入手したのは、陸上自衛隊幕僚監部が監修した最新版「陸自教範 兵站」(2011年1月)です。兵站の役割について「作戦上必要とする物的資源などを確保し、適時適所に必要とする部隊などに提供するとともに、これを適切に管理して作戦・戦闘の基盤と可能性を付与する」と定義しています。
「教範」は、「陣地攻撃」での兵站運用について、「戦闘の終始を通じて衝撃力を維持・増進することを主眼とする」としたうえで、こう力説しています。「攻撃の構想に基づき、主攻撃正面に支援努力を集中できるように計画・準備する」「攻撃開始以降は、主攻撃を重視して継続的な補給支援、整備支援を行い、間断なく部隊の戦闘力を維持・増進する」。まさに武力行使との一体化そのものです。
同時に兵站は「安全な場所」で行うものではないことも明示しています。「兵站部隊はできるかぎり前方で、主攻撃の支援に便利なように配置するとともに、攻撃の進展に応じて、更に前方に推進し、あるいはその一部を第一線部隊に配属する」
兵站について米海兵隊教科書は、「武力行使と一体不可分」と記述しています。「陸自教範」も同様の判断から、詳細に活動内容をあげているのです。
「後方支援」―兵站は、政権与党が弁明するように「戦闘行為のない場所」「リスクの少ない」範囲内で行い、危険が迫れば簡単に撤収できるようなものではないことを、陸自の「教範」自身がはっきりと示しているのです。
戦場では米軍戦闘部隊の作戦が最優先され、戦闘力を最高度に発揮させるための危険な補給・輸送が自衛隊に求められることになります。
「教範」 陸・海・空自衛隊の行動、教育訓練を適切、有効に実施するための「教科書」。部隊の指揮運用、隊員の動作などについて詳細に示しています。
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