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取り組みを始めている大学のうち約8割は、政府・与党が戦争法案を衆院特別委員会で強行した15日以降に声明を発表しています。川島堅二学長も名を連ねた恵泉女学園大学(東京)の声明に「時の政権が解釈のみで憲法を空洞化することは、立憲主義への明白な挑戦であり、戦後民主主義をも根底から破壊するもの」とあるように大学人のあらたな怒りを呼び起こした形です。
早稲田大学では「安全保障関連法案の廃案を求める早稲田大学有志の会」が、5人の教員を発起人として20日に声明を発表。65人の教員・元教員が呼びかけ人となり、在学生からOBまで2226人(20~29日)の賛同者になりました。
呼びかけ人の一人、大日方(おびなた)純夫教授(日本近代史)は「急激に広がったのは、法案に反対の人が潜在的にいたからだと思います。教員からの声明が一つのきっかけになってそれが顕在化し意思表示になったのでしょう」といいます。
京都大学でも、「自由と平和のための京大有志の会」の「声明文」に1948人(9~28日)が賛同しています。
学生が軸の運動が大学人に力与える
学生を軸に学内集会を開いたことが大学人の“民主主義を守れ”のパワーをさらに広げています。「安保法案を考える獨協大学有志の会」は28日、大学内(埼玉県)で学生有志と共催で「安全保障法案を考える集い」を開きました。約120人の参加者のうち70人以上が学生でした。集いでは、SEALDs(シールズ=自由と民主主義のための学生緊急行動)に参加する学生も含めて4人の学生が登壇。その一人、「半年前までほとんど新聞を読んでいなかった」という女子学生(4年生)は、「運動に参加するきっかけは、大学の授業で先生から社会問題の質問を受けたとき、何も答えられなかったこと。もう一つは、シールズの人たちと話す機会を得たことです」と言います。
声明の呼びかけ人の一人で外国語学部准教授(美術史)の青山愛香さんは、「学生たちがシールズに関心を持ち、デモにも参加している。私自身がこの大学で何かしないといけないと教えられました」と語ります。そして、集いを開くことになったのは「学内で今回の法案について、学生同士が話題にしにくいのではないかと思いました。教員の考えを知ってもらい、悩んでいる学生をはげましたい」と語ります。 (若林明)
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