このところ週末に重たい予定が多くメルマガの発行が滞りがちで申し訳ありません。次号からはいつものペースに戻していきたいと思っております。 では、いってみましょう!
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1.最近のお仕事紹介
2.Q&A
3.前回のアニメの門チャンネル
4.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
4.お蔵出し原稿
5.連載一覧
最近のお仕事紹介
1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
8月19日 特別講座「編集の仕事を知ろう」
講師:平木大輔(『NEW GAME!』『舟を編む』『月がきれい』等編集)。
実際の作品の映像を使って編集の仕事を説明いたします。
【受講申込】
9月16日 アニメは戦争をどう扱ったか
『桃太郎海の神兵』から『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』まで
【受講申込】
2.7月の中日文化センター講座 アニメを読む『交響詩篇エウレカセブン』
7月22日は『交響詩篇エウレカセブン』。『ハイエボリューション』のスタートを前に原点であるTVシリーズを取り上げます。【受講申込】
3.7月と8月のSBS学苑
7月は『王立宇宙軍 オネアミスの翼』。 【受講申込】
8月は「アニメの魅力 『ガンダム』から『おそ松』さんまで」。
8月は「お試し版講座」ということで、静岡と沼津で開きます。内容は『逆襲のシャア』『秒速5センチメートル』『おそ松さん』の3本を90分でギュッと紹介します。この講座は学割アリです。
午前10時30分:パルシェ校 【受講申込】
午後:イーラde沼津校 【受講申込】
4.8月のオタクの学校
8月5日15時スタートの『オタクの学校』「アニメを読む」は『シン・ゴジラ』を取り上げます。齋藤さん講座のテーマは「オバケ」。
Q&A
「なぜなにアニ門」で質問を募集しています。「件名」を「なぜなにアニ門」でpersonap@gmail.comまで送って下さい。
前回のアニメの門チャンネル
前回のアニメの門チャンネルは『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』(キンプラ)を考える」と題して、脚本家の綾奈ゆにこさんをゲストにお送りしました。
有料ゾーン含めてだいたい次のような流れで進めました。
1)「キンプラ」をいつ、何回見たか。
2)第一印象
3)「ここが気になった」3大シーン
4)注目キャラ
5)前作とくらべてここが違う
6)「この次」はあるのか。
『キンプラ』の一番の特徴は、ドラマが濃くなって、群像度が増しているところ。綾奈さんの「応援している場合じゃない!」というのは言い得て妙な作品評ではないかと思いました。
連載「理想のアニメ原画集を求めて」
文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)
第45回『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 アニメーション原画集』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q アニメーション原画集』
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの原画集は、『序』『破』『Q』と出版されています。自分が持っているのは『破』と『Q』だけですが、どちらも上下巻の分冊で、1冊300ページ以上の分厚い本となっています。『序』『破』『Q』合わせると、1700ページ以上のボリュームです。このシリーズは、一作ごとに映像として変化があり、原画集も変化していっています。
『序』では、TVシリーズの素材を元にした部分が多かったようですが、『破』からは完全新作の劇場長編になりました。また、『序』『破』ではビスタサイズでしたが、『Q』ではシネマスコープというアニメでは珍しい画面サイズで制作されました。『新世紀エヴァンゲリオン劇場版原画集 Groundwork of EVANGELION The Movie 1』での、庵野秀明監督の前書きによると、TVシリーズの段階でビスタサイズ、旧劇場版の段階でシネマスコープサイズでの制作のアイデアが監督の中にはあったそうなので、『Q』は満を持しての画面サイズだったようです。
『序』『破』の原画集はモノクロでの印刷でしたが、『Q』ではフルカラーになりました。 しかし、値段は据え置きで、『Q』の原画集上巻は『破』と同じ3,500円(税別)です。この分厚さでフルカラーの本となると、もっと高くなってしまいそうなところですが、人気のあるシリーズならではといったところでしょうか。ありがたいことです。
また、『Q』の原画集は、iOS用の「E-SAKUGA」シリーズで電子書籍化もされています。独自のインターフェイスが用いられた電子書籍で、原画をぱらぱらとめくるように見ることができたり、本編映像との比較ができる機能が搭載されているようですが、自分はいまだに実物を見たことがありません。
『破』と『Q』では、作画陣も一新。『序』『破』まではメカ作画監督的な比重の大きかった本田雄さんが、『Q』では総作画監督となり、本田さん中心の作画体制になりました。作画監督が複数いた『破』までの状態から変わり、絵柄も変化しました。
新劇場版シリーズでは、全体を通して3DCGを意欲的に取り込んだ映像が作られています。原画集でもその様子が分かるようになっており、本編ではCGだった映像に対して、アニメーターが紙に描いた、手描きの「アタリ」があったり、逆に3DCGに手描きのエフェクトが描き重ねられているカットの原画等も収録されています。
そうしたカットでは、3DCGのワイヤーフレーム画像と手描きのエフェクト原画を合成させるなど、内容が分かりやすく見える工夫もされています。
原画のサイズを切り張りすることで収録点数を増やす工夫もされており、『Q』からはフルカラーの特性を活かして本編映像のキャプチャー画像が追加されています。
もともと原画やレイアウト、修正原画などの但し書きもあるので、どの段階の作業の絵なのか分かりやすい編集なのですが、フルカラーになってからは用紙の色の違いによって、より分かりやすくなりました。
劇場版作品らしく豪華な作画陣ですが、掲載されている原画を細かく見ていても発見があり楽しいです。個人的に興味を惹かれるのが、「押山清高」さんの原画です。
『破』の2号機初登場のアクションシーンや、ダミープラグで暴走する3号機のシーンなどを担当されていると思います。原画を細かく見てみると、分かりづらいパーツの形を横に大きく描いて補足していたり、文字の書き込みを見てみると、演出で変更されたレイアウトを元に戻した様子などが分かり、こだわりを感じます。画面のスケール感を指示するために、背景の山に立っている木の大きさを指定する描き方などは、目から鱗が落ちるような描き方です。
『Q』の原画集で見ごたえがあったのは、中盤のネルフ本部や、外の世界が描かれたBGやレイアウトを修正した青い修正用紙の絵です。クライマックスのものも幾つか掲載されていますが、恐らく「前田真宏」さんが描かれたものが多いと思います。
『Q』では、中盤のネルフ関連のシーンで、背景画の上から黒い実線を乗せた描写をしている物が多いです。これは押井守監督の『天使のたまご』で使用されていた、絵の具で描いた背景画にセル画の実線を重ねる手法に近い処理だなと思いました。
どのような効果があるかは、カヲルとシンジが外の世界を見に行くシーンの背景に描かれている陥没したコンクリート壁の質感を観直すと分かりやすいかもしれません。
本作での前田さんのクレジットは「監督」ですが、こうした処理に関する作業の比重が大きかったのかもしれません。
原画集ではありませんが、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 全記録全集』を見てみると、レイアウトの修正や原図などの作業で、その多くを庵野秀明さんが担っていたことが分かります。庵野さんのレイアウト関連の資料が多く掲載されていて、興味がある方にはおすすめの本です。
『エヴァンゲリオン』は人気シリーズである事から、出版物の種類も豊富で、その内容も充実しています。最近、単独で出版された絵コンテ集や、以前に紹介した『エヴァンゲリオン展図録』など、必要に応じた興味によって、各種の本を見比べるのも楽しいと思います。
原画集や全記録全集に掲載されている素材には、演出やアニメーターのやり取りが分かる書き込みも多く、作品を深く読み込みたい人にも面白い内容かもしれません。
また、絵コンテ、原画集、図録が手元にある人は、それぞれを順番に見比べる事で、どんな絵コンテを見て、どんな原画を、どんな大きさで描いたかまで分かるようになっているので、アニメーターという仕事を考える資料として活用するのも良いかもしれません。
原画集を通して見ると、だんだんと本田雄さんの作品内での作業量が増えていった事が伺えます。開始から10年間が経過している長い劇場のシリーズですので、原画集などの資料を見てもさまざまな変化を感じます。
作家性の強さから、監督の庵野さんへの注目度の高い作品ですが、10年の間に本田さんの作品での位置も変化しているようです。もちろん、アニメ業界全体から見ても、ファンならずとも注目度の高い方ですが、新劇場版の原画集は、本田さんの10年以上に及ぶ仕事集という趣きも感じます。
作品が継続中ということで、10年以上かけて続く原画集のシリーズとしても見る事ができ、本田さんの仕事集として見てみると、アニメーターの仕事を10年以上かけて追い続けている原画集ともいえるでしょう。
10年の間にアニメの原画集の数も種類もだいぶ変化しました。
次の作品の公開がいつなのかはまだまだ未定ですが、作品のみならず、また次の原画集がどうなっているのかも、気になるところです。
(『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 アニメーション原画集』上巻・下巻、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q アニメーション原画集』上巻・下巻/各3,780円(『Q原画集』下巻のみ3,996円)/発行元 株式会社カラー、販売元:株式会社 グラウンドワークス)
お蔵出し原稿
アニメ喜怒哀楽の第20回から「読書の楽しさを考える」を再掲します。
「読書の楽しさ」を考える
「赤毛のアン症候群」とは
読書の楽しさ――を考えると、いつも感じるもどかしさがある。
それを仮に「赤毛のアン症候群」とでも名付けようか。「読書が好き」「本が好き」ということと、「物語(小説を含む文芸一般)が好き」ということをそのままイコールで結びつけてしまうような考えかたのことだ。
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