10日放送のNHK「日曜討論 党首に問う」での日本共産党の志位和夫委員長の発言は次の通りです。
中川緑アナウンサー つづいて日本共産党の志位委員長です。よろしくお願いします。
志位委員長 おはようございます。
志位 安倍政権が、昨年9月に強行した安保法制=戦争法は、憲法9条を壊し、立憲主義を壊す、戦後最悪の立法であって、これは「数の暴力」で強行させられたからといって、そのままにしておくわけには決していかないと考えております。
戦争法は廃止する。集団的自衛権行使容認の「閣議決定」は撤回する。そのために野党は共闘し、選挙に勝ち、安倍政権を退陣に追い込み、新しい国民の政府―「国民連合政府」をつくろうと。「これしかない」と呼びかけをやっております。
同時に、安倍政権があらゆる分野でやっている国民そっちのけの暴走政治―沖縄の新基地建設、原発の再稼働、TPP(環太平洋連携協定)、そして消費税10%への大増税―これに正面から対決して、政治の転換を求めて頑張っていきたいと考えております。
ただですね、「国民連合政府」の構想ということになると、“これはまだ時期尚早ではないか”“参議院選挙ではいかがなものか”というような発言もありました。このへんはどういうふうに間を埋めていくのですか。
志位 私たちは、戦争法の廃止のためには、そして立憲主義を回復するためには、それを実行する政府が必要だという考え方を持っております。そのことはよく話し合っていきたいと思っておりますが、まずは、今度の国会で、安保法制=戦争法の廃止のための法案ですね、これは、ぜひ野党が共同して提出していく。そしてこの問題を今度の国会の大きな争点に押し上げていく。これはぜひやっていきたいと思っております。
志位 これは、相談だと思いますが、施行前にもこれは提出するということになるんじゃないでしょうか。
島田 それはそのときは、野党の中でもできるだけ幅広い勢力での提出にしたいと。
志位 野党5党として、この(11本の法律からなる)安保法案=戦争法案に反対したわけですから。一括して、反対したわけですから、11本に対して。ですからこれを一括して廃止にするという点で、結束できるのではないかと考えています。
志位 私は、まず、「アベノミクス」の3年間の検証が必要だということを言いたいですね。
結局、「トリクルダウン」、すなわち、「まずは大企業にもうけてもらう。そうすればいずれは家計の方にもうけが回ってくる」ということを言い続けてきたのですけれども、実態はどうか。
大企業の方は、この2年間、過去最高の利益をあげている。内部留保も3年間で38兆円積み増しして、300兆円を超えました。
しかし暮らしはどうかと言いますと、総理は「賃金が上がった」ということをさかんにおっしゃるけれども、実質賃金は3年間でマイナス5%。年収400万円でしたら、20万円も目減りですよ。総理は、「雇用が増えた」ということをおっしゃるのですが、増えたのは不安定な非正規雇用であって、正社員は全く増えていない。
ですから「アベノミクス」「トリクルダウン」は破たんしたと(思います)。この事実を認めて、政策転換がいると思うんですよ。つまり、庶民の家計を直接応援し、中小企業を応援する。そこに転換していく必要があると思います。
志位 私たちは、消費税10%はきっぱり中止すべきだと主張しております。「軽減税率」ということも言われますが、4・5兆円もの大増税ですから、これは今の景気を破壊し、暮らしを破壊するもので、やめるべきだと言っております。
財源を考える場合に、いろいろな「バラマキ」ということが言われておりますが、私は、大きなところでの「バラマキ」を見直す必要があると(思います)。
たとえば、この間、安倍政権になって、これまでやってきた分、やろうとしている分を含めますと、法人税減税、大企業に対する減税のバラマキは、3・5兆円ですよ。これをやっても暮らしの方に結びつかない。賃上げに結びつかない。設備投資にも結びつかない。こういうバラマキはやめる。
それから、安倍政権になって軍事費が初めて5兆円を超えようとしている。米軍への「思いやり予算」も増やそうとしている。こういうところも縮減のメスを入れていく。
まずはこういうところで財源をつくっていく努力が必要だと思います。
志位 まずは参議院選挙では、憲法違反の安保法制=戦争法を強行した自民、公明に退場の審判を下す。参議院で自民、公明とその補完勢力を少数派に転落させる。そのために、1人区が全国で32あるのですが、そこではぜひ、「安保法制=戦争法の廃止、立憲主義の回復」、こういう国民的大義を掲げて、野党が選挙共闘をしっかりやって、そして自公に打ち勝っていくということが必要だと思います。
同時に、日本共産党が大いに躍進していくことが、「国民連合政府」の実現にもつながりますし、安倍政権の暴走を止めて、(政治の)転換をはかる一番の力になりますから、これも大いに訴えて躍進をはかりたいと思っております。
志位 私たちは、さきほど言ったように、この政権の必要性ということを確信しておりますが、この問題はよく話し合っていきたい。
そして今、この問題で、たいへんにうれしい動きとして、たとえば熊本で、市民団体のみなさんが、安保法廃止で野党は統一候補を擁立してほしいと要請した。それに応えて、県内の野党5党が相談して、統一候補擁立にいたりました。こういう筋の通った野党共闘を広げていくために力をつくしたい。
ただ、全国的な規模で、1人区での野党共闘を実現しようとしたら、これは中央段階で、政党と政党が真剣な協議をやって、しっかりした合意をつくることが必要です。それをやっていきたいと思っております。
志位 いや、そういう(柔軟さのアピールという)狙いというよりも、私たちはこの問題では、現行憲法の原則と条項の厳格な実施という立場から、この間も、開会式の民主的改革を求めてきました。
開会式については二つ問題があったんですね。一つは、形式の問題で、戦前の大日本帝国憲法のときの形式がそのまま踏襲されている。もう一つは、内容の問題で、以前は天皇のいわゆる「お言葉」の中に、国政に関する政治的発言が含まれていた。
二つの問題があったんですが、後者については、この三十数年来、(憲法上の)問題がなくなってきた。そういうもとで、今後は出席して民主的改革を求めていくということにしました。
志位 総理が、「緊急事態条項」の新設ということを改憲のテーマにするということをおっしゃったことは、きわめて重大で危険だと思っております。それはたんに憲法9条改定への突破口にするというだけではなくて、「緊急事態条項」そのものがたいへんに危険だと(思います)。
自民党の「改憲草案」を見ますと、こう書いてある。
“内閣総理大臣は、緊急事態の宣言をする。そのさいには、国会の議決を経なくても内閣の判断で法律と同一の効力を有する政令を制定することができ、地方自治体への指示ができ、国民の基本的人権の制限ができる”。
これは「戒厳令」、「独裁政治」への道ですから、こういう明文改憲は絶対に許さないという立場でのぞみたいと思っております。
島田 そこが最大のポイントですね。
志位 そうです。
中川 ありがとうございました。
中川緑アナウンサー つづいて日本共産党の志位委員長です。よろしくお願いします。
志位委員長 おはようございます。
安倍政権とどう向き合うのか?
「国民連合政府」の実現めざしつつ、国民そっちのけの暴走政治と正面から対決
島田敏男解説委員 自民党の「一強多弱」と言われる政治状況の中で、共産党は安倍政権にどう対峙(たいじ)していくのか。この点いかがでしょう。志位 安倍政権が、昨年9月に強行した安保法制=戦争法は、憲法9条を壊し、立憲主義を壊す、戦後最悪の立法であって、これは「数の暴力」で強行させられたからといって、そのままにしておくわけには決していかないと考えております。
戦争法は廃止する。集団的自衛権行使容認の「閣議決定」は撤回する。そのために野党は共闘し、選挙に勝ち、安倍政権を退陣に追い込み、新しい国民の政府―「国民連合政府」をつくろうと。「これしかない」と呼びかけをやっております。
同時に、安倍政権があらゆる分野でやっている国民そっちのけの暴走政治―沖縄の新基地建設、原発の再稼働、TPP(環太平洋連携協定)、そして消費税10%への大増税―これに正面から対決して、政治の転換を求めて頑張っていきたいと考えております。
通常国会での“野党共闘”は?
安保法制=戦争法廃止へ野党共同で法案提出を―今国会の大きな争点に
島田 それで、志位さん。いまも民主党の岡田(克也代表)さんが、安全保障関連法の廃止、“とにかくいったん白紙に戻すんだ”と(発言した)。ここでは共産党と考え方は一緒だということはもうはっきり言っていました。ただですね、「国民連合政府」の構想ということになると、“これはまだ時期尚早ではないか”“参議院選挙ではいかがなものか”というような発言もありました。このへんはどういうふうに間を埋めていくのですか。
志位 私たちは、戦争法の廃止のためには、そして立憲主義を回復するためには、それを実行する政府が必要だという考え方を持っております。そのことはよく話し合っていきたいと思っておりますが、まずは、今度の国会で、安保法制=戦争法の廃止のための法案ですね、これは、ぜひ野党が共同して提出していく。そしてこの問題を今度の国会の大きな争点に押し上げていく。これはぜひやっていきたいと思っております。
11本の戦争法案に野党5党で反対―括廃止で結束は可能
島田 これは、志位さん、3月の下旬に、安全保障関連法の施行が予定されていますけれども、施行されたら廃止法案を出すという段取りになってくるのでしょうか。志位 これは、相談だと思いますが、施行前にもこれは提出するということになるんじゃないでしょうか。
島田 それはそのときは、野党の中でもできるだけ幅広い勢力での提出にしたいと。
志位 野党5党として、この(11本の法律からなる)安保法案=戦争法案に反対したわけですから。一括して、反対したわけですから、11本に対して。ですからこれを一括して廃止にするという点で、結束できるのではないかと考えています。
安倍政権の経済政策をどう追及するか?
「アベノミクス」「トリクルダウン」は破たん―庶民の家計・中小企業応援へ政策転換を
中川 つづいて経済財政政策をうかがいます。安倍政権は「1億総活躍社会」を掲げて、「介護離職ゼロ」の実現などを目指して、社会保障にも力を入れるとしています。これに対して共産党は、どういう点を、どのように追及していくお考えですか。志位 私は、まず、「アベノミクス」の3年間の検証が必要だということを言いたいですね。
結局、「トリクルダウン」、すなわち、「まずは大企業にもうけてもらう。そうすればいずれは家計の方にもうけが回ってくる」ということを言い続けてきたのですけれども、実態はどうか。
大企業の方は、この2年間、過去最高の利益をあげている。内部留保も3年間で38兆円積み増しして、300兆円を超えました。
しかし暮らしはどうかと言いますと、総理は「賃金が上がった」ということをさかんにおっしゃるけれども、実質賃金は3年間でマイナス5%。年収400万円でしたら、20万円も目減りですよ。総理は、「雇用が増えた」ということをおっしゃるのですが、増えたのは不安定な非正規雇用であって、正社員は全く増えていない。
ですから「アベノミクス」「トリクルダウン」は破たんしたと(思います)。この事実を認めて、政策転換がいると思うんですよ。つまり、庶民の家計を直接応援し、中小企業を応援する。そこに転換していく必要があると思います。
消費税10%は中止、大企業減税のバラマキをやめ、軍事費に縮減のメスを
島田 そういう考え方の中で、財政状況というものの厳しさ、これに向き合うためにも、共産党が訴える政策実現のために必要な財源はどう確保するか。ここを示すことも大事だと思うんですけれど、どうでしょう。志位 私たちは、消費税10%はきっぱり中止すべきだと主張しております。「軽減税率」ということも言われますが、4・5兆円もの大増税ですから、これは今の景気を破壊し、暮らしを破壊するもので、やめるべきだと言っております。
財源を考える場合に、いろいろな「バラマキ」ということが言われておりますが、私は、大きなところでの「バラマキ」を見直す必要があると(思います)。
たとえば、この間、安倍政権になって、これまでやってきた分、やろうとしている分を含めますと、法人税減税、大企業に対する減税のバラマキは、3・5兆円ですよ。これをやっても暮らしの方に結びつかない。賃上げに結びつかない。設備投資にも結びつかない。こういうバラマキはやめる。
それから、安倍政権になって軍事費が初めて5兆円を超えようとしている。米軍への「思いやり予算」も増やそうとしている。こういうところも縮減のメスを入れていく。
まずはこういうところで財源をつくっていく努力が必要だと思います。
夏の参院選どうのぞむか?
野党共闘を実現し自公と補完勢力を少数派に―日本共産党の躍進も大いに訴える
中川 夏の参議院選挙について聞きます。共産党は前回の参院選、そして衆院選で議席を伸ばしてきましたね。夏の参議院選挙に向けてどうのぞみ、そしてどういっそうの党勢拡大をはかっていくお考えですか。志位 まずは参議院選挙では、憲法違反の安保法制=戦争法を強行した自民、公明に退場の審判を下す。参議院で自民、公明とその補完勢力を少数派に転落させる。そのために、1人区が全国で32あるのですが、そこではぜひ、「安保法制=戦争法の廃止、立憲主義の回復」、こういう国民的大義を掲げて、野党が選挙共闘をしっかりやって、そして自公に打ち勝っていくということが必要だと思います。
同時に、日本共産党が大いに躍進していくことが、「国民連合政府」の実現にもつながりますし、安倍政権の暴走を止めて、(政治の)転換をはかる一番の力になりますから、これも大いに訴えて躍進をはかりたいと思っております。
全国規模での野党共闘のためには、中央段階での政党間の真剣な協議が必要
島田 「国民連合政府」の樹立構想、これは掲げていくとしてもですね、当面のこの参議院選挙での1人区を中心とした候補者の一本化、野党候補者の一本化、このためには、ちょっとそれを棚上げにしておいて、実際問題の選挙区情勢の中で判断していくという、そのようなこともあり得ますでしょうか。志位 私たちは、さきほど言ったように、この政権の必要性ということを確信しておりますが、この問題はよく話し合っていきたい。
そして今、この問題で、たいへんにうれしい動きとして、たとえば熊本で、市民団体のみなさんが、安保法廃止で野党は統一候補を擁立してほしいと要請した。それに応えて、県内の野党5党が相談して、統一候補擁立にいたりました。こういう筋の通った野党共闘を広げていくために力をつくしたい。
ただ、全国的な規模で、1人区での野党共闘を実現しようとしたら、これは中央段階で、政党と政党が真剣な協議をやって、しっかりした合意をつくることが必要です。それをやっていきたいと思っております。
国会開会式への出席の理由は?
憲法の厳格な実施の立場で形式・内容を検討―出席しつつ民主的改革を求めていく
島田 志位さん、今回の国会の開会式のときに、これまでは天皇陛下のご臨席などを理由に欠席を続けてきた開会式の出席という、共産党にとっては大きな転換がありました。69年ぶりですよね。これはやはり、共産党として、従来の方針であっても見直すことには柔軟でありたいということをアピールしたいという狙いですか。志位 いや、そういう(柔軟さのアピールという)狙いというよりも、私たちはこの問題では、現行憲法の原則と条項の厳格な実施という立場から、この間も、開会式の民主的改革を求めてきました。
開会式については二つ問題があったんですね。一つは、形式の問題で、戦前の大日本帝国憲法のときの形式がそのまま踏襲されている。もう一つは、内容の問題で、以前は天皇のいわゆる「お言葉」の中に、国政に関する政治的発言が含まれていた。
二つの問題があったんですが、後者については、この三十数年来、(憲法上の)問題がなくなってきた。そういうもとで、今後は出席して民主的改革を求めていくということにしました。
安倍首相が狙う憲法改定にどうのぞむか?
危険きわまる「緊急事態条項」―「戒厳令」「独裁政治」への明文改憲を許さない
島田 最後は憲法改正について聞きます。安倍総理は“憲法改正を訴えていきます”と、もうはっきり言っています。参議院選挙での憲法改正の争点化をはかっているというふうにも見えるのですけれども、志位さん、共産党はどうのぞみますか。志位 総理が、「緊急事態条項」の新設ということを改憲のテーマにするということをおっしゃったことは、きわめて重大で危険だと思っております。それはたんに憲法9条改定への突破口にするというだけではなくて、「緊急事態条項」そのものがたいへんに危険だと(思います)。
自民党の「改憲草案」を見ますと、こう書いてある。
“内閣総理大臣は、緊急事態の宣言をする。そのさいには、国会の議決を経なくても内閣の判断で法律と同一の効力を有する政令を制定することができ、地方自治体への指示ができ、国民の基本的人権の制限ができる”。
これは「戒厳令」、「独裁政治」への道ですから、こういう明文改憲は絶対に許さないという立場でのぞみたいと思っております。
島田 そこが最大のポイントですね。
志位 そうです。
中川 ありがとうございました。
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