのは、そのカットつなぎだけではありません。もう一カ所、見逃せないというか、聞き逃せないところがあります。
それは比呂美の内面を語るモノローグです。
普通、内面のモノローグとセリフが並立されている場合、そこでは内面と具体的な言葉の「矛盾」こそがポイントになります。キャラクターに内面を持っていることの、もっともストレートな(そういう意味ではおもしろみの少ない)表現です。
ところが第5話の比呂美はそうはならない。
比呂美は眞一郎が部屋を訪れたことに期待があります。昼間、乃絵をおんぶしていたことについて釈明があるのではないかと思っているのです(それは直前の朋与のメールを読むカットがあることでわかります)。
この段階では、比呂美の思っていることと、言っていることの間に、当然のように乖離があります。思わぬ眞一郎の来訪に心がゆらぎ、聴きたいこともあるけれど、とりあえず世間話をしてしまうのです。
ところが眞一郎が部屋にきた本題が「蛍川の4番が、比呂美のことをかわいいと言っていた」と告げることだとわかった瞬間に、比呂美は反発を感じます。
そして比呂美は「おせっかいな男の子ってバカみたい」と口にします。そしてこの時は、内面のモノローグも直前のセリフと同様に「「おせっかいな男の子ってバカみたい」と繰り返されます。
つまりこの場面は、(いってしまえばありきたりな)本音と言葉の乖離から始まり、それが劇的な頂点で一致してしまう、というあまりない状況が描きだされているのです。
これはどういう効果を生むでしょうか。
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