「しんぶん赤旗」

TPP合意内容/農業・地域の切り捨て許せぬ

2015/10/19 10:47 投稿

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主張

TPP合意内容

農業・地域の切り捨て許せぬ

 安倍晋三政権がアメリカなどと「大筋合意」したとする環太平洋連携協定(TPP)に対し、国民の中から不安と批判が広がっています。とりわけ焦点となった農林水産物の分野で安倍政権が大幅に譲歩し、国会決議に違反し、国益を踏みにじったことがいよいよ明らかになっているからです。

 TPPは、交渉中は協定の内容を一切明らかにせず、「大筋合意」したあと明らかにし始めていますが、それも小出しです。全容を公開させるとともに、協定書の作成作業から日本政府を撤退させ、調印を中止することが急務です。

国会決議に明確に違反

 安倍政権が5日、TPP交渉での「大筋合意」を発表した際、農林水産省がまず公表したのがコメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源の重要5項目を中心にした「TPP農林水産物アクセス交渉の結果」の文書です。国会決議で「引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とする」としてきたものです。

 農水省はその中で、各項目とも現行の輸入制度を基本的に維持したといいますが、輸入枠を大幅に増やし、関税は引き下げます。たとえばコメは、アメリカとオーストラリアに当初は5・6万トン、13年目以降は7・84万トンの特別の輸入枠を提供します。麦や甘味資源もTPP輸入枠を設けます。牛肉は現在38・5%の関税を16年目以降は9%になるまで大幅に下げ、輸入急増の際のセーフガードも4年間発動が無ければ廃止します。

 安倍政権は関税撤廃がなかったことから、「国民との約束は守られた」といいますが、農業をアメリカなど輸出大国に明け渡したことは明らかです。特別枠まで設けたコメの輸入拡大は、米価の暴落が生産者の経営を破たんさせているもとで、さらなる下落や過剰の深刻化をもたらします。交渉中はコメの特別輸入枠設定や牛肉の関税引き下げなどの報道を否定しながら秘密裏に大幅譲歩していたのは、安倍政権による国民裏切りです。

 農水省は8日には「農林水産分野の大筋合意の概要(追加資料)」なるものを明らかにしました。重要5項目以外の合意内容を明らかにしたものですが、これまでに関税を撤廃したことがない農林水産品834品目の半分以上の関税を、即時にあるいは一定の期間で撤廃するという驚くべき内容です。対象品目には、小豆、落花生、コンニャクなどの畑作物、リンゴ、サクランボ、ブドウなどの果実、鶏卵・鶏肉などの畜産品、各種合板や建築用木工品などの林産物、ノリ、コンブ、アジ、サバ、ブリなどの水産物など、多岐にわたります。関係者が青天の霹(へき)靂(れき)というほど、農業と地域経済に大打撃を与えるものです。

いまこそ反対の声を広げ

 農水省はその後も、生鮮野菜について即時あるいは6年目に関税を撤廃することを明らかにしました。情報の小出しは秘密交渉の危険性を端的に示しています。

 農林水産物の関税撤廃や輸入拡大は、関連する人々の意欲を奪い農山漁村をいっそう衰退させずにおきません。政府の対策も大規模化や企業参入などで、多くの農家や地域農業は対象にしない内容になることが懸念されます。

 交渉全容を明らかにさせ、危険な内容を国民に知らせて協定調印を許さない、国民的運動の正念場です。

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