主張
北朝鮮核実験強行
「核保有国」誇示は世界に背く
北朝鮮北東部で6日午前、人工的な地震があったことが観測され、北朝鮮政府は同日昼の「特別重大報道」で核実験を行ったと発表しました。核兵器廃絶を切望する内外の世論を踏みにじった核実験強行に厳しく抗議を表明します。
北朝鮮が核実験を強行したのは、2006年、09年、13年に続いて今回が4回目です。北朝鮮は度重なる核実験の強行で、「強大な核保有国になった」との発言を繰り返しています。核実験による「核保有国」の誇示は、北朝鮮の国際的な孤立にしかなりません。国際社会は一致した対応を強め、北朝鮮に核兵器の放棄を迫るべきです。
「水爆実験」を自称して
北朝鮮政府の発表は今回の核実験について、北朝鮮初の「水素爆弾」の実験だったとしています。金正恩(キムジョンウン)・北朝鮮労働党第1書記は昨年12月、「自衛の核爆弾、水素爆弾の巨大な爆音を響かせることができる強大な核保有国になることができた」と発言しており、金第1書記の誕生日とされる8日を前に、それを示した形です。
北朝鮮がこれまで3回行った核実験はいずれもウランやプルトニウムを核分裂させる原爆の実験だったとされ、北朝鮮が今回核融合による水爆実験に成功したかどうかは不明です。もちろん原爆や水爆を開発したといっても、それを小型化し運搬して兵器として使えるようにするのとは別で、「核保有国」になったなどという北朝鮮の宣伝に過剰な反応は禁物です。しかし北朝鮮が原爆より破壊力が大きい水爆の開発を進めているとなれば、国際世論に逆らう点でその責任はいっそう重大です。
国際社会はこれまで、北朝鮮が核実験を企てるたびごとに厳しく中止を求めるとともに、国際社会の制止を無視した核実験がくりかえされたことを厳しく批判してきました。北朝鮮に核兵器の開発放棄を求めた度重なる国連安保理決議や、北朝鮮自身が韓国と取り結んだ「朝鮮半島の非核化に関する共同宣言」(1992年)、アメリカや韓国、ロシア、中国などとの「6カ国協議共同声明」(2005年)、さらに日本自身との「日朝平壌宣言」(02年)などに照らしても、国際的な合意に反する核実験強行が北朝鮮に国際的孤立しかもたらさないのは明らかです。
国際社会ではいま、核兵器の非人道性を直視し、核兵器の廃絶を求める国際世論が新たな高まりを見せています。昨年秋の国連総会では、「核兵器の禁止と廃絶のための人道の誓い」や「核兵器のない世界への道徳的責務」「核兵器の人道的な結果」などの決議が圧倒的多数で決議されました。核廃絶への世論が高まるこうした世界で北朝鮮が核実験を繰り返し、「核保有国」であることを誇示しようとするのは、文字通り歴史への逆行であり、絶対に許されることではありません。
国際社会の一致した対応
国際社会は北朝鮮が核兵器の開発計画を放棄するよう、いっそう粘り強く、一致した対応を強めるべきです。北朝鮮が「核保有国」になったと騒ぎたて、軍事でことを構える対応では、地域の平和も核兵器のない世界も実現しません。
実効ある措置によって北朝鮮を対話による解決のテーブルに着かせることこそ、北朝鮮に核兵器を放棄させ、核実験をやめさせる唯一の確実な道です。
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