主張
「NPT会議」閉幕
流れは押しとどめられない
4月27日からニューヨークの国連本部で開かれていた第9回核不拡散条約(NPT)再検討会議は22日、米英などの反対により最終文書を採択できずに閉幕しました。
会議が示した新しい発展
会議は、「核兵器のない世界」を達成するため「必要な枠組みを確立」する努力を確認した前回会議の合意(2010年最終文書)を前進させるかどうかが焦点でした。
非同盟諸国は、核兵器を禁止・廃絶するための包括的な条約の交渉開始を提案し、多くの国が核兵器禁止条約を支持しました。核兵器廃絶のための法的措置や期限を区切って行動する提案もおこなわれました。核保有国の反対で削除されたとはいえ、核軍縮を担当する第1委員会議長の最終文書草案が、核兵器禁止条約などによる期限を切った核兵器の廃絶に初めて言及したのは、こうした議論を反映した重要な前進でした。
また、12年に16カ国で始まった、核兵器の非人道性を告発し、その使用禁止と廃絶を訴える声明が159カ国の賛同で発表されたことも重要でした。核兵器の残虐性を訴える声は被爆者の訴えともあいまって、再検討会議の議論の基調の一つとなったと言っても過言ではありません。オーストリア政府が主導した、核兵器を禁止する法的措置を求める「人道の誓い」への賛同は107カ国にまで広がりました。
こうした圧倒的多数の声が、核保有国を包囲し、追いつめる圧力となったことは事実です。米英は昨年、初めて核兵器の人道的影響に関する国際会議(ウィーン)に出席しましたが、これまでこの議論を拒否してきた仏の代表が再検討会議で「理解」を表明したのもそのあらわれです。
会議が文書を採択できなかったのは、NPT非加盟国であるイスラエルの意を受けて、米英などが中東の非核地帯化をめざす会議の開催に反対したからでした。しかし、より根本的には、核保有国と核兵器に依存する同盟国が、核兵器廃絶を正面にすえてとりくもうとする圧倒的多数の非核保有国の声に背をむけ、矛盾と対立を深めていたことがあります。核保有国と日本など同盟国への批判はまぬがれません。
最終文書という成果を残せませんでしたが、その議論は前回会議からも大きく発展し、情勢をきり開く流れを強めました。この流れは今後も、押しとどめることのできないものとして発展していくでしょう。
こうした変化をうみ出す重要な力の一つが、被爆者を先頭とする日本の反核平和運動でした。核兵器禁止条約の交渉を求めた「核兵器全面禁止のアピール」署名は630万を突破し、ニューヨークに結集した1000人をこえる日本原水協代表団は平和首長会議とともに、国連代表とNPT再検討会議議長に、この署名を提出しました。国連事務総長はこの署名を高く評価し、各国が「市民社会との連携を深める」ことを会議の場で訴えました。
被爆70年を転機に
NPT再検討会議にむけた運動は、被爆70年を核兵器廃絶の転機とすることをめざす今後の力となることは明らかです。戦争法案阻止の歴史的なたたかいとむすび、原水爆禁止運動が新たな共同を発展させ、国際的な責務を果たしていくことが求められます。