主張
北朝鮮制裁の決議
全面実施と6カ国協議再開を
国連安全保障理事会は2日(日本時間3日)、北朝鮮が強行した4度目の核実験と事実上の弾道ミサイル発射を強く非難し、同国への経済的な制裁措置を追加した新たな決議を全会一致で採択しました。これまでの安保理の諸決議や6カ国協議の共同声明、日朝平壌宣言などに違反した北朝鮮による「国際の平和と安全への明白な脅威」への当然の対応であり、各国には、制裁措置の全面実施と、6カ国協議の再開で北朝鮮に核兵器を放棄させる働きかけを抜本的に強めることが求められます。
実効性高めることが必要
採択された安保理決議2270は、北朝鮮の核兵器やミサイルの開発にかかわるヒト(外交官を含む)、モノ、カネの国際的な流れを断つため、北朝鮮を出入りするすべての貨物の検査などこれまでより強い措置を盛り込みました。一般市民に人道面で悪影響を与えないとの条件で、「ロケット」用を含む航空燃料の北朝鮮への輸出禁止、北朝鮮金融機関の外国支店や口座の新たな開設の禁止、北朝鮮からの石炭や鉄鉱石など鉱物の輸入制限も各国に義務付けました。
かつてなく厳しい内容です。北朝鮮の核開発を実質的に抑制するには、制裁を実効あるものにすることが不可欠です。国連安保理の北朝鮮制裁の履行状況を調べる専門家パネルは、最新の報告書で、安保理メンバーを含め各国による制裁の実施が不十分で、北朝鮮の決議違反の行動を許していると指摘しました。
北朝鮮の核兵器開発が世界と北東アジアの平和と安全を脅かしている今日、北朝鮮の最大の貿易相手国の中国をはじめ各国は、制裁を厳格に履行し実効性を高める必要があります。
注目されるのは、決議が中国、北朝鮮、日本、韓国、ロシア、米国による6カ国協議の再開を強く要請したことです。決議は、2005年の6カ国協議の共同声明が、検証可能な平和な形での朝鮮半島の非核化という目標だけでなく、米朝による相互の主権尊重と平和共存、6カ国の経済協力の促進の2点も確認していると言及しました。3年前の制裁決議にはなかった指摘であり、北朝鮮が「米国の敵視政策」を口実に核開発を進める一方で、米国に「平和協定」の締結交渉を求めていることをふまえたメッセージともいえます。
国連代表部などを通じた米朝の接触が最近明らかになりましたが、6カ国協議の会合は結局、08年12月以来、開かれていません。北朝鮮はその間、核、ミサイル開発を進めました。いま重要なのは、制裁の全面実施とともに、緊張を高める行動を避け、北朝鮮の核問題を対話解決の道に戻す政治・外交努力を急ぐことです。
外交的平和的解決のため
2日の安保理の討論でも、米中ロを含む複数の国が、交渉テーブルへの北朝鮮の復帰と6カ国協議の再開を求めました。安保理の議長国で北朝鮮の友好国でもあるアンゴラは、「北朝鮮政府は違反行為をやめ、国際社会の正当な一員としての恩恵を得るため、自身も合意した枠組みで問題解決の協議を」と発言しました。北朝鮮には国際社会の明確な意思に従うことが求められています。日本政府も関係国と協調を強め、問題を外交的平和的に解決するために力を尽くすべきです。
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