この「閣議決定」に基づく「戦争立法」づくりの動きに国民の反対は強まっています。
その中で、11日の自民・公明の与党協議会に提示された派兵恒久法案と関連法制改定の一括法案に付されたタイトルは「平和安全法制」です。
しかし、法案の中身は「平和安全」とは正反対です。アメリカの戦争に世界中で「切れ目なく」参加・支援するための法整備です。9条を法律で破壊する戦後最大最悪の「戦争立法」というのがその正体です。
戦地派兵
法案は、第一に米国がアフガン・イラク戦争のような戦争を始めた際に、自衛隊が従来の「戦闘地域」にまで行って軍事支援をするものになっています。戦闘の現場近くで行う「支援」では、いつ戦闘に巻き込まれるかわかりません。安倍首相はそのとき「武器を使う」と国会で答弁しています。自衛隊は「殺し、殺される」戦闘を行うのです。
イラク戦争やアフガン戦争のような米国主導の戦争で陸上作戦にも深く入り込んで活動することがどうして「平和安全」なのでしょうか。
また、発進準備中の戦闘機への給油や前線への弾薬提供など、米軍の「殺す」活動に対する直接支援を解禁します。
治安維持活動
第二に、PKO法(国際平和協力法)改定で、PKO(国連平和維持活動)とも異なる「安全確保活動」が位置づけられ、「警護」任務が創設されます。「安全確保活動」とは、テロやゲリラを想定した「治安維持活動」のことです。「警護」も、外敵による攻撃を想定し、それを実力で排除するものです。
建前上は「停戦合意」を前提にしていますが、実際には紛争への対応が中身で、対テロ、ゲリラ戦など、本来、当該国が行う「治安維持活動」を自衛隊が外国軍隊と共に担います。武器の使用基準が大幅に拡大し、任務遂行のための射撃が許されるので、攻撃があれば積極的に反撃します。
アフガニスタンで多国籍軍が参加したISAF(国際治安支援部隊)のような活動に自衛隊が参加することになります。ISAFでは3500人もの戦死者が出ています。
集団侵略
第三に、日本に対する武力攻撃がないのに他国への攻撃に武力反撃する集団的自衛権の行使が、武力攻撃事態対処法や自衛隊法などに根拠付けられます。政府・与党は、「我(わ)が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」(「存立危機事態」)に集団的自衛権を発動するので「限定的」などとしていますが、それを判断するのは時の政権の一存。「限定」どころか無限定な海外での武力行使となります。
問題はどんなときに行使されるかです。
集団的自衛権が行使された歴史的事例はほとんどが、大国による自分の「縄張り」への干渉戦争でした。アメリカはベトナムで、旧ソ連はアフガニスタンで、自分のいうことを聞かない政権ができそうになると、集団的自衛権を口実に侵略したのです。イラク戦争も、大量破壊兵器の「存在」を口実に、米国が一方的に仕掛けた侵略でした。
米国が先制攻撃の侵略を仕掛けたとき、日本は集団的自衛権を行使するのか―。国会での日本共産党の志位和夫委員長の追及に対し、安倍首相は「個別に判断する」というだけで否定していません。もしこんなことを許せば、日米共同の集団的侵略になります。歴史の実例に照らせば、こうした侵略の共同の危険がもっとも大きいのです。「平和安全」どころか、日本が無法国家として世界の平和を破壊することになります。
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