主張
長引く消費の低迷
消費税増税は中止以外にない
安倍晋三政権が進めている経済政策「アベノミクス」のもとで勤労者の実質収入の落ち込みや個人消費の低迷が長期にわたって続く中で、2017年4月から強行しようとしている消費税の増税を中止すべきだとの声が大きくなっています。安倍首相は、リーマン・ショック級の経済変動や大震災でも起きない限り増税は実施する姿勢ですが、財界関係者や首相の経済ブレーンからも「凍結すべきだ」との声が出だしています。消費の低迷が長引く中での消費税増税が経済を破綻させるのは明らかです。消費税の増税は中止すべきです。
日本経済の底が抜けた
安倍政権は第2次政権発足後、14年4月に消費税の税率をそれまでの5%から8%に引き上げました。増税による負担増は7兆円を超し、国民の暮らしを一気に冷え込ませ、経済を低迷させました。勤労者の実質収入や消費の低迷は長期にわたって続き、経済全体の規模を示す国内総生産(GDP)も増税直後にマイナスに落ち込んだだけでなく、1年以上たった昨年4~6月期や直近の10~12月期もマイナス成長になるありさまです。安倍政権は昨年10月に消費税を8%から10%に引き上げる予定でしたが、17年4月に延期、増税の打撃をごまかすために「軽減税率」導入などを持ち出しています。
安倍政権が「アベノミクス」で必死にテコ入れしても消費税増税の影響が長引き、経済が低迷を続けているのは、「アベノミクス」で大企業のもうけを増やしても、大企業はため込みを増やすだけで賃金や雇用の改善に回さず、国民の消費が伸び悩んでいるためです。
昨年1年間の家計調査報告によれば、世帯当たりの消費支出は前年比で名目1・3%、実質2・3%といずれも2年連続の減少、昨年の毎月勤労統計調査によれば勤労者の実質賃金は前年比0・9%の減少となりました。「アベノミクス」の筋書きは破綻しています。
個人消費はGDPの約6割を占め、消費が伸び悩んでいるのは文字通り経済の底が抜けているようなものです。これではいくら「アベノミクス」を追加しても効果はありません。そのなかで国民に新たに5兆円もの負担を押し付ける消費税の再増税を強行すれば、日本経済は破綻してしまいます。消費税増税に警戒と批判が高まり、安倍首相の経済ブレーンといわれる内閣官房参与の本田悦朗氏までが「消費税率10%への引き上げは必ず凍結すべき」「客観情勢として、消費増税ができる経済環境に全くなっていない」(「毎日」24日付)などと言い出しているのもそのためです。消費税の増税中止は、政治の重大な焦点課題です。
国民の暮らし立て直して
安倍首相も国会で追及されて、「世界経済の収縮が実際起きれば」延期を検討するなどとこれまでと違った言い回しを始めています。世界経済の変動は重大ですが、日本経済の不振を国際的な通貨や株価のせいだけにするのは正しくありません。日本経済が円安や株安で揺さぶり続けられるのも、国内の需要が低迷し、経済の潜在的な成長力が落ち込んでいるからです。消費の低迷を直視すべきです。
消費税増税は延期や凍結でなくきっぱり中止し、国民の暮らしにテコ入れして、日本経済を底上げすることが喫緊の課題です。
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