主張
予算案の閣議決定
軍拡・財界優先が異常すぎる
いったい誰のための国の予算なのか。安倍晋三内閣が閣議決定した2016年度政府予算案の中身を読んで、あらためて怒りがこみ上げます。軍事費は4年連続で増加させ過去最大の5兆円を突破する一方、社会保障費の伸びは無理やり削って約5000億円増にまで抑え込みました。大企業が優遇される法人税減税も前倒しで実施します。消費税増税で国民にさんざん負担増を強いておきながら、国民の暮らしを立て直す予算になっていません。税金の使い方を根本的に間違っている安倍政権の予算案を認めることはできません。
財政のゆがみを拡大させ
16年度予算案は、安倍首相が政権復帰して4度目、消費税を8%に引き上げてから3度目の予算編成です。予算規模は過去最大の96兆7218億円に達しましたが、国民の暮らしを支える社会保障、文教、中小企業などの分野は抑制・削減しました。
その最大の標的になったのが社会保障費です。高齢者人口の増加や医療技術の進歩などにより、日本の社会保障費は年1兆円程度「自然増」するといわれるなか、安倍政権はその半分の約5000億円の伸びしか認めませんでした。
なかでも大きく削られたのは、安全・安心の医療を国民に提供するために必要な診療報酬です。「医療崩壊を引き起こす」という医療関係者の反対・警告に逆らって、前回14年度改定に続き2回連続で診療報酬の引き下げを決めたことは、国民の暮らしと健康に深刻な影響を与えるもので重大です。
これに対して軍事費は、第2次安倍政権発足後4年連続で増加しただけでなく、16年度初めて5兆円を突破しました。他の予算が「財政健全化」計画の名の下で、もっぱら削減・抑制されているのに、軍事費の「聖域」扱いは異常というほかありません。
今年9月、安倍政権は国民のわきあがる反対世論を無視して、日本がアメリカの戦争に参加できる戦争法を強行しました。その後の最初の予算編成で、軍事費を増大させ集団的自衛権の行使に向けた装備を次々購入する姿勢は、国民の平和への願いにも反します。
「社会保障のため」といって消費税増税を国民に押し付けながら、予算編成のたびに社会保障費が削減の焦点になること自体、国民は納得できません。政府は16年度に消費税による収入を17兆2000億円弱と見込んでいます。法人税収の約1・4倍です。大もうけしている大企業には法人の実効税率を32・11%から29・97%まで前倒しで引き下げる大盤振る舞いです。
庶民を苦しめながら、財界・大企業を優遇する―。歳入面でも歳出面でも、ここまでゆがんだ構造をつくり、その財政のゆがみをさらに拡大させる安倍政権に日本経済のかじ取りを任せられないことは明らかです。
安倍政治の転換こそ急務
大企業がもうかれば経済がよくなるという「アベノミクス」はもはや通用しません。「1億総活躍社会」とか「新・3本の矢」などのスローガンばかりで「アベノミクス」の焼き直しの政策では、国民の暮らしの立て直しはできません。社会保障拡充など国民の暮らしをあたため消費を拡大する経済への転換が急がれます。消費税に頼らずに社会保障財源を確保する道へすすむことこそ必要です。
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