アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門メールマガジン

アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第126号(2017/11/24号/月2回発行)

2017/11/26 00:07 投稿

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11月23日に「アニメdeつぶや句575」に出演してきました。会場になったライブハウスには170人ものお客さんが来場して、たいへん盛況でした。地方でこういう催しはばなかなか少ないので、みなさん大変楽しまれたようでした。
 そんな風景を見て、(名古屋の講座が実質的に終了していることもあり)カルチャーセンターの講座ももうちょっと地方でできるとよいなぁと思ったりしました。それでは今回もいってみましょう。

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1.最近のお仕事紹介
2.Q&A
3.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
4.不定期アニメ日記
5.お蔵出し原稿『イヴの時間』
6.連載一覧


最近のお仕事紹介

1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
 12月16日『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』(髙山文彦監督)【受講申込】
 ■1月期 【受講申込】
 1月20日「君にも描ける!絵コンテ講座」特別講師:アニメーション監督 京田知己
 2月17日「アニメと戦争2 『ヤマト』と『ガンダム』編」
 3月17日『君の名は。』

2.11月のオタクの学校
 11月25日のオタクの学校「アニメを読む」は「3DCGの歴史」を取り上げます。以前に一度やっておりますが、リニューアル版として3DCGアニメを作る時のポイントなども盛り込んでお話します。【講座詳細】

3.1月のSBS学苑
 1月28日『ラブライブ!The School Idol Movie』
 同作のの魅力について考えます。またプラスαで沼津市が舞台になっている『ラブライブ!サンシャイン』のほうにも触れます。【受講申込】


Q&A

「なぜなにアニ門」で質問を募集しています。「件名」を「なぜなにアニ門」でpersonap@gmail.comまで送って下さい。

長らくやってきたこのコーナーですが、次回で終わりにしようと思います。どうもありがとうございました。


連載「理想のアニメ原画集を求めて」

文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)

第54回『alunifomel.7』

 以前にも紹介したアニメーター川野達朗さんの同人誌のシリーズですが、その後に出た『alunifomel.7』も興味深い内容だったので紹介したいと思いました。
 今回はページ数も96ページに増え、内容も一層充実。メインで掲載されているのは『奇異太郎少年の妖怪絵日記』の第4話の資料で、川野さんはこの回で絵コンテ・演出・作画監督・原画を担当されています。「絵コンテ・演出・作画監督・原画」とはいえ、原画まで川野さん1人で担当されています。5分アニメとはいえ、絵コンテから原画までを1人のアニメーターが担当することは、なかなかありません。
 同人誌のコメントを読むと、第2原画がいるとはいえ、総作画監督の修正もほとんど入っておらず、今のアニメ制作の流れの中にあって、ここまで1人の個性で作り上げられたTVアニメはかなり珍しいものだと思います。また、そうした資料を見られる機会もなかなか無いことですので、演出・作画の資料が一極集中した珍しい1冊になっていると思います。

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 資料は絵コンテから掲載されています。この回は絵コンテから原画まで、TVPのフルデジタル作画で制作されているそうです。かなり丁寧に描かれた絵コンテなのですが、原画掲載部分を見てみると、これがレイアウトとして兼用されているようです。絵コンテから原画まで1人で担当した作品ならではの、作業のコストが省かれた、独自の工程で作業されていたことが伺えます。
 同人誌はモノクロですが、川野さんの描いた絵コンテや原画は『奇異太郎少年の妖怪絵日記』の公式Twitterにも掲載されており、そちらはフルカラーで見ることができます。興味のある人は、探してみてください。
 絵コンテを見ると、背景やキャラに色を塗って分かりやすくしているのが分かりますね。スタジオジブリ作品などのレイアウトは、一枚絵として描き込まれている印象ですが、一般的なアニメのレイアウトでは、背景やそれに準ずるBookと呼ばれる処理や、セルの描き分け等の指示をするために、レイアウトに塗られる色にはある程度法則性があります。ここで塗られている色は、あくまでレイアウトとしての画面構成の見やすさを優先した塗り分けに見えます。

 他にも、キャラクターのアップの顔を描いているところでは、フレーム外まで顔全体が描かれています。これは絵のバランスをとるためなのか、画面外の動きを意識するためなのか分かりませんが、後々レイアウトとして使用するラフ原画の役割を絵コンテが持っているため、絵コンテの段階で精度の高い絵で描かれている事が分かります。
 絵コンテが全て掲載されており、それがそのままレイアウトとして、レイアウト用紙(用紙とは言っても、デジタル作画なので、レイアウト用紙の書式というのが正しいのかもしれません)の様式に移植されている様子を見ることができるので、その際にどのような処理の指示が追加されているのかを見ることができます。
 こうして並べて見ることで、絵コンテ→レイアウトの中で行われている作業的な指示を意識して見ることのできる資料となっていると思います。
 また、最終的に描かれた原画までを1冊でまとめて見ることができるので、原画集として見る楽しみはもちろん、アニメ制作の作業の流れを俯瞰できる資料とも言えると思います。
 もちろん、一枚絵としても魅力的な川野さんの絵をまとめて見ることができる、画集としての充実も感じられるボリュームのある本です。

 他に掲載されているのは、「マクドナルド『未来のワタシ 第2弾』」のレイアウト、『まけるな!! あくのぐんだん!』のエフェクト作画の原画です。
 マクドナルドのアニメでの細やかな手の芝居や日常描写から、激しい炎のエフェクト作画、1人での絵コンテから原画での仕事など、1冊で多彩な仕事ぶりを見ることができます。
川野さんの最新の作品としては、マクドナルドのアニメと同じく「スタジオコロリド」制作の『FASTENING DAYS 3』にキャラクターデザイン・作画監督として参加されていました。今後は、川野さんがキャラクターデザインから担当した作品を見ることもできるのでしょうか。多彩ながら、絵にも華があり、デジタルを駆使したアニメーターとしても最先端の活躍をされている川野さんですが、今後もその活躍が楽しみになる内容の充実した本でした。

(『alunifomel.7』/アルニホメル/3,224円)」


不定期アニメ日記

 先日、こんなtwitterの発言が流れてきました。
「宇宙戦艦ヤマトの艦首には菊の紋が付くはずだった。しかし「軍国主義臭えのは大嫌いだ」と松本零士監督が反対し「戦艦には菊の紋が必要」という西崎Pと対立。メカデザイナーの宮武一貴氏が「ちょっと下に移動させて、内側に引き込んだらどうすか」と波動砲にした。」
 思わず「へー」と言いたくなる内容ですが、『『宇宙戦艦ヤマト』大クロニクル』(グライドメディア)などの資料では、わりと最初のほうの松本零士氏のラフ画稿として、舳先が円筒状で波動砲がついているものが存在します。とすると、それとは矛盾する内容のようです。事実、そこを指摘する発言もありました。

 

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