日本共産党の志位和夫委員長はこの問題で10日、公立保育所の大幅増と保育士の抜本的待遇改善に向けた「政治の転換が必要だ」と表明しています。
公立保育所は、公的責任による保育を求める世論を受けてつくられ、地域の保育標準となり、民間社会福祉法人とともに子育て拠点ともなってきました。
受け皿確保逆行
ところが、「地方行革」を看板に歴代政権のもとで公立保育所の廃止や民営化が進められ、1999年の1万2875カ所から2014年には9791カ所へと4分の1も減らされました。背景には公立保育所の運営費の一般財源化(04年)や整備費の一般財源化(06年)を進め、国の責任を地方に転嫁してきたことがあります。
しかも、政府は自治体に対して14年から、「公共施設等総合管理計画」策定を求め、廃止・民営化に拍車をかけようとしています。
日本共産党の堀内照文議員は9日の衆院厚生労働委員会で、「受け皿」確保に逆行する国の姿勢を批判。「認可保育所を増やす上で公立の役割が大事だ」と強調し、「公立保育所の運営・整備にかかる国の財政的責任をもっと果たしていくべきだ」と求めました。
安倍内閣はこれまで40万人分の「受け皿」確保を掲げ、15年から始まった新制度では、保育士のいない施設も認可。株式会社による補助金の使途制限も緩和するなど、保育水準を引き下げ、営利企業の参入拡大で「解消」を図ろうとしてきました。しかし、15年度の待機児は前年より増えて2万3167人となり、民間任せの行き詰まりを示しています。
安倍首相はさらに10万人分を増やすと打ち出しましたが、小さく見積もった「待機児童数」に基づく計画で、保育ニーズに応えるものではありません。しかも、10万人のうち5万人分は「企業主導型保育」として市町村が関与しない認可外施設を増やす方針です。
緊急の待機児対策でも公立保育所の役割が重要になっており、民間任せにせず、公立保育所の大幅増による認可保育所の増設が急務になっています。
11万円も低い
保育士の平均賃金は21万6千円(14年調査)。全産業平均より11万円以上低くなっています。これは、補助金の単価が約19万9920円と低く抑えられているからです。
そのため資格を持ちながら働いていない潜在保育士は76万人にのぼります。深刻な保育士不足は、保育所増設が進まない要因の一つにもなっています。
ところが、政府の「保育士確保プラン」は「勤続年数に応じた処遇改善」とあるものの、賃金の抜本的引き上げはありません。無資格の職員配置を認めるなど基準を緩和して人手不足を「解消」しようとしています。
堀内議員は、「生活を支える職業として選択するに値する賃金といえない」とのべ単価の抜本的引き上げを主張。配置基準緩和についても「学費をかけて4年間学んでも無資格者と変わらないのでは保育への志をそぎ、保育士確保に逆行する」と批判しました。
(深山直人)
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