戦争法とは何か
戦争法とは何でしょうか。一言で言えば、日本が海外で戦争する=武力行使をするための法律です。「戦闘地域に行かない」「武器使用は正当防衛だけ」といった従来の海外派兵法の歯止めを外し、地球上のどこでも米軍の戦争に参戦し、自衛隊が武力行使する仕掛けが何重にも施されています。
1945年以来の世界の紛争犠牲者は数千万人にのぼり、第2次世界大戦に匹敵すると言われます。その中で自衛隊は54年の創設以来、1発の弾も撃たず、1人も戦死せず、1人の外国人も殺してきませんでした。憲法9条があったからです。その9条を破壊し、日本を「海外で殺し、殺される国」に変えるのが戦争法なのです。
子どもたち戦場に
「だれの子どももころさせない」―。全国に広がる「安保関連法に反対するママの会」のスローガンです。戦争法の具体化で、真っ先に戦地に行くのは若い自衛隊員です。放置すれば、現在の子どもたちがおとなになるころ、海外での戦闘態勢はすっかり整ってしまいます。
自衛隊員が死傷するだけではありません。紛争の犠牲者の9割以上は、女性や子どもを含む民間人です。罪のない人々に銃口を向け、憎しみの連鎖を生み出してしまいます。
侵略戦争を禁じた憲法解釈を1990年に変え、2002年からアフガニスタンに派兵したドイツは55人の戦死者を出し、多くの民間人を殺傷しました。11年2月、21歳の兵士が戦死しました。彼は、憲法解釈を変更した90年前後の生まれです。
日本は、子どもたちの未来を左右する、戦後最大の岐路に立っています。
戦争でテロなくせぬ
さらに、テロが世界に拡散する中、戦争法廃止は全ての国民にとって、差し迫った課題になっています。130人もの犠牲者が出たパリ同時多発テロ(13日)をはじめ、過激組織ISによるテロの脅威は国境を超えつつあります。
どんな理由であれ、罪のない人々を無差別に殺すテロは許せません。同時に、戦争でテロはなくせない、というのが、米国同時多発テロ以降の14年間の教訓です。
ISは、03年に始まったイラク侵略戦争と11年からのシリア内戦の混乱で生まれ、勢力を拡大してきました。イラク戦争の当事者であるブレア元英首相は「イラク戦争がISの台頭につながった」(10月26日、米CNN)と認めています。過去の教訓に照らすなら、ISへの空爆強化は混乱に拍車をかけ、悪循環を広げるのは必至です。
戦争法とのかかわりで言えば、同法によってISに空爆を行う米軍などへの兵たん支援が可能になったことが重大です。
安倍晋三首相は「軍事的な支援は考えていない」と言います。しかし、「要件を満たせば、法理論としては適用されることはありうる」(6月5日、参院安保法制特別委員会)と答えました。これでは、日本が米国から空爆支援を要請されたら、「法律がない」と言って拒否することはできません。
兵たん支援で言えば、ドイツが1200人規模の派兵を計画しています。安倍政権がいつ名乗り出てもおかしくありません。
8割「テロ可能性」
共同通信の最新の世論調査によれば、約8割が国内で大規模テロの可能性があると答えています。日本はすでに、米国主導の対IS有志連合に名を連ねており、ISは日本を攻撃対象として名指ししています。その上、戦争法で軍事支援を行えば、国民がテロにさらされる危険はいっそう高まります。 (竹下岳)
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