「存立危機事態」「重要影響事態」
政府は14日、自民、公明両党の協議会で、集団的自衛権行使容認の法制化を中心とした「戦争立法」の全体像を正式に提示しました。政府・与党は週2回のペースで協議会を開いて、月内に法案の細部を詰め、関連法案を5月中旬に国会提出する方針です。
集団的自衛権の関連では、これを行使できる事態を「存立危機事態」と名づけ、既存の法律に書き込むことが柱となっています。
新法として、いつでもどこでも自衛隊による他国軍支援を可能にする「国際平和支援法」(派兵恒久法)を提示しました。これまでの周辺事態法にあった「日本周辺」との地理的制約をなくして、「重要影響事態法」へ衣替えします。
これにより、戦争中の他国軍を地球規模で支援する二つの法制が並立することになります。2法制では支援内容も大幅に拡大。アフガン戦争やイラク戦争への派兵特措法で禁止されてきた戦地での後方支援を可能にすることに加え、弾薬提供、発進準備中の戦闘機への給油・整備、武器輸送も可能になります。
国連平和維持活動(PKO)法については、国連統括下にないPKO以外の軍事活動への参加を解禁。アフガニスタンで武装勢力との交戦も行ってきた国際治安支援部隊(ISAF)のような活動の参加に道を開きます。交戦中の他国部隊を防護する「駆けつけ警護」や、治安維持のための駐留・巡回など従来の「自己防護」を超えた武器使用の権限が与えられます。海外で1発の銃弾も撃ってこなかった自衛隊のあり方が根本的に転換します。
後方支援の2法制では、任務遂行型の武器使用権限を設けない一方、宿営地を防護する「諸外国の軍隊等の要員と共同して武器使用できる」権限を新設します。海外拠点・宿営地での自衛隊と米軍などの一体の活動を前提としたものです。
安倍政権は、これら「戦争立法」の細部を28日の日米首脳会談、27日の日米外交、軍事閣僚会合(2プラス2)までに固め、対米公約する狙いです。残るいっせい地方選(26日投開票)と後半の国会論戦の最大焦点となります。