主張
安倍首相改憲策動
ごまかしがまた始まったのか
昨年末以来「緊急事態条項」の創設や憲法9条の改定など、改憲についての発言を積極化させてきた安倍晋三首相が、参院選の決起大会を兼ねた13日の自民党大会のあいさつで、改憲に触れなかったことが逆に注目を集めています。運動方針では「国民的な議論と理解を深める」と明記しており、首相も改憲を諦めたわけではないと国会で答えました。しかし秘密保護法や「戦争法」制定でもそうだったように、選挙が近付けば本音を隠し、経済問題などでやり過ごして、選挙が終われば一気に強行しようというごまかしがまた始まったとみられるのは免れません。
改憲発言繰り返した首相
昨年秋、これまでの憲法解釈をくつがえして集団的自衛権の行使まで容認する「戦争法」を強行した後、安倍首相はことあるごとに、「明文改憲」に積極姿勢を示してきました。当初は憲法のどこをどう変えるか明示せず、「改憲に向けて国民的議論を」というものでしたが、次第にエスカレートし、今年になってからは参院選で自民・公明の与党や「おおさか維新の会」など改憲勢力で改憲発議に必要な3分の2以上の議席を目指すとまで明言します。
改憲の中身も、改憲勢力が突破口と位置付ける「緊急事態条項」の創設にとどまらず、憲法9条についても「7割の憲法学者が自衛隊に憲法違反の疑いを持っている状況をなくす」と言い出しています。最近では国会で堂々と議論し、首相任期中の改憲に挑戦する意向さえ隠していません。
こうした首相(自民党総裁)の意向を受け、自民党は今年の大会に提出した運動方針で、「国民的な議論と理解を深める」「賛同者の拡大運動を推進」と明記しました。安倍首相の大会でのあいさつが注目され、改憲に一言も触れなかったことが逆に、本音を隠して選挙後改憲に突き進むのではないかと取りざたされるのは当然です。
総選挙や参院選挙の前は本音を隠し、選挙後一気に突き進むのは安倍首相の常とう手段です。前回の参院選挙(2013年)の際は、選挙では国民の自由を束縛する秘密保護法の制定にも、憲法解釈を踏みにじる集団的自衛権の行使容認にもほとんど触れなかったのに、選挙後の国会に秘密保護法を持ち出して成立を強行したうえ、翌年からは集団的自衛権の行使容認の策動を本格化させます。
14年末に突然強行した衆院の解散・総選挙では今度は集団的自衛権行使を容認する「戦争法」の制定さえ後ろに引っ込め、もっぱら経済問題を争点に、消費税の10%への増税「延期」で国民世論をごまかしました。選挙が終わった昨年になって、強行に強行を重ね、「戦争法」を成立させたのは記憶に新しいところです。安倍首相の手法はいささかも軽視できません。
国民は改憲望んでいない
もちろん、安倍首相が改憲を堂々と持ち出せないのは、国民の多数が改憲を望まず、「戦争法」を強行したうえ、「明文改憲」まで狙う安倍首相に警戒を強めているからです。安倍首相に近いといわれる「読売」の調査でさえ、任期中に改憲を実現したいという安倍首相の考えを「評価する」は37%で、「評価しない」が52%です。
安倍首相の改憲のごまかしを許さず、安倍政権を退陣に追い込む、世論と運動の拡大が必要です。
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