主張
消費税増税1年
暮らし破壊の大失政は転換を
昨年4月1日からの消費税の増税から1年を迎えました。5%から一気に8%へ引き上げられた増税による消費の冷え込みと経済の低迷は、1年たっても元に戻りません。増税分は社会保障の充実に回るどころか年金も医療も介護も改悪が重ねられ、国会で審議中の2015年度予算案では、大企業向けの法人税減税の一方、社会保障予算は「自然増」さえ削減されるありさまです。税と社会保障の「一体改革」を掲げた消費税増税は、安倍晋三政権のもとで失政と破綻ぶりを浮き彫りにしています。消費税に頼らない税・財政への転換が不可欠です。
のしかかる増税のツケ
消費税増税が国民の暮らしと経済にもたらした打撃は、安倍政権などの見通しを大幅に上回るものだったのは明らかです。政府は増税前には駆け込みの需要があり増税後は一時的に消費が落ち込んでも夏ごろには回復が始まると主張しました。ところがどの経済指標でも駆け込み需要は思ったより小さく、逆に増税後の落ち込みは予想を上回り、秋以降も落ち込みが続いているのが実態です。
最も基本的な国内総生産(GDP)の統計で見ると、昨年1~3月期は前期比1・3%の伸びで、4~6月期はマイナス1・6%、7~9月期は同0・7%の落ち込みです。10~12月期になってもわずか0・4%の伸びというありさまで、1年間を通しても前年比でマイナスと、経済の停滞は明らかです。個人消費や住宅建設など、消費税増税の打撃を受けた費目は軒並みマイナスです。
駆け込み需要が鈍く、増税後の落ち込みが長引いてきた背景には、安倍政権の進めてきた経済政策「アベノミクス」のもとで、国民の暮らしは増税前から悪化を続け、増税の打撃に持ちこたえきれなくなっていたことがあります。
総務省の家計調査では、勤労者世帯の実質実収入は増税前から2月まで17カ月連続の減少です。厚生労働省の毎月勤労統計でも実質賃金は1月まで19カ月連続のマイナスです。安倍首相は国会で、消費税増税分を除けば「総雇用者所得」は増え始めているといいましたが、「アベノミクス」と消費税増税による暮らしと経済の破壊をごまかす、苦しい言い逃れです。
消費税増税はもともと、自民、公明、民主の3党が税と社会保障の「一体改革」を掲げて強行したものです。増税分が年金や介護などの充実にまわる保障がないことは当初から指摘されていましたが、安倍政権は社会保障については「自然増」さえ削減する方針を打ち出し、その一方、大企業に対しては2年連続で減税を強行したのです。「社会保障のため」という口実も、「財政再建のため」という口実も、完全に破綻しました。
消費税に頼らない政治に
安倍政権は、経済の予想外の悪化に今年10月からの再増税は見送りましたが、17年4月からの増税はあくまで実施の構えで、そのために経済が悪化すれば増税を見直す「景気条項」も削除しました。
『21世紀の資本』で有名になったフランスの経済学者ピケティ氏は、1月に来日した際、消費税増税が「なぜいいことか、確信が持てない」と指摘しました。消費税頼みでは経済も財政も立て直せない、消費税に頼らない政策こそ求められているのは明らかです。
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