安倍晋三首相は「子どもたちの未来が家庭の経済事情によって左右されることがあってはならない」と繰り返しますが、児童のいる世帯の平均所得は1996年と比べて2013年には約100万円も減少。大学の初年度納付金は10万円も増えています。所得は大幅に下がっているのに学費だけ値上がりが続いています。
田村 総理、この学費はあまりに高い。多くの家庭で自助努力の限界を超えている。
首相 家庭の経済状況によって大学等進学率に差があると各種調査で示されていることは認識している。
首相は来年度予算でも対策をとっていると強弁しました。
経済協力開発機構(OECD)は高等教育の授業料水準と公的補助水準の高低を四つのモデルに分類し、日本、韓国、チリは「高授業料・低補助」に該当します。韓国は2008年から生活保護受給者から低所得層、中所得層へと給付制奨学金制度を拡大。チリは昨年、低所得層の授業料を国立・私立とも無償化することを決定。日本はOECD諸国の中でも高学費であり、公的な給付制奨学金制度もありません。
田村 総理がいう地球儀を俯瞰(ふかん)した時、日本の「高学費・低補助」はあまりに際立つ。
馳(はせ)浩文科相 奨学金を含む教育費の負担軽減策は、国によってさまざまな制度があり一概に比較できない。奨学金や授業料減免の充実をはかる。
田村氏は、授業料免除などを受けても1日8時間ものアルバイトや奨学金の借り入れをせざるを得ない学生の実態をつきつけました。
首相は「学生の負担減免に努めている」と弁明。田村氏は「結局学生への国の支援は奨学金の貸し付けしかない」と批判しました。
奨学金貸し付けで多額の借金を抱える若者が増えています。
日本学生支援機構の奨学金借り入れ総額が500万円以上の貸与者は、10年度の7431人(4・4%)から14年度2万2341人(8・7%)へと急増。田村氏は「ギャンブルをしたわけでも浪費をしたわけでもない。大学や大学院で学ぶための借金だ」と強調しました。
ドイツの貸与制奨学金制度は半額給付・半額貸与が原則で、総額140万円を超える分は返済免除されます。
田村 返済総額を減らす支援があって初めて奨学制度といえるのではないか。
文科相 給付型奨学金の導入は今後の課題として検討する。
財務省は国立大学の授業料値上げの議論が必要だという立場です。
参院予算委員会の審議で文科相は「給付制奨学金は必要だ」との答弁をくり返し、首相も「馳大臣が言われた通りだ」とのべてきました。
田村 総理が「若者の未来が家庭の経済状況に左右されることがあってはならない」と叫んでも、それはカラ文句でしかない。この場で、給付制奨学金に向かう、検討を開始すると約束せよ。
首相 給付型奨学金について、われわれは政策の選択肢としてとらないといっているわけではない。
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