主張

辺野古米軍新基地

正当化の論拠全て成り立たぬ

 沖縄の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる名護市辺野古の新基地建設問題で、安倍晋三首相は「米軍の抑止力の維持」と「普天間の危険性の一刻も早い除去」のためには「普天間を辺野古に移設するしかない」と繰り返しています。日本共産党の山下芳生書記局長の参院予算委員会での質問(17日)は、安倍政権が新基地建設を正当化する論拠を一つずつ突き崩し、「沖縄の基地負担の軽減」どころか一層の強化になることを明らかにしました。これ以上、沖縄の民意を無視し、新基地建設を進めることは許されません。

「抑止力」とは「侵略力」

 安倍首相が普天間基地の県外・国外移設を拒否する根拠として持ち出すのが「米軍の抑止力の維持」です。しかし、沖縄の海兵隊がどのような意味で「抑止力」になるのか、具体的な説明はありません。そもそもできないのです。

 山下氏が米国防総省の資料で明らかにしたように、在日米軍はアフガニスタンやイラクでの軍事作戦に毎年3000人、4000人といった規模で兵員を派遣してきました。その中心を占めているのが、沖縄の海兵隊です。「海兵隊は日本や沖縄を守る『抑止力』などではなく、まさに他国に攻め込む『侵略力』」です。山下氏は普天間基地のヘリ部隊が1年の半分以上、海外展開していたという宜野湾市の調査も紹介しました。半分以上、日本を留守にして一体どこが「抑止力」というのでしょうか。

 「危険性の除去」とは新たな痛みの押し付けを意味していることも一層鮮明になりました。

 首相は、新基地ができれば「飛行経路は海上へと変更される」と繰り返します。しかし、沖縄各地の米軍基地・演習場には、垂直離着陸機オスプレイが発着できるヘリパッド(着陸帯)が多数あります。新基地ができればオスプレイは各地にあるヘリパッドとの間を頻繁に往復し、そのたびに名護市民の頭上を飛ぶことになります。「生物多様性の宝庫」である辺野古の海を大規模に埋め立てて破壊すること自体、大問題です。

 新基地建設の狙いは、海兵隊の「戦略的出撃拠点」づくりです。

 滑走路は1本から2本に増え、普天間基地にはなかった弾薬搭載エリアやタンカーが接岸できる燃料桟橋などが新たに造られ、隣接するキャンプ・シュワブや辺野古弾薬庫と一体運用されます。海兵隊の航空・陸上部隊の一大拠点となります。

 山下氏は、新基地に造られる係船機能付き護岸(長さ272メートル)について、海兵隊の上陸侵攻作戦の中核を担う強襲揚陸艦が接岸可能であることを、米軍の施設基準を満たしていることやホワイトビーチ(沖縄県うるま市)の250メートルの桟橋に実際停泊している事実を示して明らかにしました。

強襲揚陸艦も接岸可能

 首相は「強襲揚陸艦の運用を前提とするものでは全くない」と繰り返しますが、オスプレイも当初は想定していないとしていたのに、結局は新基地への配備が計画されています。強襲揚陸艦が新基地を使用しない保証はどこにもありません。

 新基地ノーの「オール沖縄」の声に応え、辺野古の新基地建設を断念し、「普天間基地の無条件撤去」「オスプレイ撤去」を米国に要求することこそ、日本の首相がやるべきことです。