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その2 フリーメーソン倫理学の基礎としてのカント倫理学 外形的な行為よりも動機を重視する厳格主義

2018/04/17 15:10 投稿

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欧米の民主主義を作り上げてきた中心勢力フリーメーソンの
倫理学の基礎にある18世紀のドイツ
の哲学者カントの倫理学の解説本

「悪について 中島義道著 岩波新書」

の書評の続き。


前回はカント倫理学が人間を自己愛と欲望にまみれた存在である
ことを前提にしていることを解説した。

→<リンク>「悪について 中島義道著」を読む その1 フリーメーソンの倫理学の基礎としてのカント倫理学


今回は、カントの倫理学が外形的な行為よりも内面の動機を
重視することについて。




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カント倫理学では、外形的な行為ではなく内面的な動機を徹底的
に重視する。

外見的には立派な行為を行っても、それが自己愛に基づいていれ
ば「道徳的に善い行為」となるわけではない。

動機が善くなければ、ダメなのである。


常識的な人の多くは違和感を感じるところだろう。




(悪について 中島義道著 より転載)


P16

カントは、いわゆる品行方正な人を一瞬たりとも尊敬してはいない。むしろ外形的に品行方正な行為にしがみついている人こそ、その動機は濁りきっているのではないか、という疑いのまなざしを、彼らに向けつづける。道徳的な善さは行為の外形にではなく、ひとえに動機にある。それは隠れて見えないがゆえに、そしてみな自分の動機を直視しようとしないがゆえに、きわめて厳格な態度でチェックしなければならないのである。


P55

カント倫理学の関心は、不自然なほどに限定されており、それは「(ずる)賢い行為は道徳的に善い行為ではない」とひとことで言えるものである。


P81

道徳的善さを求める限り、他人に親切にする場合、その動機として自己愛の片鱗も有すべきではない。このほとんど実現不可能なことを、それでもなお要求するところに、道徳的善さを求める彼の厳格な姿勢がある。



(転載終了)


一見、カントの倫理学は自己愛の放棄という人間にとって殆ど
不可能な要求をしているということから、無意味なものに感じ
るかもしれない。

しかし、自己愛の放棄を意識の面から実現する手段を考える
ことが、歴代の偉大な宗教や思想が追求してきたものだ。

ここに人類の精神的進化の重要な鍵が含まれているのである。


カントの述べる「道徳的に善い行為」を引き出す「動機の中身」
とは何なのか?


その動機を理解することで民主主義の基礎となる「人格の原理」
が立ち現れてくる。


次回に続く

(記事終了)



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