参院安保特委
「対テロ戦争の現場では兵站(へいたん)ほど狙われやすい。これが実態だ」―。日本共産党の小池晃議員は29日の参院安保法制特別委員会で、兵站がテロの格好の標的となったアフガニスタン戦争やイラク戦争の実態を突きつけて、これまでの歯止めを外して「戦闘地域」での兵站(後方支援)を行う戦争法案の危険性を浮き彫りにしました。アフガン、イラクでの補給任務中の死傷者は、2003~07米会計年度の5年間、米陸軍だけで3046人に達しています。小池氏は、07年度に行われた米陸軍の補給任務のうち、燃料の輸送は24回に1人、水の輸送は29回に1人の割合で死傷者が出ていることを指摘。「戦場での燃料・水の補給は命がけ」と書いた米陸軍環境政策研究所のレポートを示し、「兵站がどれほど危険か認識しているのか」とただしました。
安倍晋三首相は「戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を実施区域に指定した上で(自衛隊は)後方支援を行う」と答弁しました。しかし、小池氏が「法律にはそんなことは一言も書いていない」とただすと、中谷元・防衛相は「法案の記述はない」と認めました。
小池氏は「法案にないことを、あるかのように発言する態度が国民の不信を招いている」と厳しく批判。さらに、アフガンでは、米軍以外の軍隊の犠牲者の6割から8割が道路に仕掛けられたIED(即席爆発装置)によって死亡したことを示し、「『戦闘現場』でなくても、突然の爆発で吹き飛ばされる。一瞬にして戦闘現場になるような対テロ戦争での兵站で『安全な場所で行うから大丈夫』などという議論が成り立つはずがない」とただしました。
首相は「諸外国には犠牲者が出ているが、わが国は(イラクのサマワで)一人の犠牲者も出ていない」などと主張しました。小池氏は「(従来禁止されていた)『戦闘地域』にまで活動範囲を拡大しようとしているのが今回の法案だ」と批判。憲法違反の戦争法案は廃案にするよう主張しました。
米軍の対潜作戦支援
防衛相認める 小池氏、海自文書を暴露
米軍ヘリが海自ヘリ空母の艦上で給油を受けながら対潜水艦作戦を行う―。海上自衛隊が戦争法案による米軍等への支援活動の拡大を前提に、このような事例を想定していたことが判明しました。日本共産党の小池晃議員が、海自幹部学校作戦法規研究室が作成した部内向け説明資料「平和安全法制案について」(6月)を独自に入手し、29日の参院安保法制特別委員会で明らかにしました。中谷元・防衛相は当初、同資料について「(防衛省が)公表した資料ではない」と確認を拒否したものの、小池氏の追及を受け、「対潜水艦作戦における後方支援の一つをイメージとして表したもの」と認めました。
資料では、重要影響事態法と国際平和支援法(海外派兵恒久法)の2法案の「実際の運用を踏まえたイメージ」として、米軍の対潜哨戒ヘリが敵潜水艦の探知・攻撃を行い、敵潜水艦の魚雷の射程外では海自のヘリ空母(DDH)が米軍ヘリに燃料補給で支援する図が描かれています。(上図)
戦争法案でこのような共同作戦が可能になるかとの小池氏の質問に、防衛相は「魚雷等の攻撃を受けない安全な場所で活動を行う」と認めました。
小池氏は、国会に一度も示されたことがない事例が自衛隊内で先取りで説明されていることについて「重大問題だ」と批判し、陸自、空自の資料とあわせて国会に提出するよう要求しました。
さらに小池氏は、給油を受けた米軍ヘリが海自艦上から再び攻撃へ飛び立つことも可能かと追及。防衛相は「戦闘現場」以外での実施を否定しませんでした。
小池氏は「世界中の誰が見ても、米軍と一緒に戦争をやっているとしかみえない。明白な憲法違反だ」と断じました。
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