アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門メールマガジン

アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第92号(2016/6/24号/月2回発行)

2016/06/26 23:39 投稿

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 6月4日にサンキュータツオさんと『昭和元禄落語心中』を語る会に出させてもらったんですが(主催は旧知の中道さんという方)、以来、改めて落語聞きたくなって(10年前にちょこっと聞いた時期があった。ちょうど林家正蔵襲名の時期ぐらい)、itunesでDLして聞いたりしたんですが、おすすめされた春風亭一之輔さんが確かにおもしろく、これは興味ある人は是非と思いました。
 なんというか「同じ話を何度も聞いておもしろい」のは、噺家ごとのアレンジもあれど、一番は演技とは違うそのニュアンス、タイミングでなんですよね。つまり落語2.0(ここ分かる人は分かる話題です)とか当時から「?」でしたけど、別に2.0にしなくても、おもしろい落語を成立させればいいんだよなーと思った次第。
 では、いってみましょうか。

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1.最近のお仕事紹介
2.Q&A
3.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
4.お蔵出し原稿




最近のお仕事紹介

1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
 7月からの予定は以下の通り。こちらも募集しています。
 7/16特別講座「声優の仕事を知ろう」ゲスト田中一成(『プラネテス』ハチマキ、『ハイキュー!!』烏養繋心)
 8/20『花とアリス殺人事件』
 9/17『交響詩篇エウレカセブン』
 https://www.asahiculture.jp/shinjuku/course/90a95229-2aff-749a-5a4c-5710d1ad6643

2.SBS学苑パルシェ校「アニメを読む」(静岡)
 7月24日10:30より「大人も楽しめるキッズアニメ」と題して『ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』を取り上げます。
 http://www.sbsgakuen.com/Detail?gakuno=2&kikanno=174535

3.栄中日文化センター「アニメを読む」(名古屋)
 7月23日15:30から『新海誠作品』を取り上げます。『言の葉の庭』までのフィルモグラフィーを追いかけながら、新海作品の魅力に迫ります。最新作『君の名は。』の予習にどうぞ。
 →http://www.chunichi-culture.com/programs/program_166148.html

4.NHK文化センター青山教室「アニメを読む」(東京)
 8月20日13:30から、こちらでも『新海誠作品』を取り上げます。
 →https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1088222.html


Q&A

「なぜなにアニ門」で質問を募集しています。「件名」を「なぜなにアニ門」でpersonap@gmail.comまで送って下さい。文面にハンドル(名前)も入れてください。
あるいは、アニメの門チャンネルの有料会員は、アニメの門チャンネルページの掲示板サービスが使えますので、そこに質問をしていただいてもよいです。メルマガの下にあるコメント欄でも結構ですよー。


連載「理想のアニメ原画集を求めて」

文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)

第20回『佐々木政勝エフェクト原画集』1~3

今回紹介する本は、今まで紹介した中でも最も作画ファンしか興味のない本だと思います。

最近では原画集がたくさん出版されるようになりましたが、その内容を見ると、作画ファン向けというよりは、作品のファンに向けた物の方が多くなっていると思います。
中にはキャラクターの止め絵だけを載せた原画集等も少なくなく、もともと原画集を収集していた人間からするとその需要の違いに戸惑うばかりです。
作品のファンにとっては嬉しい内容なのかもしれません。しかし、個人的にはそれは原画集に求めているものではありません。当たりか外れか、買ってみるまで分からないというのはなんとも厳しい状況です。

そんな原画集と対局にあるのが、この『佐々木政勝エフェクト原画集』です。掲載されている原画は、過去に様々な作品で佐々木さんが描いた、エフェクトのみ!
佐々木さんは今ではどちらかと言うと、『咲-saki』シリーズをはじめとした美少女アニメ作品でのキャラクターデザイナーとして有名な方ですが(そちらのお仕事でもまとまった同人誌を出されています)、エフェクトアニメーターとしての顔もあり、この同人誌ではそのお仕事を一望することができます。
エフェクトのみと言っても、絵によってはキャラクター等が同じ紙の中に一緒に描かれている場合ももちろんあるわけなのですが、それらにはなんと目隠しやモザイクがかけられ、キャラクターが特定できないようになっています。今までにも、たくさんの原画集を見てきましたが、モザイクがかけられている原画集はこれしか見たことがありません。恐らく前代未聞でしょう。
レイアウト等も掲載されておらず、エフェクト作画のセルのみが抜き出され、「爆発」「破壊」「液体」「砲」等の単語の項目によって掲載されています。冷静に見直してみると、実に読む人を選ぶ内容ですね。

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原画集というものは、何がどの素材なのかや、タイムシートの見方等が分からないと、掲載内容を理解するのもなかなか難しいものだと思います。この本はその中でも最たるものでしょう。
そもそも、先ほど言ったような理由でキャラクターの判別等ができないので、佐々木さんのエフェクトを見て判別できるような人でもない限り、何の作品の原画なのかすら分からないかもしれません。掲載されている作品は、自分の分かる範囲だとシンエイ動画関連の劇場作品が多いと思います。中でも、『ドラえもんズ』や『パーマン』の劇場作品などは、佐々木さんがエフェクトアニメーターとして全力を発揮しているおすすめの作品です。原画集を持っておられない方も、ぜひ御覧ください。

さて、この原画集ですが、「キャラクターも載っていないし、煙や炎や水の絵をしげしげと見つめても……」と思われる方も多いことでしょう。しかし、そうした自然現象をキャラクターと同じく魅力的に描けるのも、アニメの魅力の一つだと思います。
エフェクトの作画は、日本のアニメ映像の中でも、特殊に進化したものの一つです。数々の自然現象や超常現象を目に見える形で表現するために、何世代にも渡り進化してきました。
例えば、「煙」と一口に言ってみても、その描き方には複数の様式や、個人の個性によって様々な形の物があります。驚くべきことに、そこには流行と言っても良い、文脈すら存在しているのです。知らない人にとっては理解できないことだと思いますが、「いま、この煙が流行っている」という感覚を持ってアニメを観ていたりします。
キャラクターの顔の描き方やプロポーション等の流行が、時代時代で話題になることはありますが、同じように日本のアニメの中には煙でさえ、その時代を表す顔があると思うと面白いことだと思います。

炎や水、光など、もともと物体として固有の形を持たない物を、あえて線という形にまとめて描く、動かすことはアニメの醍醐味とも言えます。この本は、そうしたアニメの魅力が詰まった本と言えるかも知れません。
佐々木政勝さん以外にも、エフェクト作画で活躍されている橋本敬史さんや、光田史亮さん等の方達も同人誌の形で原画集をまとめていますが、商業誌でもエフェクトの原画集が出るような世界になってほしいものです。
雑誌では、最近『MdN』で二回ほどエフェクトに関する特集がありましたが、ジョセフ・ジランドの『特殊効果アニメーションの世界 エレメンタルマジック』のような本が日本でも出ると面白いと思います。『MdN』での特集が、その後ムック本としてまとまったあたり、エフェクトに対する需要は決して少なくないはずです。

(『佐々木政勝原画集』1~3/発行 はちのこの里/各2000円)


お蔵出し原稿

ファイル名が【新喜怒哀楽】で2009年更新になっていたので、「アニメージュオリジナル」で書いたものだったかな……。もっと書いてみたい「アニメエッセイ」的な連載です。

心の触れあい、キスの喜び

『化物語』第12話「つばさキャット 其ノ貮」で、ヒロイン戦場ヶ原ひたぎは言った。
「そういえばあの下司は私の体だけが目当てだったから、私の唇を奪おうとはまったくしなかったわね。……阿良々木、だからキスをします」
 戦場ヶ原と主人公・阿良々木暦は星空の下でキスを交わす。
 体が目当てだと、唇は狙わない。
 キスも肉体の接触にもかかわらず、ここではそれ以上に心の問題として語られている。
 思えば、江戸時代の遊郭でまだキスが「呂の字」(口と口がつながっているから)という隠語で呼ばれていた時も、高いランクの遊女は、気に入ったお客としか「呂の字」をしなかったという。

 

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