ぐっと涼しくなってきましたが、ここからまた劇場でかかるアニメの話題作が並びますね。9月の『エウレカセブン』を皮切りに、10月の『コードギアス』、11月の『GODZILLA』、12月の『ガルパン最終章』――。
どれも力が入っていそうなので、おもしろいとよいですね。
では、いってみましょう。
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1.最近のお仕事紹介
2.Q&A
3.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
4.お蔵出し原稿
5.連載一覧
最近のお仕事紹介
1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
10月21日 『東京ゴッドファーザーズ』(今敏監督)
11月18日 作画を体験しよう(特別講師:アニメーター・演出、数井浩子さん)
※簡単な作画に挑戦してみる予定です。
12月16日『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』(髙山文彦監督)
【10~12月受講申込】
2.7月と8月のSBS学苑
11月26日の「アニメを読む」は『シン・ゴジラ』を取り上げます。予約はこれからです。
3.9月のオタクの学校@浅草模型塾
9月30日の「オタクの学校」で取り上げる作品は『交響詩篇エウレカセブン』(TV)です。17時からの齋藤貴義さん講座は「オタク的デザインの楽しみ」です。【受講申込】
Q&A
「なぜなにアニ門」で質問を募集しています。「件名」を「なぜなにアニ門」でpersonap@gmail.comまで送って下さい。
連載「理想のアニメ原画集を求めて」
文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)
第50回『湘南通信2 KANI!っと夢心地』『湘南通信3 KANI's Night Fever!』
『湘南通信2 KANI!っと夢心地』と『湘南通信3 KANI's Night Fever!』は、サークル「松風工房」からコミックマーケットC84、C85で頒布された同人誌です。
どちらもフルカラーの本で、サークル「松風工房」の中村亮介さんが監督、細居美恵子さんがキャラクターデザインを務めたアニメ『あいうら』の資料をまとめたものです。
『あいうら』は、5分アニメの作品でした。5分アニメというのは、文字通り5分の枠で放映されているアニメです。通常のTVアニメが30分なことを考えると、当時はまだ特殊な放送形態という印象でした。今となっては、そこから人気作品も生まれるようになっていて、アニメのひとつの形として定着してきている気がします。
『湘南通信2 KANI!っと夢心地』は、OPの絵コンテや原画を主に掲載した本でした。『あいうら』のOPは短い尺のカットを積み重ねるタイプのもので、動きは少なめ。本編原画も掲載されていますが、タイトルバックのレイアウトが中心で、どちらかというと作品の中の止めの絵が主に掲載されています。
もちろん、それだけでも見ごたえのある美麗な絵なのですが、動きのあるカットも2カットほど連番で掲載されています。それがどちらも、キャラクターを後ろから見て足だけを映しているカットというのが珍しいです。『あいうら』は女性の足に注力している作品で、原画集でもそのカットを掲載しているところに熱意を感じます。
巻末には版権画の原画が、ラフと原画を比較して見られるように掲載されています。中には監督の中村さんがラフを描いて、細居さんが原画を描いているものがあったり、興味深い内容です。
『湘南通信3 KANI's Night Fever!』では、本編の原画を各話数ごとに分けて掲載しています。各話数の扉にタイトルバックのカットの原画を掲載しており、『湘南通信2』のレイアウトと見比べられるようになっています。今回は原画に加えて美術も掲載されるようになっており、この点はフルカラーの誌面の良さを感じさせられますね。
松風工房からは、その後原画集は出ていないようですが、『金子英俊アニメーション美術画集』という、中村さんの監督作品で細居さんと共に毎回参加し、『あいうら』でも美術監督を担当されていた、金子英俊さんの個人誌が頒布されたようです。
『湘南通信3』の美術が載っているカットでは、美術の上にキャラクターの原画の絵を載せています。動きがあるカットでは、連番の原画を一枚の中に連続写真のように掲載したり、他の原画集にはない変わった載せ方を工夫していて、ページを見ているだけでも楽しい本です。
原画自体も、カットナンバーの数字を見やすくピンクの円の中に配置し、ピンク色の点線の枠の中にはめこまれて掲載されており、こうしたこだわりも、なかなか他の原画集では見たことがありません。作品の雰囲気に合った、かわいらしい構成となっています。
『湘南通信3』では、動きのあるカットの原画も存分に掲載されており、『湘南通信2』が「静」だとすると、こちらは「動」の本といった印象です。あまり派手に動き回る作品ではなく、キャラクターのちょっとした動きをじっくりと見ていくタイプの作品なので、例えば肩掛けカバンを下ろすといったような日常的な動作をしっかり描写しているのを原画集で見ることができます。
話数によっては、かなり緻密なレイアウトも掲載されており、微妙にレンズの歪みを加えて描かれた室内レイアウトは迫力があります。色鉛筆でいろいろと細かい処理の指示が書かれているのですが、これは中村監督の書き込みのようで、他のカットでも足の裏の色の処理について書かれていました。
『湘南通信2』にあった足の2カットはこちらにも掲載されています。さらに追加で、靴下を脱ぐ芝居のカット(脱いだあと靴下のゴムの跡まで描写されたこだわりよう)が掲載されていて、どこまでもこだわりを感じさせられますね(笑)。
本編のスタッフが直接的に編集に携わっている原画集を見ていると、そのアニメに対する、それぞれのこだわりが伝わってくることがあります。こうした発見が、原画集を見ることの大きな楽しみです。誌面全体にこだわりが感じられ、原画集を見ることで作品自体のこだわりも感じられる、良い本ですね。
「松風工房」はその後も精力的にサークル活動を続けており、色々な本を頒布していますが、また原画集のような本も出してくれるのを期待してしまいます。過去の本は手に入れるのが難しいようですが、細井さんのイラストなどは、一部の内容が『細井美恵子 アートワークス』にも掲載されているようです。細居さんのファンの方は、こちらを手にとってみると良いかもしれません。
(『湘南通信2 KANI!っと夢心地』・『湘南通信3 KANI's Night Fever!』/2000円・2500円/松風工房)
お蔵出し原稿
NewtypeWEBで連載していた「アニメを見てると××になるって本当ですか?」より。これは当時、NewtypeWEBで配信していた作品の中から、どれか選んで軽いコラムを書くという連載。なので、なるべくためにならない与太話をいろいろ書きました。
この回は、『黒執事』がお題。冒頭に引用されている某小説は、水嶋ヒロの小説『KAGEROU』。ファイルに残っているタイムスタンプを見ると、『KAGEROU』が発売されてから10日後ぐらいに書いた原稿のようですね。
この時はまさか後に水嶋ヒロが実写『黒執事』に主演するなんて思いもよらなかった……。
アニメを見てると××になるって本当ですか? 『黒執事』
ダジャレとイケメン。
水と油……とまではいかないが、かなり異質な取り合わせではある。
たとえば先般発売された某小説。
シャープな印象の2枚目俳優が、俳優引退後に書き大ベストセラーになったそのその小説にしばしばダジャレが登場することがかなりの反響を読んだ。
ダジャレを言うのはダレジャ。
イケメンではいかんのか。
実は『黒執事』はそんな疑問に答えてくれる作品だ。
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