数のごまかし
「50万人分」といっても、すでにある38万人分の計画に12万人分を上積みしただけです。特別養護老人ホームの待機者は52万人にのぼります。4月から入所者は要介護3以上に限定され、要介護1~2の18万人が入所できなくなりました。それでも待機者は34万人もいます。計画は待機者の解消に遠く及びません。
施策の対象としたのは、34万人のうち自宅待機者15万人だけです。
その上、上積みした12万人分のうち2万人分は、介護施設ではない「サービス付き高齢者住宅」です。残る10万人分も在宅サービスも含めた計画で、ごまかしだらけです。
介護離職10万人については、「介護サービスが利用できず離職した人」1・5万人だけを在宅・施設サービスの対象としています。「自分の希望などによる離職」や「やむを得ず離職」の8・5万人には、「相談・支援」「柔軟な働き方」などで対応するとしています。離職者「ゼロ」もごまかしです。
低賃金も放置
東京都内の介護職員の有効求人倍率は10・5倍まで急増するなど、介護の現場は深刻な人手不足です。厚労省自身、2025年度に37・7万人が不足すると推計しています。全産業平均より約10万円低い介護職員の平均賃金の引き上げは急務です。
しかし、安倍政権は「離職者再就職支援」や「介護ロボットの活用による負担軽減」などを掲げるだけで、処遇改善はありません。これでは施設を増設しても職員が確保できないなど矛盾に陥るだけです。
安倍政権は4月から、介護保険から事業所に支払われる介護報酬について実質マイナス4・48%と過去最大規模の削減を行いました。そのため、事業所の休止・廃業が急増しています。
利用者にとっても、特養の入所制限、2割負担の導入、施設入所の補助の縮小など負担増が相次ぎ、施設からの“追い出し”が進められています。さらに「骨太方針」では、2割負担の対象拡大、生活援助サービスの見直しなどいっそうのサービス削減が検討されています。
「介護離職ゼロ」をいうのなら、介護報酬の大幅な引き上げや利用者の負担軽減、骨太方針の中止・撤回こそ求められています。
(鎌塚由美)
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