主張
日米「指針」再改定
世界規模の参戦に道開くのか
来日したカーター米国防長官が、安倍晋三首相や中谷元・防衛相らと会談し、「日米軍事協力の指針(ガイドライン)」再改定の「意義」を繰り返し強調しました。一連の会談で改めて明らかになったのは、ガイドライン再改定が安倍・自公政権による「戦争立法」の法案化作業と一体であり、米軍が世界規模で乗り出す戦争に自衛隊が参戦する道を開く危険な狙いを持っていることです。
「同盟を一変させる」
ガイドラインは米軍と自衛隊の軍事協力の具体的な役割分担を定めた文書で、1978年に初めて策定され、97年に一度改定されています。日米両政府は今月27日にも外交・軍事担当閣僚の会合(2プラス2)を開き、再改定を行おうとしています。
カーター国防長官は安倍首相との会談で「新ガイドラインは、歴史的な日米同盟に新たな機会を与え、地域と世界の平和と安定を保障する」と述べました。首相との会談に先立つ中谷防衛相との共同記者会見では「新ガイドラインは日米同盟を一変させ、米軍と自衛隊が切れ目なく協力する機会を拡大する」とし、「アジア太平洋、世界中でわれわれが直面するあらゆる挑戦に柔軟に対応できるようになる」と強調しました。
再改定されるガイドラインは、どんな事態にも「切れ目」なく、地理的にもアジア太平洋地域にとどまらず「世界中」で、米軍と自衛隊が行う軍事協力を詳しく取り決めることになります。
中谷防衛相は共同会見で「ガイドラインの見直しと安全保障法制の整備との整合性を確保する」と語り、5月の連休明けにも法案提出を狙う「戦争立法」の内容をガイドライン再改定に反映させることを改めて明らかにしました。
「戦争立法」では、「国際社会の平和と安定」を口実に、米軍が世界のどこであれ戦争に乗り出した際、自衛隊がこれまでは活動が禁止されてきた「戦闘地域」にまで出動し、軍事支援することを可能にする「海外派兵恒久法」を制定しようとしています。「日本周辺地域における日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」での日米軍事協力を定めた「周辺事態法」も改定し、「日本周辺」の規定をなくします。
自衛隊をどんな事態でも「世界中」の「戦地」に派兵し米軍支援を行うというものです。こうした危険な軍事協力について安倍政権が国会審議も経ず、ガイドライン再改定によって米国に約束しようとしていることは重大です。
カーター国防長官が共同会見で「集団的自衛権を含む日本の安全保障法制」に言及しつつ、「地域の平和と安定への貢献にいっそう積極的な役割を果たそうとしている日本の努力を歓迎し、支援する」と述べたことも看過できません。
いっせい地方選で審判を
集団的自衛権について安倍政権は「日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」に行使するとしていますが、首相は米国の先制攻撃の戦争でも発動することを否定していません。米国が起こす無法な戦争で自衛隊が米軍と一緒になって武力行使に乗り出す危険が現実のものになりかねません。
いっせい地方選で、日本を「海外で戦争する国」にするガイドライン再改定、「戦争立法」許すなの審判を下すことが必要です。