ところが13日のこの番組(戦争法案賛成・反対2人ずつの論者が討論)の前後に、とんでもない偏向・歪曲(わいきょく)の公式ツイッターが流れました。
偏向発言を公式に
まず開始直前、4人の出席者を紹介した後、「皆さんの意見はどの出演者にもっとも近いでしょうか。反対意見って理解しにくいのに、賛成意見はすごく頭に入やすい…(原文のまま)。両耳でしっかり聞くぞー」。
だれが読んでも、ツイートした職員は法案に賛成という立場で、「反対意見は理解しにくい」と断じていると思うのが自然です。
当然、このツイートには「担当広報の責任だけではない、NHKの基本スタンスが安倍広報になってる」などの抗議が寄せられました。
するとこの公式ツイッターは、3時間後に「自分の意見と違う人の話は耳に入りにくく、同じ意見だと理解しやすいと言う意味で書いたのですが、『賛成』『反対』という言葉を使ってしまったので、法案に『賛成』『反対』のように誤解された方もいたようです」と言いわけしました。
こういう時期に「賛成」「反対」がどういう意味を持つのかをまったく理解しなかったのか。担当者の「法案賛成」の心情、つまりNHKを支配している流れがもろにあらわれたといえるのではないでしょうか。
発言の意図を歪曲
「日曜討論」をめぐるNHK公式ツイッターの重大問題は、これにとどまりませんでした。放送終了後には、番組に法案反対の立場で出席した木村草太・首都大学東京准教授(憲法学)について、こうツイートしました。「反対代表としてご出席頂いた木村氏が採決について『機は熟している』と言い切ったのが印象的でした」
放送を見ていた人でなくとも、あれそんなはずは…と思うでしょう。
実際、番組で木村氏は「時機自体は私は熟しているというふうに思います」と言った上でこう続けています。
「この法案には違憲な部分がある」「少なくとも今国会で成立させるべきではないという意見は、どの世論調査でも大勢」「政府がまともに説明する気があるのか…それはなさそうだということがわかってきました」。最後に木村氏は明確に、「否決・廃案以外にはない、そういう判断ができる時期に来ている」と述べました。
この発言を、木村氏は採決を急ぐ意向だったり、法案に賛成であるかのようにいうツイート担当者―。いったいどういう感覚なのでしょうか。
もはや問題はNHK職員の日本語能力ではありません。安倍政権の顔色うかがいにとどまらず、政権追随・国策報道化への道を突き進むNHK首脳部の「本音」が、もはやツイート(つぶやき)の段階にとどまらず「公言」になっていることのあらわれといえないでしょうか。
(小寺松雄)
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