主張
最高裁判決
選択的別姓の実現へいまこそ
「いい判決が出たら結婚しようと話し合っていたのに」「自分は同姓、でも選択できる道は必要」
民法(家族法)の夫婦同姓の強制の規定が、憲法13条(個人の尊重)、14条(法の下の平等)、24条(両性の平等)に違反するかどうかが問われた最高裁判所大法廷の判決(16日)で、合憲とされたことに怒りと驚きの声が起こりました。
判断に批判の声上がる
歴代政権が、1996年の法務省法制審議会による民法改正答申後も、法改正を棚上げし続けるなか、原告たちはやむにやまれぬ思いで裁判に訴えました。長年にわたり民法改正を求めてきた多くの女性や学術関係者なども応援し、司法の見識を期待していた裁判でした。若い世代も自らの将来の選択と重ねて注目していました。
しかし、判決は、「氏(姓)の変更を強制されない自由」は「憲法上の権利として保障される人格権の一内容」とはいえない、どちらの姓にするかは合意にゆだねており「形式的な不平等が存在するわけではない」「家族の呼称を一つに定めることには合理性」があるなどとして、訴えを退けました。「別姓」は、「家族の呼称の廃止」「家族の一体感を損なう」とする特定の家族観にたったものであり、容認できません。
判決は、そのうえで、改姓によるアイデンティティーの喪失感や社会的信用などの維持が困難になるなどの不利益は主に“女性が受ける”ことを認めつつ、通称使用で一定緩和されるなどとしました。しかし通称使用では解決しません。
この判決に、“古色蒼然(そうぜん)で残念。(裁判官の)多数意見は平等概念を形式的にとらえている。通称使用で緩和されるというが、そうせざるを得ない実質的不平等を踏まえて判断すべきだった”(林陽子国連女性差別撤廃委員会委員長・弁護士)などの批判が上がっているのは当然です。
一方、判決は、選択的夫婦別姓を「合理性がないと断ずるものではない」とものべ、この種の制度のあり方は「国会で論じられ、判断されるべき事柄」として国会での議論にゆだねました。
本来、最高裁判決を待つまでもなく、政府は、民法改正をすすめるべきものだったのです。判決後いち早くおきている「政府・国会は国会審議と一日も早い改正を」の声にこたえるべきです。
同じ16日、最高裁大法廷で出された、女性だけに課せられた離婚後6カ月の再婚禁止期間についての判決が、100日超の期間を違憲としたことは一歩前進です。しかし、女性のみの再婚禁止期間は、国連女性差別撤廃条約にてらせば女性への差別であり廃止の判断がされるべきでした。
原告たちも、男女平等と民主主義の前進を願い粘り強くたたかい続けてきた女性たちも「新たなスタート地点にたった」「国会にむけた行動や国際社会にも働きかけて運動を大きく」と、いっそうたたかいを広げる決意をしています。
国会内外で力合わせ
日本共産党は、憲法のあらゆる条項の徹底をはかり、日本の民主的前進をめざす党として、民法改正をその重要な課題と位置づけ、これまでも野党共同で国会に改正案を14回提出してきました。今後、民法改正の実現のために、国会の内外でともにさらに力をつくします。
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