主張
違憲の「戦争法案」
会期大幅延長でも成立許さず
違憲の「戦争法案」は会期延長でも成立強行を許さない―通常国会の会期が戦後最長の95日間延長されることが自民、公明の与党で強行決定された22日、国会には会期延長と「戦争法案」に反対する市民が詰めかけました。異例な大幅会期延長は「戦争法案」成立への安倍晋三政権の異常な執念を示すものです。反対の世論は沸騰しています。会期内の審議でも「戦争法案」が憲法違反の法案であることが明白になっています。会期内で成立させられなかったこと自体、安倍政権が追い詰められていることを示すものです。会期延長による成立強行は許されません。
会期制の原則踏みにじる
もともと通常国会の会期は150日間と決まっています。国会の会期内に審議がつくされず成立しなかった法案は廃案にするというのが「会期不継続」の原則です。なにが何でも今国会で成立させると、3カ月以上も大幅に会期を延長するなどというのは会期制の原則を乱暴に踏みにじるものです。
当初の予想を上回る95日間もの延長幅になったのは、7月末までに「戦争法案」を衆院通過させれば参院で可決されなくても60日後には否決されたものとみなして衆院で3分の2以上の賛成で再可決、成立させることができる「60日ルール」を見越してのことだといわれます。文字通り国会審議を形骸化し、踏みにじるものというしかありません。
これまでの戦闘地域に派兵しないという口実さえ投げ捨てて、文字通り武力の行使と一体化するアメリカなどの戦争への自衛隊の「後方支援」を認め、集団的自衛権は行使できないという憲法解釈を乱暴に変更して行使を認める「戦争法案」が違憲の法案であることは明らかです。国会では衆院憲法審査会で自民党推薦を含む3人の憲法学者がそろって「違憲」と指摘したのに続き、「戦争法案」を審議する衆院特別委員会に参考人として出席した2人の元内閣法制局長官も、「違憲、撤回を」「従来の憲法解釈の範囲内とは言えない」と指摘しました。違憲の法案の成立は許されず、「戦争法案」は会期を延長して成立させるどころかただちに廃案にすべきです。
衆院特別委員会での法案審議は、首相や閣僚がまともに質問に答えることができず、暴言ややじもあって中断を繰り返しています。審議の遅れは政府の責任です。安倍首相は戦闘地域での「後方支援」―国際的には「兵たん」が武力行使に道を開くと追及されても、「兵たんは安全な場所でやる」などとはぐらかすばかりでまともに答えません。集団的自衛権行使容認への憲法解釈の変更を「安全保障環境の変容」と説明しながら、なにがどう変わったのか追及されても答えられません。延長国会で強行する道理も大義もありません。
世論で廃案に追い込む
「戦争法案」反対の声は、憲法学者だけでなく、学者、法律家、弁護士、演劇人、労働者、女性、青年など広範に広がっています。マスメディアの世論調査でも、「反対」が58%(共同通信)、今国会で成立させる「必要がない」が65%(「朝日」)など圧倒的です。
大幅に会期が延長された国会でも、論戦での追及とともに、「戦争法案」を許さない国民の世論と運動で政権を包囲し追い詰めることが、法案阻止に重要です。
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