先日の5月3日は憲法記念日であり、日本国憲法が施行されてから72年がたつ。

 

今回ご紹介する本はこの日本国憲法がよってたつ「個人の尊重(憲法13条)」と「平和主義(前文)」の原理を、

18世紀のドイツの哲学者イマニエル・カント(1724~1804)の理論から解明しようという力作である。

 

 

 

『カント批判哲学による「個人の尊重」と「平和主義」の形而上学的基礎づけ』 中村博雄著 2008年 成文堂

 

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日本国憲法が目的として設定してる個人の尊重(尊厳)と、平和主義の理論的土台は、実はカントの哲学に基づいているという。

 

しかしそのことについては、著書が出版された2008年の段階では殆ど語られることはなかった。

 

(上記本より以下転載)

P5

カントと日本国憲法13条

日本国憲法は、アメリカの強い影響の下に制定され、解釈されてきた。したがって、これまでカントとの関係が語られることはほとんどなかったようである。

 

(転載終了)

 

2008年の段階で日本国憲法が施行されてから60年がたっていた。

それまで日本国憲法を作成させた米国と憲法の関係については語られても、カント哲学との関係は殆ど論じられなかった。

 

 

 

それでは何故、カントの哲学が日本国憲法の原理を理解するうえで有効なのか?

そのことを本書は以下のように説明する。

 

 

(上記本より以下転載)

 

P2

「人間の尊厳」と「平和」の問題は、現代の人類にとって重要課題であるばかりでなく、実は、カント自身が生涯にわたって取り組んだ哲学的根本課題であった。そして、カントのこの思索の努力が、現代の人権論、平和論の源流となっている。したがって、このカント哲学に関する研究の成果は、現代の難問を根本から考え直す糸口を与えてくれるはずである。

 

(転載終了)

 

 

 

日本国憲法の土台となっている「個人の尊厳」と「平和主義」はカント哲学が源流になっているためだという。

日本国憲法を作成させた米国のマッカーサーやトルーマンなどは、フリーメイソンであり、その思想が反映されているのが日本国憲法であることはよく識者によって指摘されることである。

 

そのフリーメイソンの思想にカントの哲学が最も影響を与えている、と国際フリーメイソン事典には書かれている。

つまり

 

・カント哲学→憲法を作成した米国フリーメイソン(マッカーサーやトルーマンなど)→日本国憲法→戦後、72年の日本の国家体制

 

この枠組みから考えれば日本国憲法の根本原理を理解するには、これまであまり関連付けられてこなかったカント哲学から読み解くべきだ、という本書の指摘は正しい。

 

カント哲学の専門家によって書かれた本書は日本国憲法の原理を理解するうえで最適な案内本である。

 

本書の指摘する通り現代の難問は、憲法が保障する「個人の尊重(尊厳)」と「平和主義」が健全に機能していないことだ。憲法を活かすには、その根本原理を理解することは必須となる。


それを知ることで現在、盛んに論じられている改憲論に対しての賛否を考える基準にもなる。

 

 

(次回に続く)

(記事終了)

 

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