主張
戦争立法与党協議
「国会承認」で本質変わらない
「戦争立法」に関する自民・公明両党の与党協議が大筋合意に達し、来月中旬の国会提出に向けた法案化作業が加速しようとしています。「戦争立法」の狙いは、米国が海外で戦争に乗り出した際、どんな事態にも切れ目なく自衛隊を派兵し、米軍を支援できるようにすることです。与党協議の焦点とされた「例外のない国会の事前承認」が一部盛り込まれたとしても、こうした「戦争立法」の危険な本質はなんら変わりません。
「事態」乱立で派兵を拡大
「戦争立法」の特徴は、自衛隊が対応することになる「事態」の乱立です。新たに「重要影響事態」「国際平和共同対処事態」「存立危機事態」が設けられます。どれも名称だけではまったく意味が不明ですが、共通しているのは日本に対する武力攻撃が発生していない事態だということです。
「重要影響事態」とは「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」とされ、その際、自衛隊は米軍をはじめ他国軍に補給や輸送などの軍事支援を行います。
現行の「周辺事態法」は「日本周辺地域における日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」(周辺事態)での米軍支援を定めています。「戦争立法」では、同法を改定し、「周辺事態」から「日本周辺地域」の限定を取り払い、「重要影響事態」とします。支援対象も米軍以外に拡大します。
「国際平和共同対処事態」とは「国際社会の平和と安全を脅かす事態」で「国際社会」が「共同して対処する活動を行い」、日本が「これに主体的・積極的に寄与する必要があるもの」とされます。その際、米軍など他国軍に対する自衛隊の軍事支援を可能にするため、新たな海外派兵恒久法(国際平和支援法)を作ります。
「重要影響事態」「国際平和共同対処事態」とも、従来禁止されてきた「戦闘地域」での活動を可能にします。狙いは、米国のアフガニスタン報復戦争やイラク侵略戦争のような戦争で自衛隊を戦地派兵し、米軍中心の有志連合軍などを支援することです。
加えて、現行の国連平和維持活動(PKO)法を改定し、国連が統括しない「国際連携平和安全活動」を新たに盛り込み、アフガンやイラクでのような米軍主導の治安維持活動に参加の道を開こうとしていることも重大です。
「存立危機事態」とは「日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」とされ、日本が集団的自衛権を発動し、自ら武力行使する事態です。政府は、米国が先制攻撃の戦争を起こし、相手国から攻撃を受けた場合も発動対象として否定していません。
暴挙許さぬ声を突きつけ
これら事態のうち「例外のない国会の事前承認」が必要なのは「国際平和共同対処事態」だけで、この場合も衆参各院で「7日以内の議決」という努力義務規定が置かれます。それ以外は「緊急時の事後承認」が認められ、「国際連携平和安全活動」の「人道復興支援活動」などは国会承認も必要ありません。抜け道だらけで「歯止め」とは到底言えません。
「戦争立法」の法案提出という暴挙を許さない声を突きつけることがいよいよ重要です。
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