日本側が出したとされる譲歩案は、牛豚肉関税の段階的引き下げなどに加えて、コメについては米国から7万トンを上限に輸入するというもの。米価暴落の中で必死の努力をしている生産現場から「政府は毎年8万トンもコメが余るといってきたのに、何を考えているのか」という怒りが渦巻いています。
紙氏は、甘利明TPP担当相が7月21日の記者会見で「5万トン」の主張をしたことを認めたことを示し、「重要品目について除外または再協議をうたった衆参両院農林水産委員会の決議に照らして、大変な問題であり、食料自給率の引き上げという国益にも反するものだ」とただしました。
安倍晋三首相は「国会決議を踏まえ国益にかなう道を得るべく交渉を進める」と答える一方、甘利担当相は「最終的には国会で決めてもらう」と述べ、事実上、国益に反するコメ輸入を容認する考えを示しました。
紙氏は「大筋合意」ができなかった象徴的な出来事として、医薬品の特許保護期間をめぐる対立を取り上げました。交渉参加国のなかで「日米の強引さ」を批判する声があがっていることにも触れ、「大筋合意」に至らなかったのは、「各国民は多国籍企業の利益を優先するTPP交渉に批判を強め、矛盾を広げたからだ」と指摘しました。
紙氏はさらに、議会の承認手続きや大統領選挙の日程から、米国では審議の行く先に困難があると指摘。漂流は必至とみられるなかでも、甘利担当相が「8月末にも次回会合を持つ」と言明し、あくまで妥結を急ぐ政府の前のめり姿勢を厳しく批判。交渉からの撤退を求めました。
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