アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門メールマガジン

こちらがライターズ・バージョンの『SHIROBAKO』原稿です

2014/11/14 15:00 投稿

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 とある原稿ですが、直したかった部分が直されないまま世に出てしまうとうことなので「ライターズ・バージョン」ということでここにあげておきますね。もともとゲラの段階で修正したいと思っていたところちょうどゲラが出た(15時ごろ)のが出先で、取材終わって一段落して連絡したころ(18時ごろ)には校了してしまったということでした。比べて読んでいただくのも一興かと。

(タイトル)
『SHIROBAKO』
(本文)
 白箱とは、完成した作品を収録しスタッフなどに配布するために使われるビデオテープ(最近ではDVD)のこと。TOKYO MXなどで放送中の『SHIROBAKO』はそのタイトルの通り、新人制作進行・宮森あおいを主人公としたアニメ業界の内幕ものだ。
 制作会社、武蔵野アニメーションは秋の新番組『えくそだすっ!』を制作中。放送は無事始まったが、現場には「原画が上がらない」「監督が予定にないドラマを思いつく」「作画監督が降りると言い出す」などトラブルが次から次へと降りかかる。視聴者はあおいの視線を介して、アニメ制作の修羅場とやりがいを実感することができる。
 本作のおもしろさは3つある。
 一つは新社会人のあおいが奮戦する「お仕事もの」の魅力。二つ目は、アニメ制作の現場の様子を伝える「社会科見学」のおもしろさ。ダビング(映像に音をつける工程)の時の音響監督と監督のやりとりや、声優のオーディション風景など普段見ることのできない現場を垣間見ることができるのはやはり興味深い。
、さらに幾人かの登場人物が現実のスタッフをモデルにしており(たとえば作中の木下監督は、『楽園追放』の水島精二監督と名前や姿が似ている)、マニアックな元ネタ探しを誘う「パロディ」のおもしろさもつけ加えられている。
 なにより本作の一番の特徴は、その明朗な雰囲気だ。現場の修羅場を描きつつも、ネガティブな感情は抑えめに、怒りは可能な限り理性的に表現される。だがそれはエンターテインメントにするための“脱臭”ではない。作り手が「アニメ制作を本当におもしろくてやりがいのある仕事」と信じているからだ。その姿勢がこのアニメをキラキラと輝かせている。(アニメ評論・藤津亮太) c?ro=1&act=rss&output=no&id=2027980&name

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