アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門メールマガジン

アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第153号(2019/1/25号/月2回発行)

2019/02/01 23:37 投稿

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  • 交響詩篇エウレカセブン
  • エースをねらえ!
  • リズと青い鳥
  • 宇宙よりも遠い場所
  • ソードアートオンライン
  • 君の膵臓をたべたい

 新番組が始まりましたが、いろいろバタバタしています(3月発売のBlu-ray用ブックレットの作業が忙しいため)。
 メルマガ本体でも告知をしていますが、こちらでも。
 2月9日に朝日カルチャーセンター新宿教室で「『SAO』監督・伊藤智彦の人生を変えた作品」を行います。以下のようなコンセプトの講座です。
「細田守作品の助監督を経て、『ソードアート・オンライン』でヒットを飛ばしたアニメーション監督・伊藤智彦に迫る特別講座。子供時代からプロになるまでの間、自身にインパクトを与えた作品について伊藤監督自らが語ります。アニメファン、映画ファン、業界志望者など必見」
 『ソードアート・オンライン』などだけでなく、最新作『HELLO WORLD』のお話も出るかもしれないので、興味ある方は周囲の方にもおすすめください。SNSでもどんどんつぶやいてもらっても大丈夫です。

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Kindle同人誌『新聞に載ったアニメレビュー』(藤津亮太)
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1.最近のお仕事紹介
2.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
3.お蔵出し原稿
4.連載一覧


最近のお仕事

1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」1月期(東京)
 2月16日 「1979年の奇跡 『エースをねらえ!』『カリオストロの城』【受講申込】
 3月16日 『リズと青い鳥』【受講申込】

2.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」特別講座(東京)
 2月9日 『SAO』監督・伊藤智彦の人生を変えた作品
 伊藤智彦監督を招き、節目で出会った作品の魅力を聞くことで、伊藤監督のできるまでをうかがう予定です。業界志望者や創作に興味のある方は是非。
 【受講申込】

3.SBS学苑パルシェ校「アニメを読む」(静岡)
 2月3日は『宇宙よりも遠い場所』を取り上げます。【受講申込】

4.栄・中日文化センター「アニメを読む」(名古屋)
 2月24日 『コードギアス 反逆のルルーシュ』。
 TVシリーズを中心に、劇場版3部作と公開されたばかりの『復活のルルーシュ』にも触れます。【受講申込】


連載「理想のアニメ原画集を求めて」

文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)

第81回『君に修正をみせたい』

前回は映画『君の膵臓をたべたい』(以下『キミスイ』)の原画が掲載された『SUPER YOUNG 02』を紹介しましたが、今回は『キミスイ』でキャラクターデザインや総作画監督をされた「岡勇一」さんの原画集同人誌です。
今までたくさんの原画集を紹介してきましたが、表紙の爽やかな絵と相まって、なんとも良いタイトルの原画集です。内容は『キミスイ』で岡さんが描かれた絵をまとめたもので、総作画監督修正を中心に構成されています。同じXEBEC出身の「高瀬智章」さんが出された同人誌『冴えない高瀬の仕事集』に本の構成などが似ている印象です。

カラーページには版権系のイラストやそのラフ、キャラクターデザインなどが掲載されています。
ページ下部に細かくコメントが記載されており、例えば「等身大パネル」のイラストでは、立って見るのを意識して足を俯瞰気味に描くなど、今まで読んだことのない技術的な意識のはっきりとした内容で興味深かったです。
キャラクターデザインも、異なった絵柄やデザインで描かれた完成までの試行錯誤の絵が掲載されており、充実した内容でした。『キミスイ』のキャラクターデザインは、アニメ的な美少女絵とリアルな等身とのバランスがとても良いなと感じていました。
キャラクターデザインも細部までこだわりが感じられる内容で、特に衣服に関する設定がとても良く作り込まれているなと思いました。

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メインキャラクターの多くが思春期の少年少女になっている現在のアニメ作品では、「制服」の描写が問題になってきます。『キミスイ』では、制服の設定の作り込みや各キャラクターの着こなしの描写などもとても良かったと思います。
「制服」というモチーフは、基本的に同じデザインの既成品であるために、アニメでは使いやすく、また難しいテーマでもあります。『キミスイ』では、キャラクターの履いている靴のデザインも、裏側の質感までしっかりと設定されており、実に良い設定だなと思いました。
ヒロインの山内桜良の衣装や髪型も作中で細かく変化するのですが、前髪だけは変えないというルールのもとに作られていたそうです。逆に、最終的に髪型のみが変化する主人公との対比が実に秀逸でした。

総作画監督としてのコメントも細かく掲載されており、その一つ一つがまたアニメーターとしてのこだわりを感じさせるもので、興味深かったです。
岡さんの今までのキャリアの中で、時間の無い中でどう修正を入れていくか、その判断をどうするかという、作画監督の仕事の実務的な部分に踏み込んだ内容が多く、読み応えがありました。
岡さんのコメントは、キャリアを積み重ねてきた仕事人としての判断力を強く感じさせる内容で、アニメーター志望の人などには是非読んでもらいたい内容だと思います。
地味な芝居でもどこが難しいかなどの意見も多く載っており、絵とともに実に読みごたえのある内容でした。例えば、何かを飲むという芝居は地味だけど難しく、キャラクター性を感じさせるものにしたいという話などは、読むまであまり意識したことのない事でした。
岡さんが普段の生活から、そうした仕草を観察している様子が伝わってくる内容でした。今までに見てきた修正集的な原画集の中でも特に読み応えがあり、アニメーターという仕事に興味を持っている人たちに手にとってほしいと思える原画集でした。

(『君に修正をみせたい』/おかゆ堂/2,000円)


お蔵出し原稿

『宇宙戦艦ヤマト2202』が完結を迎えるということで、2010年に「アニメージュオリジナル」に書いた「新アニメ喜怒哀楽」から『ヤマト』について。

もっと怒りを!

 色んな意味で(ごく一部の中年に)話題沸騰の『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』。その中でも(色んな意味で)大いに盛り上がったのはラスト間際で真の悪役が姿を見せた瞬間だった。ネタバレを避けるために細かい話は省くけれど、この悪役、イマドキどころか'90年代にも見かけなかったような、実に悪役らしい悪役なのだ。その姿には「『ヤマト』は光の速度どころか、時代すらも超越してるんだなー」と感慨深くならざるを得なかった。

 

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