akakiTysqe のコメント

https://live2.nicovideo.jp/watch/lv328303031
「【無料配信】『東映動画史論』がすごい!」の紹介文があまりにもひどい事を指摘します。
>分岐点は
>1:1960年代半ば
>2:1970年代初頭
>3:1980年前後
>果たしてそこで何が起きたのか!
と在りますが、1:は1963年、2:は1972年、と該当する出来事の起きた年がはっきりしています。
3:は「研修生」という形での芸術職募集再開を指すのでしょうが之も第一期が昭和56年度からと年を特定出来ます。
鉄腕アトムの七年前に発足した東映動画の歴史は否応無しに「アトムから始まったアニメ」の歴史からはみ出す部分が在ります。それを自覚して東映動画の史実を見れば、「分岐点」と呼び得る様な会社の行く末を左右する程の大きな出来事はアトム以前の七年間にこそ幾度も起きており、アトムで同業他社が林立しアニメ業界が成立してからは寧ろ起きない。登石雋一によるリストラを経て今田智憲が再建の路線に載せたのが(東映アニメーションと屋号を替えて久しい2020年現在迄含めた)東映動画の歴史の中で最後の「(会社の命運を左右する程の大きな)分岐点」であり、昭和56年度から入る研修生達は職場としての東映動画スタジオやアニメの歴史にとって多かれ少なかれ分岐点であったとしても研修生募集自体は今田路線の流れに在り会社としての東映動画にとって決定的に大きな分岐点とは云えない。

「鉄腕アトム」のヒットでテレビアニメ参入を迫られたときに、東映動画の初期は終わったのです。
本社社長が大川博から岡田茂に代わってからの登石雋一による1972年のリストラで、東映動画の前期は終わったのです。

だから、例えば宮﨑駿とか太陽の王子とか、昭和38年度から昭和46年度迄の東映動画を、「(前期ではなく)初期の東映動画」と、するのは真っ赤な嘘だ。当にその、前期であっても初期では無い、初期と呼称してはいけない時期を、昭和37年度迄の初期と呼ぶことが正しい時期と一緒くたにして「アニメの夜明け~東映動画 初期長編作品の歩み~」と称して(何故「東映長編」という、既に定着した語を使わない?)、講義した(赴きたかったのですが断念、以下人様による纏めhttps://togetter.com/li/1381984に拠り〼)藤津亮太氏がその講義で「白蛇伝、わんぱく王子、ホルスを背骨として、安寿と厨子王丸、空飛ぶゆうれい船という異種が存在する」と語ったとの呟きが在りますがhttps://twitter.com/shinjk/status/1155308155049349121東映長編について正しく考えるなら先ずアトム以前(わんぱく王子の大蛇退治迄)とアトム以降(わんわん忠臣蔵から)で区分しなければならず、アトム以前に作られた6作品に限っても、安寿と厨子王丸が代表する「(死んだ)リアリズム様式」対、西遊記そしてわんぱく王子が代表する「(活きた)アニメーション」という顕著な二項対立がある。そしてアトム以降アニメの(日本の商業アニメーションの)表現様式の主流に成ったのは安寿と厨子王丸の方なのです。アトムにより始められたがウルトラQはじめ特撮にテレビまんがの中心を逐われ下火になった日本のテレビアニメーションを「劇画の映像化」という新機軸によって復活させた楠部大吉郎巨人の星。アニメーション映画運動の影響下にあった虫プロと違い最初から漫画のテレビまんが化の為に作られた竜の子プロダクション。そして安寿と厨子王丸で培われたリアリズム表現を基にして創られる高畑勲作品。安寿と厨子王丸がアニメの表現の歴史の上で最も重要な作品のひとつである事は事実です。一方でシンドバッドを最後に安寿と厨子王丸型のリアリズム路線を退け続けた「東映長編」は安寿と厨子王丸の制作当事者が東映動画の現場からいなくなるのと前後して廃れ「劇画の映像化」路線の劇場アニメーションに取って代わられその方向から安寿と厨子王丸型のリアリズム路線が東映に再導入される。
管見の範囲で安寿と厨子王丸に一番似ている映画は「FUTURE WAR 198X年」でその次が「さらば宇宙戦艦ヤマト」。

http://akakitysqe.hateblo.jp/entry/20171214
の冒頭で触れた様に藤津亮太は、2017年にNHKが何度でも投票出来るネットアンケートに基づく歴代アニメのベストテン番組を放送したときに起こったブーイングに対し「みんなが投票したのだから従え」という含意の事を高圧的な言辞で書きました。https://ch.nicovideo.jp/animenomon/blomaga/ar1275273そして映画芸術がベストテンからアニメを外すと宣言し失笑を買ったときにhttps://tsugata.hatenablog.com/entry/20180214/1518612738五味洋子『アニメーションの宝箱』を「これがあるべきアニメのベストガイドの手本」として批判せずに、挙げる。同書が「東映長編」の系譜の「漫画映画」を正の表象とする価値判断によって書かれた本であることに津堅信之は一言釘を指しているのだがhttps://tsugata.hatenablog.com/entry/20080409/1207666882藤津亮太はその偏りに見て見ぬ振りをして「他のガイドやベストテンも、こういうふうにすればいいのにね」と同書を無批判に称賛する。

『東映動画史論』全編を通じて、「アニメーションの、況してやアニメのクラスターは、この本で筆者が示そうとした問題を理解しない、理解することを積極的に拒んでいる」という著者木村智哉の声が執拗低音として響いていると感じるのは私だけでしょうか。少なくとも、冒頭で示したアニメの門チャンネルの動画の紹介文こそ、その「理解することを積極的に拒んでいる」典型例です、著者木村智哉が『東映動画史論』の中に「朝ドラ」「連続テレビ小説」そして「なつぞら」というあの汚らしい文字列を入れない為に東京オリンピック禍コロナ禍の2020迄刊行を延した(かもしれない)、それが、藤津亮太が積極的に否認したい事でしょうね。
>研究者による60分でわかる東映アニメ!
というのが本当なら、3500円+機会費用出して日本評論社の紙の本買う必要在りませんよね!

No.3 50ヶ月前

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